このまま使える販促企画書 10月
褐誌髣ャ通研究所
月城 聡之
1.10月の販促ポイント
 上旬は気温も快適となり、青果売場では秋の味覚、収穫祭が行われています。季節の食材を使ったメニュー提案も必要となります。きのこを中心においしい野菜を関連販売できる売場作りから鍋物商材の売込みを仕掛けていきましょう。

 秋の味覚も豊富に出回るようになり食欲の高まる時期で量から質へ関心が高まるので、おいしいもの・珍しいものの導入や高品質のものを積極的に訴求していきます。スポーツの秋、食欲の秋、行楽の秋と秋真っ盛りとなり、バーベキューやスタミナ焼肉の訴求も同時に行います。

 10月は運動会、体育祭などのイベントもあるので焼肉でスタミナ作りをテーマに売り込みます。お弁当需要も増えてきます、加工品だけではなく簡単弁当素材として味付け肉を工夫して販売することも点数アップになります。ご飯の中におかずをはさみ「何が入っているか?」など楽しいお弁当も一案かと思います。お弁当が楽しくなる工夫も提案しましょう。

 中旬から下旬にかけては、気温が下回る地方もあり、鮭やきのこなど秋の味覚を豊富に使った鍋物を作る家庭も増えてきます。そこで、ホットメニューの提案を行います。

 鍋コーナーの拡大と明確化、メニュー提案の打ち出しなど、売場の計画的な切り替えで商品の魅力と関連商品訴求を図ります。

 米国産牛肉は「IDキャトル」(20ヶ月齢以下の牛と判断されたもの)からの焼肉材セットから「チャックアイロール」などのスライス材料も出回りだし、国産牛B-2の価格も若干下がり、豚肉相場も下旬から下がってくるので豚肉のブロックなどで販売を拡大する企画も相場をにらみながらおり込みたいと思います。

東京市場相場分析
円/kg
規格 8月 9月 10月 11月 12月 年間平均
牛肉 ’04乳牛B2 738 772 801 838 790 807
’05乳牛B2 741 815 859 866 919 834
’06乳牛B2 887
’04和牛A3 1925 1907 1955 1928 2047 1884
’05和牛A3 1916 1994 2020 2048 2257 1994
’06和牛A3 1991
豚肉 ’04 519 498 400 373 479 475
’05 495 522 420 404 498 480
’06 471
鶏肉 ’04モモ 548 544 591 588 661 563
  テバ 253 254 254 247 257 229
’05モモ 532 537 550 559 611 586
  テバ 244 239 246 254 265 238
’06モモ 560
  テバ 222
*06年の年間平均は17年1月から6月までの平均値

2.10月の週間販促ポイント
第1週
運動会応援特集 体育の日はスタミナ満点焼肉祭り。簡便食でスタミナ提案


 お弁当商材と加工品を組み合わせたバンドル販売を実施して選べる楽しさを提案すると同時に買上点数をアップしていきます。生肉はお弁当用に味付け肉のばら売りを行うと同時に運動会の終わった夕食時に、家族で楽しめる簡単焼肉を提案していくと面白いと思います。

 週末は特に焼肉セットを作ってアピールしていくことが大切です。少しずつ美味しいものを選んで食べてもらうバイキングも組み合わせ安さの演出でさらに購買意欲を掻き立てると思いますので取り組んでください。2年ぶりに売上好調の外食企業の中で焼肉業態だけが不振になっています。これは商品のランクダウンが原因で客離れを起こしていることと思われます。そこで、家庭で美味しく安く手軽な焼肉が見直されるチャンスと思い、改めて焼肉の提案をお勧めします。セット、バイキング、よりとり販売を毎週続け定着させることが重要になります。

 秋は健康にも注目されますので、さっぱりとした「おろし焼肉」、キムチを使った料理とともに「韓流焼肉」やプルコギ・ビビンバなども売上対策・提案型の売場展開として効果的です。「味付け焼肉」は野菜とキットにして「ねぎ塩牛カルビ」「ピリ辛味噌焼き」など焼肉の料理を提案し、焼肉のタレがなくても食べられる簡便食として販売します。大手焼肉チェーンでも塩カルビに力を入れていますので売り込みやすいでしょう。

