7月に売込むこの商品

コロナが5類になってからの初めての夏休みがスタートする。
ここ2~3年とは異なる動きをするため、昨年と同じ売場作りとはならないようにすること。
ゴールデンウィークの動向を見てみると、海外旅行や中長距離の旅行に行く人も確実に増えているが、「安近短」で自家用車やレンタカーで出かけることが出来る場所に、旅行した人が7割近くいたようである。 
少しずつ旅行に対する復調の兆しが出ており、2023年の夏休みは大幅に旅行する人も増えることと考えられる。
特に近場のキャンプ場やアウトドア施設がある場合は、特に需要が大きく見込まれるため、その準備は怠ってはいけない。
 また、「安近短」の旅行の割合も多いことから、家庭で食べる「週末メシ、休暇メシ」を想定した、「ハレの日」まで届かない程度のメニュー提案が必要である。
 インバウンド需要増の連鎖で、食品SMの売り上げは、空前の伸びが期待される7月、8月となるであろう。その準備も、怠ってはいけない。

【牛肉】

国産交雑牛ロース焼きしゃぶ用 698円/100g

ロースを「焼きしゃぶ」提案で訴求する。
夏場は「ロース、サーロイン」などの高級部位が焼商材として売れにくく、売れないと思い込んでいるチーフも多い。
しかし、メニュー提案一つで売れ筋に変わる。
「焼きしゃぶ」は、フライパンやホットプレートで、しゃぶしゃぶのようにさっと火を通す焼メニュー。
「焼しゃぶ」のタレは、「ぽん酢」であっさりと食べるのが美味しい。
部位は、「ロイン系」は週末、「モモ系」などは平日に展開することで、ウィークデーの「焼きしゃぶ」提案を強化する。
メニューが定着するまでは、「リブロースの芯」、「外もも」の「シキンボ」だけなど焼きしゃぶにして、それ以外は既存の商品化にするなど、製造量の調節を行なうと良い。
一つの部位から、複数の商品化を行なうことで、商品の作りすぎが起こらないようにすることが出来る。
商品化は、お箸で持ちやすいように、ふわっとした「切り落しタイプ」の盛り付けを行なうことで、調理時にも配慮した商品となる。

【豚肉】

米国産豚肩切り落し 豚から揚げセット 680円/400g

豚肩肉を使用した「豚から揚げ」提案を行なう。
「から揚げ」と言えば鶏肉で作るのが一般的であるが、豚肉で行なうことで、鳥インフルエンザで価格が高騰している鶏肉の代替メニューとして活躍できる。
部位は「豚肩(ピクニック))を「切り落し、小間切れ」にして商品化する。
「肩肉」以外でも、「ロース、肩ロース」を生姜焼き用程度の厚みで提案することも可能である。
調理方法としては、肩肉の切り落しを20~30g程度の一口大の大きさに丸めてから揚げの素をつけてフライパンで揚げる簡単行程である。
「切り落し」の販売だけでは、メニューは伝わりにくいので、メニューサンプルやPOPを掲示し、メニュー提案をわかりやすくする工夫が必要である。

資料:米国食肉輸出連合会WEB「販促ツール・ガイドブック」より
国産銘柄豚焼肉三種盛り 298円/100g

店舗で使用している銘柄豚肉を使用した、「国産豚焼肉盛り合わせ」を販売する。
「ロース、バラ、肩ロース」を焼肉用に商品化し、盛り付ける。
四角いシステムトレーへの盛り付け、焼肉用仕切り付きトレーに盛り付けるのも良いが、扇トレーなど、特殊トレーを用いて、綺麗に盛り付けることで、アイキャッチとなる。
売場でトレーの柄が乱立してしまっている最近の精肉では、アイキャッチ商品を作ることが困難になっているが、一部を変型トレーに切り替えることで、売場で商品を目立たせることが出来るようになる。
国産豚肉を使用する背景としては、昨今のコロナによる仕入れ環境の変化から、輸入牛肉焼き商材の安定的な扱いが難しくなっていることにある。
以前に比べると、為替もやや落ち着き、工場も稼働して納品価格もやや落ち着いているものの、米国では牛生体価格が現在も高めに推移していることなど含め、先々でも不安要素は残っている。

