概況
年末年始商戦では牛肉を中心に動きが活発になり、その反動でウィークデーは比較的安価な豚肉や鶏肉の動きが活発になると想定される。しかしながら、一概に牛肉が高いとも言えない状況になってきているため、注意が必要である。

資料:総務省統計局「家計調査」より

資料:総務省統計局「家計調査」より
二人以上の世帯<品目分類>1世帯当たり1か月間の支出金額,購入数量及び平均価格から前年比を算出

総務省家計調査のデータによると、2025年の畜肉の消費金額は大きく伸びを見せており、消費数量に関しても全体的に牛豚鶏ともに前年を超えている傾向にある。牛豚鶏それぞれ見てみると、単価の部分で、差が出てきていることが伺える。

牛肉消費金額推移(単位:円)

牛肉消費金額推移(単位:円)

2025年の牛肉の消費金額は前年と横ばいの推移となっている。数量ベースでも2025年は前年とほぼ横ばいの状態であるが、単価を見てみると2024年よりも単価が下がっていることが伺える。

豚肉消費金額推移(単位:円)

豚肉は、消費金額は特に前年を5%近く上回っているが、単価も前年を上回っていることがわかる。

鶏肉消費金額推移(単位:円)

鶏肉に関しても消費金額が大きく上昇しており、安価な商材への食の意向が伺える。鶏肉に関しては、単価が月によってブレはあるものの5%~10%程度大きく上振れしている。特に、鶏肉は鶏ムネ肉の単価が上がっていることが要因の一つと考えられる。

2025年の消費の推移を見ると、豚肉や鶏肉に消費が向き始めているが、単価を見ると、豚肉や鶏肉は上昇傾向にあり、むしろ牛肉は単価が下がっている傾向にある。そのため、ハレの日の牛肉訴求は昨年よりも行ないやすくなったと考えられる。

【イベント・季節からみる精肉】
1月の東京は平均気温5〜6℃前後、冬本番の冷え込みとなる。日中でも10℃を超えない日が多く、夜間は氷点下近くまで下がる。寒さが家族の在宅時間を延ばし、“温まる・囲む食卓”が求められる時期となる。
2026年1月は1日元旦(木)に始まり、4日(日)までが年始の休みとなる企業が多いと推測される。1月の祝日は12日(月)成人の日で土曜日からの3連休というのが一般的なスタイルと想定される。年末年始のごちそうムードが続きつつも、成人の日を含む三連休を前に「もう一度みんなでおいしいものを食べたい」「手軽にちょっと良いものを」という動きが強まる。精肉部門では、すき焼きやしゃぶしゃぶといった“冬の肉料理”が主軸であり、年末の非日常と、年明けの日常回帰の狭間をつなぐタイミングでもある。
この冬は特に、節約・健康志向の中で「質と量のバランス」を重視する消費傾向にも注目があつまる。単なる“高付加価値肉”ではなく、“食卓の主役をどう演出するか”が問われる月である。

今月の月間販促

“すき焼き”をアップデートする 〜焼肉用和牛でつくる『すき焼肉』提案〜

国産黒毛和牛トモサンカク(もも)すき焼肉用 498円/100g

1月は「冬のごちそう&団らん応援月間」。家庭での内食が続くなかで、精肉売場が果たすべき役割は「家の中での非日常を演出すること」である。
なかでも、今年の注目は“すき焼き”の進化系——焼肉用の和牛を使った「すき焼肉」提案。近年、高級焼き肉店から人気が出ている「厚めに焼いてから卵にくぐらせる」スタイルがSNSを中心に浸透しており、若年層や共働き家庭の間で従来の鍋すき焼きとは異なる、新しい食体験として注目されている。
牛肉売場では、「焼肉用リブロース・肩ロース」などのすき焼き用商材を展開するともに、和牛焼肉用を“すき焼肉用”として再提案し、冬でも「焼いて食べる贅沢」「焼肉より少し和風」として訴求を行なう。既存の“すき焼き=薄切り肉”の常識を変える、新しいカテゴリー提案となる。ホルスタインや輸入牛では食感が硬くリピートにつながりにくいため、舌触りがよく、融点が比較的低めの和牛の脂肪が入りやすい部位で提案する。
年始だけでなく、成人の日の三連休を軸に、家族・友人が集うホームパーティーシーンでも使える“厚切り和牛”を展開。「冬のごちそう=焼く」方向へシフトさせることで、グリル調理やホットプレート需要も取り込む。
POPコピーは「焼いて楽しむ、すき焼肉」「食卓が変わる冬のごちそう」。惣菜・精肉惣菜売場とも連携し、「焼きすき重」「卵くぐらせ弁当」などの派生提案でカテゴリー間連動を図る。
1月後半には節分前の“牛すき巻き”提案へと自然に接続できるため、「1月=すき焼肉月間」として販促を統一することを推奨する。

