米畜牛の身体的異常、成長促進剤が原因か
タイソン・フーズはジルマックスを投与された動物の買い取りを停止した。写真は、同社の米ネブラスカにある食肉加工工場(2012年)
米国の精肉工場に解体用に運ばれてくる畜牛の中に最近、異常な個体が増えている。歩き方がこわばっていたり、思うように動けなかったり、口から舌をだらりと垂らして、ただ寝そべっていたりする。中には、犬のように奇妙な格好で座り込んでいる牛もいる。
畜産学の博士号を有し、家畜業界でコンサルタントを務めるテンプル・グランディン氏は「トラックから地面にかけられた板の上を牛がつま先立ちで歩くのを見たことがある」と話し、「走って地面に飛び降りるのが普通だ。悪い状態が普通になるようなことにはなってほしくない」と語った。
牛の餌に関しては、ほとんど変化はなく、このような症状を引き起こす原因として家畜業界に携わるグランディン氏をはじめとする研究者が疑いを持ち始めているのが、つい最近広く使用されるようになった「β刺激薬」と呼ばれる体重増加剤との関係性だ。
食肉加工JBS、メルク製添加物の投与受けた牛を今後も受け入れ
米製薬大手メルクは16日、食肉加工での薬剤の使用をめぐって米牛肉業界で動物福祉に関する懸念が拡大していることを受け、成長促進剤「ジルマックス」の販売を一時中止することを明らかにした。
メルクの動物健康部門の調査開発担当責任者を務めるKJバルマ氏はインタビューで「米国で承認を受けて以来、2500万を超える畜牛にジルマックスが与えられている。安全性と効果に関する調査でわれわれに落ち度はなかったと私は確信しているし、調査は規制当局による審査を受けている」と語った。
メルクは、同社が任命した研究者で構成される動物の健康に関する諮問委員会と共に、畜牛に対するジルマックスの効果について新たな調査を実施する予定であることを明らかにした。調査内容は諮問委員会が作成する。
メルクのこの発表の背景には、1週間ほど前に売上高米国首位の食肉加工業者タイソン・フーズが畜牛業者に対し、ジルマックスを投与された畜牛の買い取りを停止すると明らかにしたことがある。タイソンはその理由として、同社の加工工場で受け入れた畜牛に歩行が困難なものが見受けられ、動物の健康の専門家が、ジルマックスが、その原因である可能性を示唆したためと話している。
刺激薬はもともと人間のぜんそくを緩和するための薬として開発されたものだが、最近では解体を数週間後に控えた畜牛の餌に混ぜ、脂肪ではなく引き締まった筋肉の成長を刺激することで体重増加を促すために用いられている。ジルマックス、別名ジルパテロールはホルモンではないが、動物の最終的な体重を約2%、24-33ポンド(約10-15キロ)増やすことができる。ライバル製品のラクトパミンをベースとした「オプタフレックス」は最大20ポンドの増量が可能。
獣医疫学者で、米テキサス工科大学で食品安全性と公衆衛生について教べんをとるガイ・ローンレーガン氏は、β刺激薬を投与された動物の死の発生率が70-90%高いことを発見した。しかし、飼養の最終段階にある畜牛の死はめったにない。
ローンレーガン氏は「今はβ刺激薬の使用に関連があるとみられる多くの有害事象データを収集した段階にある」と述べ、「業界、特に医薬品製造会社は、われわれが目にしていることの具体的な原因を突き止め、その再発を防ぐための解決策を見つける責任がある」と語った。
2013年2月1日からアメリカ産牛肉の輸入規制緩和したばかりの日本。アメリカ産牛肉に新たな問題が!?
アメリカでは、精肉加工工場に運ばれてくる牛に歩き方が、おかしかったり、舌をだらん、と垂らしているなどの異常な個体が増えている。原因は、体重を増やすために投与される成長促進剤「ジルマックス」が影響している可能性があるとのこと。
「ジルマックス」は、FDA(アメリカ食品医薬品局)が認可を受けた薬でホルモン剤とは別物。(「β刺激薬」とも言われるようです。)この成長促進剤を牛に投与すると10~15キロ体重が増える効果があるという。
発売元の大手製薬メーカーメルクによると、アメリカの食肉用の牛の約70%がこの成長促進剤が使われており、FDAの承認を受けてから2500万以上の畜牛にジルマックスが投与された。
大手食肉加工タイソン・フーズは、ジルマックスが投与された畜牛の買い取りを停止すると発表した。
それを受け、メルクはジルマックスの販売を一時停止している。
(
米畜牛の身体的異常、成長促進剤が原因か | WSJ参考)
恐ろしいニュースですね。日本に入ってきているアメリカ産牛肉は大丈夫なんでしょうかね・・・気になります。
β刺激薬はもともと人間のぜんそくを緩和するための薬として開発されたものだが、最近では解体を数週間後に控えた畜牛の餌に混ぜ、脂肪ではなく引き締まった筋肉の成長を刺激することで体重増加を促すために用いられている。ジルマックス、別名ジルパテロールはホルモンではないが、動物の最終的な体重を約2%、24-33ポンド(約10-15キロ)増やすことができる。ライバル製品のラクトパミンをベースとした「オプタフレックス」は最大20ポンドの増量が可能