盆商戦傾向

都内を中心とした量販店では、「家族で楽しむお盆」をテーマにした広告を打ち、集客を行っていた。

しかし、今年の盆商戦の中心となっていたのは刺身や寿司で、夏にも関わらず焼肉がメインとならない精肉にとっては悲しい広告が多かった。

今夏は雨が続きアウトドアのBBQ提案では売上を稼ぐことは難しかったことと思う。雨が続いた場合は、インドアの焼肉提案を行うことで、売上を確保していくと良い。

特に、盆時期は天気が悪くても連休であるので、家族で楽しめる商品というのがポイントとなる。

ホットプレート焼肉、グリルを使った豪快インドアBBQなど、頭を切り替えて提案することで、売上は確保できる。

 

商品としては、粗挽きソーセージや自家製銘柄ソーセージ、生フランクなどの加工肉は見栄えもよく、アイキャッチ商品としても活躍した。アウトドアでは、スモークハウスで燻製にして食べることもできる。

群馬県産自家製絹豚生ソーセージ100g198円

群馬県産自家製絹豚生ソーセージ100g198円

また、牛肉の「Tボーンステーキ」や「トマホークステーキ」などが外食店でも人気なため、骨付き商品は今年ポイントとなっている。

牛肉の骨付きは一般的になってきているため、豚肉の骨付き商品の展開で差別化を図ることが出来る。

「豚モモ肉・輪切り肉」は、売場では強烈なインパクトを残す。

BBQで、切り分けて食べるイベントの大きな目玉になる。

価格も、100g100円台で提供できるので、お買い得アイテムになる。

アウトドアでは最高の肉祭りとなる一品であるが、インドアでは家庭のグリルに入れて、じっくりと火を通すとか、トマトジュースで煮込むとか、スチームオーブンで加熱することでジューシーにグリルを楽しむことが出来る。

海外の肉インスタグラマーの投稿でも、しばしば目にするが、日本ではまだ一般的に販売されていない。

クリスマス商戦や来年に向けた商品でチェックしておくべき商品である。

国産豚肉モモ輪切り100g178円

国産豚肉モモ輪切り100g178円

店舗での盆商戦

【東急ストア】

盆商戦は「家族で楽しむお盆の食卓」提案で、マグロや刺身を中心とした広告の中、精肉の通しのテーマは「家族そろって美味しいお肉を」。お肉のよりどり2パック1980円(1パック1080円)で、焼肉用、切落し、すき焼き用、ステーキ用とお肉のよりどりセールで売上確保、買い上げ点数確保を狙っていた。12日土曜日の日替わりは、黒毛和牛モモ肉ステーキ用100gあたり598円、13日日曜日は黒毛和牛200999円であった。

オーストラリア産牛ステーキ用(サーロイン)300g1080円

オーストラリア産牛ステーキ用(サーロイン)300g1080円

広告商品のよりどり2パック1980円。今回、競合他社も含め輸入牛サーロインステーキ用を中心とした売場作りを行っていた。価格帯は競合店もほぼ同じなため、トリミングなどが勝負となるが、鬼スジ、脂肪ともにしっかりとトリミングされていた。

鹿児島県産黒毛和牛カルビ焼用(バラ肉)130g1080円

鹿児島県産黒毛和牛カルビ焼用(バラ肉)130g1080円

広告商品のよりどり2パック1980円。肉質等級4等級以上の黒毛和種を使用した焼肉用で、トモバラを使用している。売場の商品も丁寧に立体的に盛り付けられており、お買い得感がある。しかし、やや厚みが薄く、焼いたときにボリューム感に欠ける印象が残った。

九州産熟成和牛ステーキ用(モモ肉)経産牛180g1280円

九州産熟成和牛ステーキ用(モモ肉)経産牛180g1280円

30日以上乾燥熟成した経産和牛で、エスフーズ関東ミートセンターからのアウトパック商品である。

やや、ドリップが出ており、周りのチルドの発色した赤い牛肉と比べると、若干くすんだ色の熟成牛は目劣りする部分も感じたが、ブームの熟成牛ということで、手に取る人も多かった。

【いなげや ブルーミングブルーミー】

盆商戦は「家族をつなぐひととき」というテーマで、お寿司や刺身を主力アイテムに広告は構成されていた。精肉は「みんなで焼肉・すき焼き」のテーマで、牛豚焼肉セット1パック480g1280円、米国産牛肉カルビ焼用(バラ)1パック270g1000円、国産美味豚焼肉セット(バラ・肩ロース)1パック340g780円の焼肉提案と、国産黒毛和牛すき焼き用(肩ロース)100g898円のすき焼き提案が広告に掲載されていた。

日替わりにおいても、13日お盆迎え火には国産黒毛和牛ステーキ用4割引や15日お盆には欧州産牛肉ステーキ用(サーロイン)100gあたり298円と、集客力のある広告であったと思う。

加工肉についても、日本ハム中華名菜3割引き、シャウエッセン2B378円、プリマハム新鮮使い切りロースハム4298円、15日は加工肉2割引きで魅力的な広告展開をしていた。

 

また、特売で東急ストア同様に、よりどり2パックセールを実施。こちらは2パック1780円(1パック1000円)で、東急ストアよりも2パックで200円安い売価設定で展開していた。

