5月から6月に売込むこの商品
【イベント・季節からみる精肉】
5月はゴールデンウィーク(GW)が最大のイベントとなる。
2025年のGWは連休が分かれており、前半が4月最終週末の3連休、後半が5月3日(土)~6日(月)の4連休となる。遠方の長期旅行よりも近場の行楽や自宅での食事需要が高まると予想される。
また、5月11日(日)は母の日であり、家族団らんの食卓向けに、華やかで特別感のあるメニューを展開することが望ましい。以前は母の日88円セールなども開催していたが、88円.100gで販売出来る商材がほとんど無くなってしまったため、ジャンボパック880円なども売るための施策のひとつと考えられる。
6月に入ると、祝日はないが、6月15日(日)父の日が重要なイベントとなる。
母の日に比べると家庭での食事需要が高く、ステーキや焼肉など豪華なメニューが好まれる傾向がある。
季節的には梅雨入りの時期となり、東京では平均湿度が80%前後と高まり、雨天が増えることで、屋外バーベキューよりも家庭内で楽しめるメニューの提案が求められる。
初夏に入るため、気温の変化にも注意をしたい。
東京の2024年5月の平均気温は20.0度で、最高気温が29度近くなる日もある。気温上昇に伴い、焼肉やバーベキューなど屋外調理の需要が増える。
6月は平均気温23.1度となり、湿度が上昇するため、さっぱりと食べられる冷しゃぶや、スタミナをつけるための焼肉や炒め物メニューが求められる時期となる。
このように、5月は連休を活かした家族向けの提案、6月は気温・湿度を考慮したメニュー提案が売上を左右するポイントとなる。商品は、円安の影響で、輸入肉の納品価格が上がっているため、仕入れ状況に応じて、商品のグレードや産地を選ぶと良い。
【5月に使える安近短提案】
5月GW(4連休)が、5月の売り上げの大きな鍵となる。
近年のGWとしては比較的短い連休(4月と併せて2回)であるが、長距離の旅行ではなく、安近短で楽しむ連休となりそうである。量販店にとっては、GWが2回やってくるので、売り上げの山を2回作りやすいチャンスの年である。
近場のバーベキュー場や観光施設をはじめとした場所は賑わい、高速道路も混雑が予想される。そのため、アウトドアでもインドアでも楽しめるブロック肉提案や、すぐ食べることが出来る即食提案が売り上げに直結する。ブロック提案は、年末の煮豚やローストビーフではなく、ハラミや焼肉に使えるバラを塊で販売することで、焼きメニューの季節提案となる。

焼肉売場やBBQコーナーでハラミブロックを展開する。
ゴールデンウィークは、安近短でもキャンプに行く機会が高まる。
定番の焼肉の提案に加えて、ブロック肉を販売することで、焼肉やバーベキューの提案の幅が広がる。
ハラミは、皮を剥いたあとに、身の分厚い側の10cm程度の身が割れる部分と身の薄い部分をカットして、焼肉に商品化する。
ブロックにする部分は、両端の焼肉を取ったあとの中央部分になるが、トレーの長さにを考慮して商品化することで、同じ長さのハラミブロックを作る事ができる。商品のムダな歩留まりロスが出ないように、商品化を最初の時点で考えながら作業すると良い。
ハラミ以外でも、サガリや中落カルビなどの見た目にインパクトのあるブロックを作る事ができる部位でもトライしてみても良い。バーベキュー場が近い店舗では、ショートプレートやブリスケといったバラのブロックを販売していくことも、バーベキューブロック提案を強化していくことのポイントとなる。
グレードは、輸入牛のグラスフェッドだけでなく、穀物肥育牛、パスチャーフェッド、アンガスなど、グレードをしっかりと出して提案することも売場を活性化させる、一つの方法となる。

気温が上昇し屋外でのバーベキュー需要が高まるシーズンに、そのまますぐに食べることが出来る商品を提案する。
家庭でも電子レンジで温めてすぐにおつまみにすることが出来るのもポイント。バーベキューでは、マルチグリルパンなどでさっと焼き目を付けるだけ、下ごしらえも不要な一品となる。「バーベキューでも家でも温めるだけで一品!」といったPOPを活用し、ミート惣菜売場で展開する。
韓国風の甘辛いタレに、たっぷりの刻んだ九条ネギをかけることで、商品の見た目だけでなく、食べたときの香り、食欲をそそる味がリピートにつながる。
ご飯があれば、丼にもなる商品で、大人から子どもまで家族全員が満足できる商品。商品化の時に、ネギをふんだんに使うことがポイント。
今までおつまみコーナーなどで販売していたお肉だけのお惣菜とは異なり、しっかりと料理の一品として提案すると良い。
【6月の冷しゃぶメニュー提案】
6月は湿度が上昇し、食欲が落ちがちな季節。そんなタイミングにぴったりなのが、さっぱりと食べることができる「冷しゃぶ」メニュー。
梅雨入りの時期でもあり、東京の湿度は80%近くまで上昇する。全国的に湿度や雨が降りやすくなるが、近年の気候の変化から、スコールのような大雨が降ることも少なくない。天気にも気を付けながら、ウェザープロモーションを実施すると、さらに売り上げアップにつながる。

