精肉商品部の調達

店舗で販売される商品は、まず商品部(バイヤー)によって仕入れる商品が決められる。

その仕入先には何通りかあり、大きく3パターンに分類される。

「メーカー系」日本ハムや伊藤ハム、スターゼン、全農など、一般消費者にはハム・ソーセージメーカーとして知られているメーカーは、加工品以外にも精肉(牛豚鶏羊など)の仕入先でもある。

日本国内や海外に牧場やパッカー、加工工場を持ち、牛肉や豚肉、鶏肉を部分肉やスライス肉にして量販店やPCまで届けている。食肉のプロが扱う肉のため、飼料や畜種などにもこだわった商品も多い。

「商社系」丸紅や住商、伊藤忠など海外食肉会社を買収、またはジョイントベンチャーによって、精肉の調達を行っている。

また、資金力もあるため、海外のパッカーから直接コンテナ単位で牛肉や豚肉を仕入れ、日本国内で販売も行っている。

「地域の畜産卸会社」日本国内にある各地域の生産者は地元に商品を供給している。

地産地消には必ず必要な存在である。

仕入量が限られるため、同じブランドを大量に発注すると欠品する可能性がある。

また、牛肉などは個体差による肉質のばらつきも大きくなる傾向にある。

その他にも、産地直送の畜肉やボランタリー・チェーンによる本部主導の供給もある。

 

商品部は、各仕入先と商談を行い、商品の仕入れ交渉を行う。

PBとなる畜肉などは、同一の牧場などから仕入れる必要があり、製造キャパにも注意を払いながら商談をする必要がある。

一方、通常豚の白豚や国産牛肉などノンブランドの商品は、同じ品質のものであれば価格の安い仕入先から購入すると、その分消費者にも安く提供することが出来るだけでなく、自社の利益にも貢献することが出来る。

ただし、1社からの偏った仕入を行うと、欠品などの仕入のリスクを負うことになるため、数社からバランスよく仕入れを行うことで、店舗へ安定した供給を行うことが出来るようになる。

原価を下げることが仕事のように思われがちであるが、商談力、コミュニケーション力、情報力などバランス感覚がなければ、結果的に商品を欠品させてしまうことになる。

商品調達でポイントとなる一つが、競合他社よりも魅力的な商品を消費者に提供できるかどうかという部分である。

白豚や国産牛肉であっても、当然優位性があれば消費者は魅力的な商品を購入する。

それが、価格であったり味であったり、企業の方向性が分かれる部分である。総合的に、粗利を稼ぐことが出来る体制、売れ続ける仕組みを作る体制、年間を通した販促を考えて店舗に落とし込んでいく。

 

商品の流通(200字)

注文された商品は、仕入先から店舗(またはPC)へ鮮度は維持されたまま届けられる。

チルド商品は0℃以下、冷凍商品はマイナス18℃以下を維持したまま運ばれる。

海外の商品も同様で、船で運ばれるコンテナ、飛行機で運ばれる商品も同様に温度管理は徹底されている。日本だけでなく海外からも温度管理を徹底しているにも関わらず、店舗の荷受け場で、常温にさらされては全く意味がないので、店舗に到着した商品は速やかに検品して冷蔵庫、冷凍庫へ運び込む。

 

店舗での加工

【主任・チーフ】

商品部で作成された販促計画に基づいた商品化と売場作りを行うことが基本の業務となる。

商品部の指示通りに商品作り、売場作りを行うと目標金額や粗利益は達成されるはずである。しかし、天候や客入りによって思ったよりも数字が伸びないこともあり、店舗にいる従業員が、しっかりと予算を割らないように売場をコントロールすることが、主任・チーフの腕の見せ所である。

日々の売上の補てんとなるのが、タイムサービスや夕方5時の市などのインストアプロモーション(インプロ)である。特に雨や台風で客足が鈍いときは、重要な役割を果たす。商品化は昼のアイドルタイムに行っておき、タイムサービスの準備を整える。

定番商品の商品化は常に美しくすることが求められる。

パート・アルバイトの模範となる商品化を行う。輸入牛肉は、海外から鮮度、温度を保たれたまま店舗まで運ばれてくる。最後の商品化で鮮度を失ってしまっては意味がない。

作業場での作業時間を出来るだけ短くし、鮮度を保つことが最優先。商品は丁寧に行い、切落しなどは立体感のある商品化を心がけると見た目が良い。豚肉は日常買いするもっとも売上、利益が摂りやすい畜種の一つ。脂肪のトリミング、骨肌などを丁寧に除去することで、安定的に売れる体制を作る。

 

【パート・アルバイト】

商品製造業務:当日製造分の鶏肉や挽肉の製造、豚肉の商品化等を行う。

商品の在庫を把握し、日付の古いものから製造。在庫量は主任・チーフまたは担当社員に報告し、常に報告・連絡を行う。

鶏肉の商品化まで意識しながら主任・チーフは仕事を行うことで、売場全体の意識を上げることが出来る。社員一人一人が売れる商品化を心がける一つの目安が、パート・アルバイトの作る鶏肉商品や挽肉である。

味付け商品を製造することも多いと思うが、商品は万遍なくタレが絡み、商品化時にもトレーの縁にタレが付かないようにするなど、綺麗な商品化を心がける。

商品値付け・陳列業務:盛り付けられた商品をパックし値付けを行う。値付けは正確に行い、店頭の決められた位置に陳列する。

陳列場所は、商品部もしくは主任によって作成された商品陳列台帳にしたがって陳列する。営業時間中も、継続して値付けと陳列を行うが、商品整理と鮮度管理、日付管理も同時に行い、売場の整理整頓を維持する。

鮮度維持を最後まで怠らない

最終的に生活者の口に入る商品は、日本だけでなく世界各国から仕入れられる。

生産地からつながれてきた鮮度を消費者まで届けるように、作業時間は出来るだけ短縮して丁寧に商品化を行う。

仕入から販売までの流れや、生産者の思い、商品の特徴を知ることで、単なる商品を作る作業ではなくなる。

作業ではなく、商品に思いを込めて販売するよう心掛けると、気持ちのこもった商売が出来るようになるので、意識してほしい。