売場作りの新スタイル

様々な取り組みを行ってきているイオンスタイルであるが、売場のレイアウトなど今回の碑文谷店は積極的に変更を行なっている。
生鮮食品売場は、主通路を中心とした導線に沿った売場の配置にはなっていない。
野菜売場に隣接した日配品売場も、配置が通常店舗とは明らかに違い、日配品の一部の位置づけで加工品のハムソーセージ売場が配置されている。


野菜売場、日配品売場を抜けると、鮮魚ではなく精肉コーナーが配置されている。
消費者ニーズが、鮮魚ではなく精肉という位置づけで、配置を決定していることと思われる。
精肉売場は、低多段の牛肉売場から登場する。
大きく“和”の文字と、AEON JAPAN PRIDE という言葉が壁に描かれており、黒毛和牛の「さつま姫牛」を販売している。試食販売も行えるよう試食台が常設している。

 
低多段売場の次に、対面量り売りコーナーがあり、「松阪牛」「美ら島あぐ~」など銘柄肉の図り売りを行なっている。
壁面はその後、「トップバリュ タスマニアビーフ AUG74」売場が低多段で6尺取られており、黒色トレーで統一された売場は輸入牛としてではなく、きちんとブランド戦略を打ち出そうとした売場である。ここから、さらに牛肉多段ケース、豚肉、鶏肉、挽肉と続く。
関東の店舗にしては牛肉の売場がかなり広いイメージであり、松坂牛をはじめ高級和牛の陳列量も多く、新たな市場を開拓しているように見えた。
平台コーナーでは、ローストビーフ売場が客導線のはじめに配置されている。HPでも紹介されている、「トップバリュ セレクト 五島塩ローストビーフ シルキーカット」の980円なども大陳されており、売込みを強化している。

自然派食品のブランド訴求


トップバリュ グリーンアイ
オーストラリア産タスマニアビーフモモステーキ用(ランプ)100g375円
タスマニアビーフは“成長ホルモン剤、抗生物質、遺伝子組み換え飼料をしようせず自然の穀物で育てる”の売り文句で展開している。
単なる豪州産牛ランプステーキ用で100g375円であれば、かなり高価格設定である。


オーストラリア産オーガニックラムかたロースステーキ用100g429円
オーガニック認定機関よりオーガニック認定を受けたラム肉というPOPが付いており、オーガニックという言葉でなんとなく健康そうな食品に見える。日本では、オーガニック=少し高くても安全で健康そう、、、とあいまいなイメージしか持っていないようにも思えるため、理解を深めていくこが先決かもしれない。


国産ナチュラルポークばら薄切り100g375円
ナチュラルポークの説明では、抗生物質不使用、合成抗菌剤不使用、遺伝子組み換え入り資料不使用のポイントが書かれている。
国産豚バラスライスが100g375円とは、目を疑う価格であるが、黒豚やイベリコ豚以上の価値を日本人が今後、ナチュラルという打ち出しで受け入れられるのかが鍵となる。


茨城県産オーガニックチキンモモ肉(冷凍)300g980円
農薬を使わずに栽培したトウモロコシや大豆で育てられた鶏肉というパッケージの謳い文句で販売されている。その他にも、ささみ780円などかなりの高価格帯の商品が冷凍平台に陳列されていた。

ナチュラル・オーガニックの時代

現在、日本ではナチュラルやオーガニックなど打ち出した商品は少ない。そのひとつに、価格が高いこと、ナチュラルやオーガニックの価値が一部消費者にしかわからないことなどがあげられる。

ここでは、簡単に説明するにとどめるが、かみ砕いて説明すると以下のとおりである。
「オーガニック」:有毒な農薬や化学肥料、合成物質を使わず、環境や人体に優しい方法で生産した食品
「ナチュラル」:肉や肉類の生産に使用される家畜には、成長ホルモン剤や抗生物質、哺乳類動物・鳥類、水生生物由来の飼料を与えてはならない
アメリカではUSDA認可で規定が設けられているが、日本ではなじみがないため勝手にネーミングとして、ナチュラルチキンなど付けてしまいそうであるが、グローバル化した現代では、外国人も日本に多く居住しており、ネーミングには気をつけなくてはならない。

イオンスタイルでは、先陣を切って量販店でのオーガニックやナチュラルの商品を導入し、大々的に販売をしてきているが、価格は高く、高グレード商品のさらに上をいく価格帯である。碑文谷は東京都内の富裕層も住む地域が周りにあるため、マーケティングを行ったうえでの品ぞろえであると思われるが、その価値を消費者が今後どう判断するかは注目したい。