今月の重点商品

テーマ1:成人式需要に合わせた「和牛ステーキフェア」

国産黒毛和牛ランプ(もも)ステーキ用網の目カット 698円/100g

成人式や新年の祝いの席に向け、和牛のステーキ提案を強化する。サーロインやランプなどの定番のステーキから、食感、歯ごたえの強いモモ部位は、表裏で互い違いになる網の目カットにしてステーキ提案する。ウチももなど赤身の味が強い部位は、ステーキソースをしっかりと絡めて食べることが出来る商品化である。商品化はトレーの中で、網の目になっていることがわかるようにすると良い。それ以外にも、ブロック肉を家族でシェアするブロックステーキ提案も面白い。ブロック肉をテーブルの上で、家族でシェアする楽しみが面白い。和牛の等級や部位による味わいの違いを訴求し、「一生に一度の門出を、和牛で祝う」メッセージで高付加価値販売を狙う。週末には焼き方提案や簡単ソースのアレンジ提案も併せて実施する。

テーマ2:平日需要の底上げ「米国産豚ロースの味噌漬けサイコロステーキ」

米国産豚ロースコロコロステーキ用(味噌漬け) 498円/300g

正月明けのウィークデーに想定される売上減対策として、簡便調理の味噌漬け商品を提案する。カナダ産豚ロースを2cm角にカットし、家庭でそのまま焼ける“サイコロステーキ”仕様にする。豚味噌漬けのタレを絡めてトレーに盛り付ける。通常の味噌漬けのサイコロバージョンであるが、見た目も変わり、味噌もより多く絡むため、利益確保にもつながる商品である。フライパン調理で、夕食のおかずにも弁当にも使える便利さを訴求。「焼くだけ・旨い・手間なし」をキーワードに、平日需要を下支えする。豚ロース切り身の商品化と同時に行なうことで、作業性も上がる。味違いのシリーズでは、香草焼きやスパイス焼き用なども品揃えできる。

テーマ3:ハレの月に楽しむ「京鴨スライスの鴨鍋&鴨焼提案」

京都産京鴨ロース(ムネ肉)切り身 598円/100g

1月は新年会や家飲み需要の高まる“ハレの月”。京都産京鴨ムネやモモのスライスを使った「鴨鍋」をしっかりとハレの日提案して行く。鴨肉は切れない包丁でカットすると、身と皮が分裂してしまい、上手く商品化出来ないと思われがちである。包丁を切れる状態にして、脂肪を上にして、動かないように包丁を入れると綺麗に切ることが出来る。上手くいかない場合は、脂肪を外側にしてロール状にラップで巻いて、半凍結させると切りやすいのでトライしてもらいたい。消費者としては、せっかく鴨鍋をするのであれば美味しく食べたいという心情もあるため、鴨鍋のつゆや脂肪部分をあえて商品に入れる。鴨の脂肪は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸のバランスがとれており、特にオメガ3として知られる多価不飽和脂肪酸が豊富に含まれていると言われている。鴨肉ならではの特徴も謳い文句にして、脂肪も売込んでいく。鴨肉は、鍋需要だけでなく、実は焼いて塩コショウで仕上げても美味しい。鍋用としてだけでなく、“焼いて旨い鴨”という新たな食べ方提案で、家庭の食卓にプレミアム感と変化をもたらす。

