19年9月 穀物飼料高騰とエタノールのクリップボード

07年上半期配混合飼料出荷量、養鶏用・肉牛用等伸びる
今年上半期(07年1〜6月)の配混合飼料出荷量(流通量)は、前年同期比1・2%増の1、219万3、253トンに伸びた。 畜種別の出荷状況は、養鶏用は育すう用が前年比2・9%増と伸びたほか成鶏用も同2・4%増と比較的高い伸び率となったほか、ブロイラー用も同0・2%増と前年を僅かであるが上回った。また、養豚用は前年比1・0%増と伸びたほか、肉牛用も同4・1%増と高い伸び率になっている。しかし、乳牛用は前年比0・7%減と低調であったほか、うずら用やその他用も前年実績を下回った。配合飼料計では1、196万8、049トンで前年同期比1・5%増に伸びている。混合飼料は前年比14・5%減の22万5、204トンに減った。

今年上半期の貿易為替レート119円65銭3・3%円安
東京外為市場の円相場は、一時の120円台からは円高の1ドル117〜118円台で推移しているが、7〜9月期の配合飼料価格値上げでの大手飼料メーカーの為替算定は1ドル121円であるので久しぶりの為替差益が出る円高水準になっている。
  今年上半期(1〜6月)における財務省の貿易統計データーでの税関長公示レートの1ドル当たりの円相場推移は次の様になっているが、平均で119円65銭となり、前年同期比3・3%の円安推移となっている。特に6月は前年比7・4%円安の121円62銭の円安であった。月別にみて最高月は4月の118円27銭、最安値月は6月の121円62銭。(単位=1ドル・円)
月 別 2007年 2006年 前年比
1月 119・16 116・08 2・6%円安
2月 120・95 116・98 3・3%円安
3月 118・49 117・45 0・9%円安
4月 118・27 117・58 0・6%円安
5月 119・57 113・60 5・0%円安
6月 121・62 112・68 7・4%円安
平 均 119・65 115・71 3・3%円安

国産飼料米、輸入コーンと比較して大幅高値等課題多い
輸入飼料原料価格が高値で推移していることで、国内産飼料原料の見直しや検討が必要で課題となっているが、農水省がまとめている最近の「飼料米の現状と課題」からみると、次のようになっている。
  • 米の飼料用の利用は、生産コストが輸入とうもろこしと比較して、大幅に高いこと等から、現状においては極めて限られた取組になっているのが現状。(作付面積、平成12年で220ヘクタールが平成18年には104ヘクタール)。
  • 飼料米の生産コストをとうもろこし価格と比較すると、平成18年4月から平成19年3月のCIF価格の平均価格で7・4倍、シカゴ相場による試算価格と比較しても5・0倍と大きな格差がある。
  • しかしながら、地域で耕種農家、畜産農家及び消費者が連携した取組により飼料米の生産と利用が行われている事例もあることから、生産・流通コストを低減するとともに、飼料米で生産した肉や卵などの製品の銘柄化を図り付加価値を付けるといった課題を解決しつつ、利用を拡大していくことが重要と言える。
飼料用中国産稲わら輸出許可、8月8日以降6施設で実現
農水省は、8日付けで動物検疫所長に対し消費・安全局長名で「中国から日本向けに輸出される穀物のわら及び飼料用の乾草の輸入一時停止措置の一部解除」を通知して、中国・大連の6施設の稲わら加工工場で8月8日以降に加熱消毒された稲わらの輸入を認める処置をとった。
  中国産稲わらは、2005年5月27日に輸入検疫証明書の発行を一時停止して以降、飼料用稲わらの輸入が禁止されていた。今年6月29日に開催された食料・農業・農村政策審議会の消費・安全分科会家畜衛生部会牛豚等疾病小委員会において、「口蹄疫の監視体制が重点的に行われている地域において生産され、手刈り・外皮の除去・加圧梱包など原料用稲わらの取扱い及び加熱消毒が一方向に限定されるワンウエイ化施設における加熱の際の温度管理体制等が確認された飼料用稲わらについても、輸入手続きの停止を解除しても差し支えないとされた」ことから、今回の処置となったもので、中国産稲わらの輸入解禁は2年2ヶ月振りになる