 夏と違って、「あっさり系焼肉」で売り込んでください。

順位 品名 得票数(割合)
1 にんにくハラミ 32 (10.5%)
2 塩ダレカルビ 27 (8.9%)
3 特選カルビ 塩ダレ 20 (6.6%)
4 熟成ハラミ 塩ダレ 19 (6.2%)
5 熟成ハラミ 辛みそ 16 (5.2%)
6 ガーリックバターカルビ 15 (4.9%)
7 特選中落ちカルビ 塩ダレ 14 (4.6%)
8 ねぎ塩ロース 12 (3.9%)
9 特選 厚切り上タン 10 (3.3%)
10 メイプルなポンデバニラ 9 (3.0%)
*「牛角人気メニューランキング」Yahoo!リサーチ   有効回答数305票

第2週
秋野菜たっぷり「鍋」特集


 豚、鶏、つみれ、を中心の「鍋物」と、「しゃぶしゃぶ」を特集します。野菜とセットにした商品提案、自社ブランド食肉をアピールして安心安全と健康をイメージさせます。特に「鍋」をコーナー化することにより、関連販売による買上点数のアップが期待できます。また、試食販売の充実によってファン作りもしましょう。

 鍋物の商材としては豚バラ肉を中心としたキムチ、豆乳鍋、イタリアン鍋、肉団子鍋など種類も豊富に選べる楽しさが増えてきていますので近年の売れ筋となっています。

 野菜たっぷりで健康をイメージさせ、また、鍋が終わった後の美味しい食べ方も提案します。「ひとつの鍋で二度美味しい」をテーマにするのも他部門との関連をが出てきて鍋メニューの広がりが出るでしょう。

 毎年メーカー各社は鍋の新メニューを打ち出して、お客様に選んでもらえる楽しさを売りこんでいます。人気のインストア加工した手作り「つみれ」は簡単に作れて、値入も取れる商品ですので、毎日定期的に作るように習慣付けましょう。

 「しゃぶしゃぶ」商材は国産豚肉を中心に高粗利商材の輸入豚ロースしゃぶしゃぶ用や、豚赤味肉も「ヘルシーしゃぶしゃぶ用」から、「黒毛和牛霜降りロースしゃぶしゃぶ用」まで種類豊富に品揃えします。カルニチンで人気の衰えないラム肉に関しても焼肉・ジンギスカン用の訴求のほかに、「ラム肩しゃぶしゃぶ用」の訴求をします。ラム肉に関しては、しゃぶしゃぶコーナーでの展開よりも、ラム肉コーナーで販売するほうがお客様の目にも留まりやすくなります。


ミンチを製造するついでに商品化できます。手作りの「つみれ」は利益商材。簡単に作れて利益も取れるので、鍋やひき肉関連で販売します。肉団子も鍋の定番になっていますので、メーカーで加工された肉団子よりも美味しいインストアーの「つみれ」を加工することを習慣づけたいものです。

第3週
「切落とし均一セール」 美味しいもので健康増進!


 すき焼き、しゃぶしゃぶ、薄切り焼肉、煮込み用と「切落とし肉」での提案を行います。販売量の多い「切り落とし肉」を焼肉材料からホットメニューへの材料として切り替えていくことがこの時期のポイントです。「切り落とし」肉だけで、コーナーを作る方向で、「切と落とし」肉のアイテム整理をして下さい。

 健康を考えて、野菜と肉を組み合わせた栄養効果をPOPでアピールして購買意欲につなげます。鉄分の多い牛肉や、気温が下がってきているので風邪予防にビタミン豊富な豚肉、あっさり脂肪の少ない「鶏ムネ肉」や「ササミ」の「切込み」を使った「しゃぶしゃぶ」の提案をします。当然試食を出して五感に訴えることも忘れないようにしましょう。