宮城県産黒毛和牛すき焼き用(もも)140g1000円

宮城県産黒毛和牛すき焼き用(もも)140g1000円

よりどり2パック1780円商品。仙台黒毛和牛モモ肉で、100gあたりでは715円の設定である。いなげやのアッパー業態のブルーミングブルーミーということで、蓋付きトレーを使用し綺麗に盛り付けを行うことで、売場にも高級感をしっかりと出して展開していた。

国産牛肉切落し280g1000円

国産牛肉切落し280g1000円

よりどり2パック1780円商品。北海道産・東北産限定の北の若牛を使用した国産牛切落しで、100gあたり358円設定。国産牛でも銘柄を使った展開で、こちらも蓋付きトレーを使用することで、和牛に見劣りしない商品に見えることがポイント。量目も多く蓋付きトレーを使用することで、立体的に盛り付けられ多く入っているように見える。

国産あじわい牛焼肉(リブロース)100g1000円

国産あじわい牛焼肉(リブロース)100g1000円

よりどり2パック1780円商品。値付けラベルとブランドシールの名前が違うが、おそらくブランドシールの「島根県産まつなが牛」が正しいと思われる。

まつなが牛であると、和牛のため100gあたり1000円で納得できるが、値付けラベルの情報だと、国産牛のリブカブリとなってしまい割高感がある。

どちらが正解でも、商品としては割高感があるように見えてしまう。蓋付き金トレーに盛り付けをしても、もったいない商品である。

【相鉄ローゼン】

相鉄ローゼンに関しても、豪州産牛サーロインステーキを特売し、競合同様に展開を行っていたが、最もケ型に近い売場作りを行っていた。

オーストラリア産牛肉バラカルビ焼用100g298円

オーストラリア産牛肉バラカルビ焼用100g298円

ナーベルを使用したスライス焼肉を下段陳列。商品によって脂肪が多い商品もあり、売れ残っている感じがあった。和牛を中心とした焼肉の商品展開も行っていたが、売場の主力商品はこちらであった。

国内産豚肉モモしゃぶしゃぶ用100g208円

国内産豚肉モモしゃぶしゃぶ用100g208円

冷しゃぶ提案で、多段ケースの下段で大陳していた。盆商戦そっちのけの、国産豚モモ肉を使用したしゃぶしゃぶ提案で、ある意味競合とは差別化した商品展開であった。外モモ部分をスライス取りしたしゃぶしゃぶは、やや高め設定と感じられる。

 

【マミーマート】

盆商戦後半の15日16日は、「価値ある商品大放出93円均一」で、価格訴求での集客を行っていた。精肉では国産若鶏モモ肉、めぐみ鶏ささみ、牛豚ハンバーグ挽肉などケ型商品の訴求。

 

【マルト】

「お盆のごちそう」の広告で、15日16日は焼肉と刺身の広告が展開されていた。焼肉では牛赤身カルビ焼用(モモ肉)が1パック1000円など掲載されていたが、その他は豚バラ生姜焼き用1パック680円などのケ型商品の展開。アルトバイエルンが368円など加工肉では価格戦略での展開。

 

【ライフセントラルスクエア(関東)】

広告は11日~15日で組まれ「夏の宴」の提案で、精肉では夏のスタミナ焼肉提案で、黒毛和牛(5等級)焼肉セット、カタうす切りが100g680円、壱岐牛2割引きなど牛肉に力を入れた広告を展開。

 

【関西スーパー】

15日はお客様感謝デーで5%引きを目玉に、宮崎県産牛肉モモランプステーキ100g498円、モモステーキ100g398円、16日はさわやかチキン国内産若鶏モモ肉100g98円、ムネ肉58円と鶏肉での特売。通しの焼肉では、焼肉セットを2780円、1880円など、盆商戦ならではのハレ型商品を掲載していたが、主力の扱いではなかった。

盆ウィークの扱い

盆暮れ正月といえば、売上が通常の3倍も4倍も売れていたという事を、60歳オーバーの職人さんはこの盆商戦で5回は口にしたのではないだろうか。

かつての「お盆」といえば、今よりももっと実家に帰省する家庭も多く、親族で過ごす期間であったため、特に地方都市では、まさに“盆商戦”というくらいの商戦期間であった。

しかし、家族で遊んだり、海外旅行に気軽に行けるようになった今、実家に帰省することは、夏には少なくなったため、この盆商戦は、我々には“盆ウィーク”程度に格下げした1週間になってしまったことが、今年の各社の広告内容で見て取れる。

実際、大型パックよりも通常の商品が売れる、というよりも、通常の生活をしているため、ケ型商品を売るほうが自然、と言った方が無難かもしれない。

しかしながら、家族が楽しめる1年でも数少ない1週間を、通常の商品で展開するのではもったいない。

エンジョイ出来る商品を精肉から提案して、店舗と地域を元気にする売場を来年は提案したいと思う。

今回、始めに紹介した生ソーセージ、豚肉モモ肉の骨付き輪切りは、インパクト、ボリューム、話題性、インスタ映え、価格訴求、どれをとってもピカイチである。売場に楽しさを提案できる商品が並んでいたであろうか。今一度振り返ってみてもらいたい。