欧州、飼料穀物不足で米国産の買い付け高める
 欧州の飼料穀物不足が深刻化しており、これを補うため米国穀物の買い付けを増加させている。現在顕著なのは米国産マイロ。これは、欧州では輸入穀物のGMO規制で従来はブラジル産やアルゼンチン産とうもろこしでカバーしてきたが、ブラジル産の価格高騰やアルゼンチン輸出停止などでノンGMO穀物として米国
産マイロが買われているため。一部ではGMO規制を緩和して米国産とうもろこしを買い付けるのでは無いかとも見られており、それだけ欧州の飼料穀物不足は深刻な状況と言える。

先週為替相場111円台付の大幅円高展開で飼料価格に影響大
週、為替相場の急激な円高と株式市場の大幅下げが進んだ。先週末17日の東京外為市場の円相場は、一時1ドル111円台を付け約1年2ヶ月振りの円高水準となった。7月の東京外為市場の銀行直物中心の平均値は121円59銭であり、7月末から120円台を割ったが、お盆休み前の8月上旬が117〜119円台であったから、ここえきて一気に円高に転じてきたことになる。 米国での信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に端を発した金融・株式市場の混乱が招いた円高・株安現象であるが、今後、どうなっていくのか飼料業界 としても10〜12月配合飼料価格改定を控えているだけに気になる情勢になっている。

1〜2年前に比べ経営が厳しい食料関連企業8割に
農水省は、今週明け20日、食品産業の意識調査の結果をまとめ発表した。これは、国際穀物相場の高騰による原料調達コストの増加や、原油価格の上昇に伴う製造・輸送コストの増加などのコストアップ要因がある一方、偽装表示など消費者の食に対する不審を招く事件や問題が発生していることから同省が、食料品の製造から流通・販売に係わる関係企業にインターネットやファックス等によるアンケート調査(7月)を行い914社の回答結果をまとめたもの。その結果の概要は次のようにまとめられている。 消費者や取引先が重視していると考える事項は、「安全性」や「高品質」といった、一定のコストがかかる回答が多い一方、「低価格」という回答も多い。
  1〜2年前と比較して約8割の社が経営状況が厳しくなっているとの回答で、その原因としては、製造業を中心に「原料価格の上昇」や「コストアップ要因の転嫁の困難性」といった回答が多い。また、製造業では、経営を改善するために必要となる事項として、「販売価格の改定」、「原料価格の抑制」との回答が多い

中国に秘密養豚場、北京五輪へ「食の安全性」確保作戦
22日付の中国紙「新京報」は、2008年北京五輪で選手らに豚肉と豚肉加工食品を独占的に供給する業者が、安全性を確保するため、中国国内で秘密の養豚場を10か所近く設けたと報じた。 周囲を壁で覆い、関係者以外の立ち入りを禁じたうえ、監視カメラで24時間見張る徹底ぶり。中国国内では豚のウイルス性伝染病が流行しており、外部との接触を断つことで、「安全な豚」をアピールする狙いがある。同紙によると、養豚場は工業地帯や幹線道路から離れた環境の良好な地域を選んで設置された。場所は非公表。健康な豚を育てるため、飼料には欧州連合(EU)が認可した有機農作物を使用し、子豚には1日最低2時間運動させている。豚肉を運ぶトラックは全地球測位システム(GPS)で管理し、移動位置を把握。こうした措置から、価格は一般の豚肉に比べて40〜50%割高になるという。