【ミート惣菜】

国産豚骨付きロース トマホークグリル 880円/本

ミート惣菜のグリルカテゴリの売上が徐々に伸びてきている。店内の鉄板やグリルで焼き上げたお肉は香りが店内に充満し食欲をかき立てる。
ステーキや厚切り焼肉などもあるが、「豚骨付きロース」の「トマホーク」は、他にも増してインパクト強め!家庭での火入れが難しいことから、加熱済みのトマホークは夕食の一品としても提案出来る。
 輸入牛肉での「トマホーク」の提案も面白い。売り場が映える。
※注意点※
加熱を十分にしすぎるあまり、お肉がパサパサになってしまっている商品も少なくない。そのため、調理時には中心温度をきちんと測り、余分に火を通しすぎないよう注意する。
調理食品の中心部温度を75℃の状態で1分間以上加熱することで、ほとんどの細菌は死滅する。(ウイルス対策としては、85℃~90℃の状態で90秒間以上の加熱が必要)。

地方名物メニューがアツイ!

 最近、ブームになっているのが、地方でしか食べられなかった「ローカルメニュー」。
新潟の中抜きを半分にして揚げた「半身揚げ」、香川名物の親鶏の骨付きモモ肉をスパイシーに調味料をかけて焼く「骨付き鳥」、名古屋名物のとんかつに味噌ダレがしっかりと染み込んだ「みそかつ」など、美味しい名物メニューが数多く存在する。
地元ではごく一般的に食べられており、他府県に外食店としてもあまり出展していないようなグルメは、そこでしか食べることが出来ないメニューとして、旅行や出張先で一部の人に親しまれている。そんな、美味しいグルメは、少しずつ量販店でも知名度を上げている。

国産親鶏味付け(解凍) 128円/100g

香川県で親鶏の骨付きモモ肉は、地域の名物料理として知られている。
地鶏のようなコリコリした食感が特徴の親鶏の特性を生かし、骨付きのまま調理する事で、味と食感が楽しめる一品となる。
今年は鳥インフルエンザの影響で、数量限定で販売をしていることで、より一層需要が高まったように感じられる。
親鶏は、若鶏とは違い、肉調や味が濃く、食感も歯ごたえがあるため、多くの量販店では売れないと思われがちであるが、一度食べるとやみつきになる消費者も多く、リピーターも付きやすい商品である。
親鶏以外にも、スパイスをつけた商品化で、中雛を使用した骨付きモモ、若鶏の骨付きモモも陳列すると、色や食べ比べをして楽しむ提案も可能となる。

地方名物メニューは、B級グルメなどでブームになっていたが、メニューによっては作り方や味付けにルールがあって、なかなか量販店で再現することが難しかった。
しかし、鶏肉など素材をテーマにしたメニューは、再現性が高く、実際にその土地に行ったときに、自分の味がどうだったのか答え合わせが出来るため、地域の活性化にもつながるメニュー提案となる。

最近は、名物メニューが全国に広まるケースが増えている。
先にも登場した「半身揚げ」や「骨付きどり」・「みそかつ」も知名度を上げながら、惣菜でも展開が広がっている。
例えば、焼肉コーナーの「洗いダレ」なども、京都から広まった食べ方の一つである。
新型コロナが5類になったことで、産地視察や量販店MR.などで、地元から離れる機会が格段に増える。
あらたな食べ方を見つけて商品化することで、競合店との差別化を図りたい。

33年ぶりの株価絶好調に乗り遅れるな!