テーマ4:精肉惣菜の差別化「希少部位ローストビーフ」

豪州産トモサンカク(もも)食べ比べセット 980円/1P

年始休暇、成人の日を中心に美味しいものを食べる機会が増えるが、特に、そのまま食べることが出来るローストビーフやローストポークなどは品揃えを増やしておきたいタイミング。ローストビーフといえばモモ肉が定番だが、あえてサシの入るトモサンカクやイチボなど希少部位を使用し、“ハレの日のおかず・おつまみ”として提案する。同じ原料のローストビーフでも、スライス、角切り、ステーキ、焼肉のようなカットをするだけで、別の商品として認識される。見た目の華やかさと豊かな味わいで特別感を演出することもできるので、成人式や家族の集まり、贈答にも対応できる高級惣菜として差別化を図る。精肉惣菜コーナーで販売することで、お肉屋さんならではの特徴を持たせた商品となる。タレだけでなく塩で食べるローストビーフなども提案して、精肉らしい特別感のある商品化を行なうと良い。

黒毛和牛角切りを牛鍋でリメニュー

明治初期、日本人が初めて「牛肉を食べる文化」に触れたのが、いわゆる“牛鍋”だった。文明開化の象徴として知られるこの料理は、当時の東京・横浜の庶民の間で爆発的な人気を集めたようだ。鍋の中身は、今のすき焼きに近いが、当時の味付けはやや異なる。割下を使うのではなく、まず牛脂で肉を焼き、そこへ味噌・醤油・砂糖・酒を加えて煮立てる、味噌ベースの甘辛い仕立てが主流であった。野菜は春菊や芹など香りの強い葉物が中心で、現在のすき焼き野菜のネギ、焼き豆腐、しらたき、白菜とは異なる。まだ生卵をつけて食べる習慣はなく、鍋の中で味を絡ませ、そのまま箸でつまむのが一般的だった。

2026年の年始は、このような“文明開化の牛鍋”を現代にアレンジした「黒毛和牛角切り牛鍋」で迎えてみてはどうだろう。黒毛和牛肩ロースやウデの煮ても硬くなりにくい部分を2~3cm角にカットし提案する。見た目にも存在感があり、肉本来の旨味と脂の甘みをしっかりと味わえるのが特徴である。味付けは、味噌と醤油をベースに、砂糖とみりんでコクを出し、隠し味に少量の生姜を効かせると、昔ながらの香ばしさと現代的な深みが融合する。

具材は、長ねぎ、焼き豆腐、しらたき、春菊を基本に、現代風にアレンジするなら舞茸やごぼうを加えるのもおすすめである。牛肉の旨味を吸った味噌だれが野菜に絡み、箸が止まらなくなる。仕上げにお好みで卵黄を添えれば、当時にはなかった“現代の贅沢”として演出できる。

売場では、「文明開化の牛鍋フェア」として、黒毛和牛角切りパックを中心に、味噌だれや野菜のセット化を行うと効果的だ。歴史を感じるコピーで売場演出を加え、「日本の肉食文化はここから始まった」というストーリー性を前面に出す。年始の団らんに、“文明開化の味”を再現する提案は、和牛の新しい価値を伝えるきっかけになるだろう。

定番アイテムを進化させた提案を強化させる

1月の精肉売場は「ハレの日」と「日常回帰」の二軸で構成する。成人式や新年会など祝いの需要には、王道の黒毛和牛すき焼き・しゃぶしゃぶの売り込みから、黒毛和牛ステーキ・焼肉の焼き商材まで提案する。部位ごとの提案は、希少部位だけでなく、味わいも訴求し、特別感のある食卓演出を狙う。一方で、正月明けの平日には、売上の落ち込みを補う簡便商品が鍵となる。豚ロースや肩ロースを使用した、定番のしゃぶしゃぶだけでなく、お弁当にも使える味噌漬けに仕立てた“サイコロステーキ”を展開し、「焼くだけ・手間なし・旨い」で時短調理ニーズに応える。また、1月らしく、月の前半はハレ型メニューを強化して、あい鴨ムネ・モモスライスを使った提案で攻めると良い。精肉惣菜では、トモサンカクやイチボなど希少部位を使ったローストビーフを展開し、定番のローストビーフとの差別化で高級感を訴求する。
ウィークデーは売上が落ち込むため、ハレの日とケの日をしっかりと見極めた売場作りで売上を確保していく。