 平日は切り落とし、牛小間を使ったすき焼き風煮物で安価で美味しいをアピールし、週末はすき焼きセットを見せ2パックセール等で売上アップにつなげていきます

 また、週末は「切り落とし肉」の「よりとりセール!」で、牛肉・豚肉・鶏肉も「切り落とし」で商品化し、「組み合わせ自由」で美味しさと安価を訴えていきます。一般的に給料日前なので安さをアピールすること。アイテムは豊富にすると買上点数も上がります。

 ポイントは、黒毛和牛・交雑種の肩ロースなどの高級部位で「切り落とし肉」を商品化し、使いやすい肉でしかも美味しい、という確認をお客様にしてもらうことです。そうすれば、冬のシーズンに「切り落とし肉」で高級部位のすきあy期・しゃぶしゃぶをお手軽価格で提供できるからです。

 自社ブランドの牛肉、和牛を使ったすき焼きの提案試食を行いブランドの確立、年末の牛肉を確立させるための美味しさを強調します。

 自社ブランドで安心、安全をPOP等で告知し、すき焼き鍋の試食をふんだんに出してやわらかさや美味しさを知ってもらいます。

 豚肉では「バラしゃぶしゃぶ用」でキムチ鍋の訴求を行います。キムチ鍋は今年も鍋の主流になるでしょう。


「切り落とし肉」のコーナー化をします。
切り落とし肉で、ご馳走の「しゃぶしゃぶ・すき焼肉用」をそろえ単価の高いものから安い価格のものまで揃え、焼肉から鍋材料の「切り落とし肉」へと切り替えます。

第4週
あったかホットメニュー特集
秋の収穫を祝い、「秋野菜たっぷりシチュー」でハロウィーンを


 ハロウィーンはまだなじみがうすいのでPOPや装飾を多めにするのが良いでしょう。

 かぼちゃの栄養効果等もPOPを使って情報発信します。

 ハロウィーンにちなんで秋の収穫を祝い野菜たっぷりのシチューを提案します。

 定番の「ホワイトシチュー」はもちろんのこと、「トマトシチュー」や「きのこたっぷりシチュー」などしっかり野菜を入れて栄養満点シチューを売り込みます。「クリームシチュー」は簡単で美味しく作れることから人気があるので、これに「きのこ」を多い目に入れることでヘルシーさが増します。

 鶏肉ささみ・ムネ肉、豚肉ロースなど「ヘルシーシチュー」の提案を行います。「ビーフシチュー」は「牛すね肉」で提案し、本格的な料理を提案します。

 また、シチュー・ポトフ関連のホットメニューも同時に訴求します。精肉の素材としては、鶏肉ムネ、ささみ、豚肉ロース、肩ロースなどが売り込みやすいので「シチュー用」のイメージをラベル、POPにさり気なく記入して訴求できます。もちろん「シチュー用コーナー」を設置できる店は関連販売商品を充実させることで、確実に今夜のメニューを決めさせる売場にしましょう。

 その他ホットメニューとして、「ロールキャベツ」や「煮込みハンバーグ」なども提案することでホットメニューの選択肢を多く見せるとよいでしょう。TVや雑誌でも秋の味覚をふんだんに使ったメニューが取り上げられます。煮込み野菜、キノコを使った料理や炊き込みご飯も増え始めますので、スープ・パスタ等の売上にも貢献してきます。


ポトフ・豆乳、などの変り鍋のスープを関連で販売します。特にポトフ、投入は年々販売量が増加してきています。フランクフルトなどの加工肉などの関連で陳列するのも良いでしょう。

3.重点販売商品とその売り方
2−1.厚切りベーコンスライス

 加工肉が、メーカーの一斉値上げで販売量が伸びていないかなで「ベーコン類」は堅調な消費がある。

 ベーコンは、用途が広がり、朝食用のベーコネッグから、炒め物用、スープなどの味付け用、焼肉などに広く使われるようになったからだ。しかし、ベーコンは2ミリ前後のスライスが主流で「厚切り」は、パック単価の金額がかさむと言うことでコンシューマーパックでは販売されることが非常に少なかった。