牛タンのタン元を利用した商品は、ステーキ、焼肉と様々あるが、冷しゃぶ用として使用すると面白い。タ
ン元は牛タンの中で柔らかく脂肪の乗った部分。しゃぶしゃぶではやや厚めの3mm程度のスライスにして、冷しゃぶ提案を行なう。タン下部分は食感が硬いので、分割して牛タン切り落しなどにして別の用途にする。
牛タン元の冷しゃぶ用は、特有の食感とジューシーさを味わうことが出来る。
しゃぶしゃぶにすることで、余分な脂肪が落ち、さっぱりとしながらも満足感を味わうことができるため、塩レモンだれ、柚子胡椒など塩みのきいたタレがオススメ。
ぽん酢やごまだれなど、冷しゃぶのタレの定番の味でも楽しむことができる。
販促のタイミングとしては、特別感のある食材であるため、父の日のごちそうメニューとしても最適。焼肉やステーキと異なり、家庭でのイベント食としても提案しやすい。
「厚切り牛タンを冷しゃぶで贅沢に!」などのキャッチコピーで訴求。普段の牛タンの食べ方とは異なる食べ方をアピールすることで、購買意欲を高める。
商品としては、焼肉でも食べられるため、どちらで食べても良いと、ことPOPにしておく。

鶏ムネ肉を薄切りにして冷しゃぶ用で提案する。
鶏ムネ肉は、高タンパクで低脂肪なヘルシーメニューとして、たんぱく質を意識する身体を鍛えている人や、女性からの支持もされる商品となる。
商品化では、ムネ肉をそのまま包丁で薄切りにしても良いが、表面を少しだけ冷凍庫で締めてからカットすると、作業がしやすい。完全に冷凍して、作業のタイミングで半解凍してカットする方法もあるが、その場合は(解凍)の表示が必要となる。
調理方法で、加熱するとパサつくという欠点もあるが、さっと湯通しして、食べるタイミングは、色が白っぽく変わったタイミング!などの、食べ方提案を一緒にPOPにすると良い。味付けでは、ぽん酢やごまだれで食べると美味しいが、梅肉だれや香味野菜、食べるラー油などと一緒に、ピリ辛だれで食欲をそそるメニュー訴求も良い。アレンジレシピでは、冷やし中華やサラダチキン風にアレンジすることも提案出来る。
冷しゃぶコーナーでは、豚冷しゃぶ用などと一緒に販売する。色々な畜種を一緒に販売することで、家族全員、子どもから高齢の方まで、様々なお肉をたのしむ売場作りを提案する。「ヘルシー×しっとり!鶏ムネ冷しゃぶで夏準備!」などのPOPを設置し、ヘルシーメニューを意識する消費者にアピール。冷しゃぶ専用のタレや野菜と一緒に展開することで、購買意欲を高める売場づくりを行なう。
焼肉セットの充実で夏準備
ゴールデンウィークを皮切りに、夏に向けた焼肉商戦、バーベキュー商材が本格的に動き始める。
特に見た目の印象が変わる焼肉セットは、陳列され始めると、意識的に焼肉が食べたくなる心理が働くため、消費者の意識付けのためにも品揃えは必須となる。例年だと、輸入牛や国産牛なども交えながら商品をセットアップするが、為替の影響から、輸入牛が安いとはいえない環境となっている。そのため、商品化は仕入れの状況をみてセットアップする商品を決めることが重要である。
今年のゴールデンウィークは、3連休と4連休に分かれ、近場でのレジャーやホームパーティーの安近短需要が高まると予想される。そこで提案するのが、「焼肉セット6点盛り」。バラエティ豊かな6種類の肉を一度に楽しめるセットを提案し、屋外バーベキューはもちろん、家庭のホットプレートやフライパンでも手軽に焼肉を楽しめる商品を売込む。

焼肉セットを作る上で、輸入牛と国産豚をうまくミックスさせることが値入れ率アップにも一役買う。仕入れのタイミングで、納品価格をしっかりと確認し、産地と利益のバランスを整えると良い。
【部位と量目】
豪州産牛ハラミ、モモ、バラ、肩ロースは、セットアイテム以外にも、単品で焼肉や切り落し商材として活用する。
特に、肩ロースはステーキや焼肉だけでなく、切り落しにも活用できる万能選手。牛モモは、冷しゃぶ用や肉野菜巻きなどにも提案可能であるため、安価な切り落しだけではない商品化を心がけると利益に貢献する。
豚肉は、輸入でも国産でも大きな価格差があるわけではないので、定番で輸入豚を使用していなければ、国産豚を使用すると良い。豚バラ、肩ロースは、焼肉アイテムで豚カテゴリで使用出来るアイテムの一つ。セットと単品の両方を販売する。
量目は、1アイテム100gでセットアップし、合計600gというたっぷりボリュームながら、1,980円というお買い得価格で提供。家族4人でシェアしても十分な量があり、「外食するよりもお得!」と感じてもらえる価格設定。1人500円で6種類一切れずつは食べることが出来る。ゴールデンウィークは食材のまとめ買い需要が高まるため、「ファミリー焼肉セット」として強く訴求し、まとめ買いを促進する。
【食シーンによる関連販売商品】
(アウトドア)キャンプ場でのバーベキューでの焼肉、庭先での簡易的な焼肉にも利用できる。アウトドア焼肉の場合は、味付けは市販の定番焼肉のタレや塩コショウが一般的になる。関連販売では、必須のアイテム。アウトドアで人気の黄金のタレやマキシム、クレイジーソルトなども、グロサリーと連携しながら販売すると良い。
(インドア)ホットプレート焼肉やフライパン調理での焼肉、カセットコンロの焼肉プレートを使用した調理も含めて活用出来る。家庭で食べる場合は、お肉にあったタレや調味料が関連販売されていると売り上げが伸びる。
ハラミは岩塩やハーブソルト、牛モモはにんにく醤油だれ、牛バラは脂肪が口に残りにくい粘度の高いタレやさっぱりとしたおろし醤油だれなど関連販売する。
豚肉はサンチュと一緒にコチュジャンをつけてサムギョプサル提案や、最近はレモン系のタレで食べさせる外食も増えている。