2023年5月に日経平均が、およそ33年ぶり1990年7月以来の3万1500円台まで回復し、全体としても値上がり傾向となっている。
堅調な企業業績がその要因と言われており、コロナ終焉とともに一気に経済も回復する様相が伺える。
株価好調は、消費者の資産の拡大を意味する。
33年前の1990年はまさに「バブル絶頂期」であり、そのときと同じ株価に迫りつつある。
増して、1990年当時よりも現在の方が、一般消費者の株式投資が活発になっていることから、より消費行動が活発になることも想定される。
 この「景気の良さ」が、食肉需要を押し上げてくるはずである。

 精肉においては、多くの企業がバックヤードの人材不足に苦慮しながらも、好調に数字が推移している店舗が多いようである。
精肉全体としては相場高であり、豚肉や鶏肉の単価は高いが、買い上げ点数を増やすことにより売上を確保している。
牛肉については、焼肉用の動きがよい。
米国産牛タンも価格が以前よりも下がってきていることから、焼肉売場を活性化させている。一方で、輸入豚肉の高騰、国産鶏肉の鳥インフルエンザによる価格の高騰が続いており、利益が出にくい環境となっていることは否めない。
 
 競合と比べて、購入してもらいやすい商品作り、見やすい売場作り、利益が残る態勢作りを、過去の経験や成功体験では無く、今の環境で作り上げることが、この株価高の環境下での競争戦略となる。
原料高は自社だけで無く、競合も同じ環境のため、この部分は平等である。
仕入れを安くする方法は、今までは一つの手段として通用したが、輸入豚肉や国産鶏肉は、そもそも安い原料が供給出来る体制ではない状況のため、むしろ値引き交渉によって、仕入れが出来なくなる危険性まで出てきている。そのため、一度に仕入れる量や仕入れ方にも工夫が必要ということである。
 
 国産鶏肉は、よく売れる鶏肉モモや安価で売りやすいムネなどに頼らず、1羽のセットのバランスを考えた注文。仕入れ先と協力することで、余剰となりやすい部位を積極的にオーダーすることにより、安定した仕入れと安価な部位の販売が可能となる。
夏場に向けては、焼鳥やから揚げなどのメニュー訴求の売場作り、平台作りがポイントとなる。
「骨付きモモにく」や「手羽元、手羽先、中抜き」はBBQ需要としても活用出来るため、「Chichen BBQ特集」など、テーマを決めるのも面白い。

 輸入豚肉は、売場を見て仕入れ価格と値入のバランスで品揃えする。今までは特売用に仕入れていた輸入豚肉は、原価が上がれば特売にする意味をなさない。
むしろ、国産豚肉をセットで仕入れて、上手くロースや肩ロースを売込んでいく方が、利益が確保出来る。国産豚肉や輸入豚肉を使い勝手だけを求めて、単品仕入れを好んでいたかもしれないが、セット仕入れをすることで値入率を上げて、利益の圧迫を抑えたい。
売場はまずは定番売場の安定的利益確保を前提に、「冷しゃぶ売場」、焼きメニューの「肩ロース、バラ」を中心に焼肉への商品化を強化する。

環境の変化に柔軟に対応する精肉

精肉は、日配やグロサリーの様なコンシューマ商品の販売では無く、製造小売業と呼ばれる、原料を仕入れ、商品に変えていく部門である。
そのため、環境(相場や仕入れ、調達など)の変化を受ける部門でもあるが、上手く活用すれば、常に売上も利益も取ることが出来る部門でもある。
良くも悪くも、新型コロナの影響で、外部環境が大きく変わり、仕入れに対する意識と相場が急速に変わったときの対応に関して考える機会となったことは間違いない。
2023年新型コロナが終焉を迎え、株価は大きく上昇、畜肉の相場は高騰、商品化をする従業員が減少した環境で、いかにうまく売上を作って利益を確保するかを考える必要がある。
資本が大きな企業は、自社でパックセンターを作ったり、アウトパックを上手く活用して対応している。
「タレ漬け商品」や「キット商品」を上手く活用することもできるが、既存商品の仕入れ量や仕入れ方法を変えることで、利益を変えることも可能となる。
今一度、すべてをフラットに考えて、柔軟に対応していきたい。