継続発生する家畜疾病、PRRSやAI(ベトナム)
農畜産業振興機構の最新(8月21日号)海外駐在員情報によると、ベトナムでは今年に入り北部6省市でPRRSが発生していることや鳥インフルエンザも引き続き発生していると、次のようにレポートしている。
  ベトナムで豚繁殖・呼吸器障害症候群(PRRS)の発生が最初に確認されたのは97年とされているが、今年に入ってからは3月中旬に同国紅河デルタ地方のハイズン省において発生が確認されている。その後、北部の首都ハノイ市を含む五省市でPRRSの発生が報告されたため、農業農村開発省(MARD)は関
係省市に対し感染拡大を阻止するよう指示していた。なお、ハイズン省を含む北部六省市におけるPRRSの被害は約3万頭とされている。しかし、6月下旬以降、同国中部地方のクアンナム省、クアンガーイ省、トュアティエン・フエ省およびダナン市においてもPRRSの発生が報告されている。これらの4省市のうち、被害が最も大きいのがクアンナム省で、既に約2万7千頭以上の豚の死亡が確認されるとともに、1千頭以上の豚が殺処分されている。
このため、同省政府は疾病管理の徹底を図るため、ワクチンを25万ドース手配するとともに、豚の殺処分に係る補償金として一キログラム当たり1万ドン(70円:1、000ドン=7円)を支給する方針を決定した。なお、政府に対しては、PRRS撲滅に係る費用として100億ドン(約7千万円)の予算を要求している。
  また、同国では、鳥インフルエンザ(AI)の発生も引き続き確認されている。AIについては、今年2月下旬に南部メコンデルタ地方のカマウ省、バクリュウ省で発生が確認されて以来、AI感染地域は拡大を続け同国全土に広まった。MARDは、6月に全国18省市においてAIの感染が確認されたと公表したが、その後は3週間以上AIの発生が確認されていないことを理由に清浄化宣言を行っている地域も多く、8月7日現在で直近の発生から3週間が経過していないのは、北部のディエンビエン省、中部のクアンビン省、南部のドンタップ省の3省とされている。このうち、南部のドンタップ省については、いったんはAI清浄化が宣言されたものの、7月下旬に同省内の農場でニワトリ400羽のAI感染が確認された。同地域のニワトリについては、AI予防のワクチン接種が実施されていたことから、MARDも事態を重視し、関係機関に対しAI再発に係る報告書の提出を求めている。しかし、衛生当局が170羽のサンプリング検査を実施したところ、H5N1ウィルスの抗体が見つからなかったことから、ワクチン接種そのものが実施されていない可能性も示唆されており、同国のAI対策に対する信頼性も揺らぎ始めている。

7月輸入量、穀類・肉類・大豆とも前年比増加
財務省は、今週22日、今年7月分の貿易統計(速報)を発表した。輸出は7兆0、627億円で前年比11・7%増と44カ月連続の増加となった。一方、輸入は6兆3、915億円で前年比16・9%増と41カ月連続の増加で輸出額の伸び率を上回った。輸入は、通信機や非鉄金属や原粗油等が大幅に伸びている。これにより貿易バランスは、6、712億円の輸出超過も前年比21・1%減と9ヶ月ぶりの減少となった。 税関長公示の為替平均レートは、1ドル122円97銭で前年同月の115円33銭に比べ6・2%の円安水準となっている。輸入数量では、とうもろこしや小麦の穀物類が222万6千トンで前年同月に比べ1・4%増となっているほか、大豆は33万9千トンで同2・1%増。また、肉類は19万1千トンで前年比5・1%増となっている

小麦価格10%以上値上げへ、うどん・パンなどへ波及も
農林水産省は23日、輸入小麦の政府売り渡し価格を10月から大幅に値上げする方針を明らかにした。
 24日に発表する10月の価格見直しで、主要5銘柄の平均で10%以上の値上げとなる見通しだ。小麦粉やうどん、食パンなどの値上がりに波及する可能性が出てきた。日本は小麦の約9割を輸入に依存しており、政府がほぼ全量を商社を通じて買い入れ、製粉会社などに売り渡す。農水省は今年から、海外の小麦相場の値動きを反映するため、4月と10月に売り渡し価格を見直す方式をとっている。このうち10月分について、価格を算定する期間中(昨年12月〜今年7月)の海外相場が、4月に比べて11〜24%値上がりした。バイオ燃料用作物への転作や豪州の干ばつなどで小麦の生産量が減ったためだ。

ニチレイ 冷凍食品10〜15%値上げ
冷凍食品最大手のニチレイは16日、子会社のニチレイフーズの冷凍食品、常温食品の卸価格を10月1日から10〜15%値上げすると発表した。冷凍食品は、今秋の新商品や今年リニューアルをした商品など一部を除く業務用、家庭用を合わせて2000品目弱が対象で、常温食品は業務用カレーなどを値上げする。
 同社は2006年6月、肉類の価格高騰を理由に5商品を値上げした。原油価格の高騰で包装材や輸送費が高止まりし、原料の魚や肉も需要増や飼料価格高で上昇しているおり、コスト上昇分を企業努力で吸収できないと判断、大規模な値上げに踏み切る。今年に入り食品業界ではマヨネーズや食用油、チーズなどの値上げが相次いでいるが、冷凍食品を値上げするのはニチレイが初めて。一方、冷凍食品大手の日本水産は、「商品のリニューアルや新商品発売の際に、商品の付加価値を付けることで価格を見直している」(広報IR室)とし、値上げの予定はないという。