 そこで、アスパラやナスなどの野菜と炒める場合は、「モチモチ感」のある「厚切り」が美味しい。

 ハムステーキ・焼肉としても、ジャーマンポテトのポークウィンナーの代替としても美味しいのでベーコンを「厚切り」で販売してもらいたい。

 厚さは、ロースハムのステーキにしても美味しい「8ミリ」が使いやすい。外側がこんがり焼けたときに美味しく、短冊に切り込んでスープや炒め物に使いやすいからだ。


SPシールで、調理方法、用途を伝えながら、美味しい「厚切り」を強調する。

PS:このシールは私が自費で作成したオリジナルです。店舗で実際に売れているので福留ハムと米久も店頭で見つけて、商品を購入し同じようなものを製造したいといってましたので、これはこのまま使用しても問題はありません。

2−2.和風手作りつみれ

 ミンチから手軽に商品かできます。しかも粗利50%以上確保できる超高利益商材!

 「若鶏ムネ肉ミンチ2kgに対して、和風だしつゆ120g、乾燥パン粉120g、刻みねぎ少々を混ぜる」だけで和風の簡単「つみれ」が出来ます。こだわりの店では、しいたけやゆずなどを刻んで入れるだけで見た目や風味も大きく変わってくるので、店独自のオリジナル「つみれ」に挑戦してみるとよいでしょう。

 鶏肉からは「つみれ」、豚肉からは「チャンコ用肉団子」として分けて商品化しても良いでしょう。

 鍋コーナー、ミンチのコーナーでの展開が考えられますが、鍋コーナーで下段展開すれば売上・粗利確保できます。

「米国産牛肉輸入再開の影響」
 米国産牛肉は8月上旬から全箱検査を実施し再開されます。

 最初に今年1月禁輸措置以降に市場に流れなかった日本国内に保管されている米国産牛肉が「チルドフローズン(チルフロ)」となって、約1000トン(約14億円分)から市場に出てきます。

 その後、全箱検査ということで賞味期限が短い米国産牛肉は検査が遅れる可能性があるので、当初は冷凍での輸入のほうが多く、8月下旬から市場に出回ります。「チルドビーフ」をどうしても販売したい外食や一部の流通や、販売先が指定されているところに関しては空輸や、船でもリードタイムを短くして、輸入されます。

 20ケ齢以下と証明された「IDキャトル」のみの輸入という規制があるので、プライムやチョイスといった高品質の商品は量多く入ってきません。

 また、現地価格も高く、米国でのBSE発生前の2から3倍で、「高価格・品質・通関業務の遅れ」という状況が続きます。IDキャトルからできるだけ多くの製品を輸入したいため、冷凍で「ロイン3点」・「焼き肉材料」を中心にスペック化した商品が輸入されます。10月になると、通関業務も慣れてきて、チルドビーフで「チャックアイロール」や「ショルダークロッド」など、スライス材も販売先を定めて輸入量が増加すると思われます。
品質も「チョイス級」や「それ以外」など、選択幅が少しずつ広がっていきますので、当初は外食中心に在庫の手当てから入りますが、スライス商品が売れてくる10月位からは、食品スーパーでの販売も増えていくと思われます。

 消費者の米国産への安全性への漠然とした不安感は完全に払拭できませんが、USMEF(米国食肉輸出連合会)などの販促・啓蒙活動等により、米国内での安全性確保についての告知活動も活発化し徐々にではありますが、漠然とした不安感は薄まっていくと思われます。

 従って、まず販売するSMサイドで米国産牛肉の安全性について検討し、日本のパッカーやUSMEFなどの協力も得ながら展開を進めるのが良いと思われます。

 オーストラリア産牛肉も、米国産の再開を受けて、先物の牛肉価格は15%ほど下がっていますので、牛肉は販売量を増やす方向で販促を強化しなければ前年の売上げ数値をクリアーできないことになりますので、販売を強化していくことが10月からのポイントになります。

 牛肉、豚肉、鶏肉と相場の下がっていく状況下での10月からの販売になり、販売量が減れば売上げも減っていくので、10月からの販促には特に強化することが重要です。