今年前半の配混合飼料生産前年比1・2%増に
今年前半(1〜6月)配混合飼料生産量は、前年同期を1・2%増となる1、205万2、235トンに伸びた。農水省の発表数字から1〜6月を累計したものであるが、1月と4月に配合飼料値上げの影響から前年比減少した以外は、3月に前年比2・9%増など伸びたほか、5月と6月にも2%台の伸びを見せている。

07年上半期鶏卵生産量、茨城64%増・千葉27%増等
今年上半期(1〜6月)の鶏卵生産量は、前年同期比4・8%増の128万7千トンに伸びたが、都道府県別に生産量が多いベスト15の状況を見ると次のようになる。一昨年トップ9万トン弱であった茨城は、昨年が40%減の6位に下がったが、今年は8万7千トンで前年比64%増と回復を示している。全国トップは千葉の10万トン弱で前年比27%増と大幅に伸ばした。また、15位に三重が上がってきて3万7千トンに伸び前年比12%増とイセの三重農場の稼働で生産が伸びる結果になっている。上位15道県で前年比減少したのは、鹿児島、愛知、北海道、兵庫及び宮城の5道県になるが、鹿児島が前年比5・7%減と落ち込んで3位に後退したのが目立つ。一方、昨年に続き連続伸びて好調なのが、新潟(昨年11%増、今年も4・2%増)や岐阜(昨年24%増、今年0・7%増)、岡山(昨年6・4%増、今年2・8%増)、岩手(昨年8・3%増、今年が0・6%増)など。

07/08米大豆需給予想、期末在庫2億20百万BUに減少
米農務省は、先週末10日(現地)米穀物需給予想を発表したが、そのうち米大豆の需給状況は次の通り。
  07/08年産需給は、前回(7月12日)と比べ作付面積、収穫面積やイールドは変わらず、生産が26億25百万ブッシェル。供給面では期初在庫が25百万ブッシェル減して総供給量は32億05百万ブッシェルに減少した。一方、需要面は圧搾が18億ブッシェル、輸出が10億20百万ブッシェルと前回比変わらず総需要は29億85百万ブッシェルとなった。このため期末在庫予想は2億20百万ブッシェルと前回比25百万ブッシェル減となり、期末在庫率は7・37%に前回比0・84ポイント減少した。

炭酸ガス充てんパック卵発売 鮮度低下を防止 日清丸紅飼料
 日清丸紅飼料(株)(山西啓士社長―本社・東京都中央区日本橋室町4−5−1)は、炭酸ガスを充てんして鶏卵の鮮度を維持する包装技術を新たに開発し、この技術を活用した「炭酸ガス充てんパック」の特殊卵を6月から発売した。
 鶏卵の鮮度は、濃厚卵白中の炭酸ガスが漏出し、水っぽくなることによって低下する。このため同社では、ナイロンなどの3層構造になった特殊なフィルムで鶏卵パックを外包装し、脱酸素剤を同封。さらに炭酸ガスを充てんして密封することによって、鶏卵中の炭酸ガスの漏出を防ぎ、鶏卵の鮮度維持を実現した。この包装形態については、「殻付卵の鮮度低下防止方法」として特許を取得している。炭酸ガスを充てんした鶏卵と、しない鶏卵を2週間冷蔵保存すると、充てんした鶏卵のハウユニットは80以上、しない鶏卵は80未満になったとのこと。また常温で2週間置いた場合、充てんした鶏卵のハウユニットは60、しない鶏卵は30台で、2倍近く差がついた。
 同社では「新しい包装技術によって、常に品質の高い、産みたてに近い卵を味わえるようになった」とし、炭酸ガス充てんパックの特殊卵「きみに愛」(赤玉、10個パック315円、6個パック255円)と、「健骨生活」(白玉、10個パック295円、6個パック235円)を、6月から全国の量販店や食品スーパーなどで販売しており、初年度は1億円の売り上げを目指す。今後は、業務用での販売も検討していくとしている。詳細は同社企画推進部の畠山氏(電03・5201・3298)へ。

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