健康食コーナー
年々高齢者層が多くなっていること貼るご存知のことでしょうが、実際平成30年12月推計値で、男性の25.2%、女性の31.0%が65歳以上である(表参照)。
表:年齢階級別人口推計構成比
平成30年12月1日現在(概算値) | (%) | (%) | |
男女計 | 男 | 女 | |
15歳未満 | 12.2 | 12.8 | 11.6 |
15~64 | 59.7 | 62.0 | 57.4 |
65歳以上 | 28.2 | 25.2 | 31.0 |
うち75歳以上 | 14.3 | 11.5 | 16.9 |
うち85歳以上 | 4.5 | 2.9 | 6.1 |
資料:総務省統計局
高齢者は、お肉を食べないわけではないが、脂肪の多いものも摂取しない傾向にあることも事実である。そこで、精肉では、脂肪分が少ないアイテムを品揃えし、高齢者にも購入しやすい売場作りを目指す。
商品は、高齢者は国産志向のため、産地は国産のものを使用。
牛肉では、国産牛サーロイン、モモ系、肩系の脂肪の少ない部位を選択。
トリミングはしっかりと行ない、脂肪は残さないようにすることがポイントとなる。
豚肉では、ロース、モモを使用。ロースの脂肪、モモの周りの脂肪はトリミングする。鶏肉では皮なしムネ肉、ささみを使用する。
売場は「脂肪分少なめ」の健康コーナーとして、新しいカテゴリーを設置する。ただし、「脂肪が少ない=美味しくない」では、長続きしない売場となってしまうため、赤身の美味しい、褐毛和牛や黒豚、地鶏などの赤身に旨みのある畜種やグレードをアッパーグレードとして品揃えする。
ターゲットは高齢者であるが、サブターゲットとして、成人女性、ジム通いの成人男性も想定し、近隣にジムなどがある場合は、特にカロリーを意識した生活者が多いため、有望なカテゴリとなる。
オーガニック素材
オーガニックという名前はよく耳にするようになったが、実際商品を販売していなければ、なんとなく高い商品というイメージしかないかもしれない。
しかし、都心を中真にオーガニックの売場は増えており、新店舗には必ずといって良いほどコーナー化されている。しかし、海外でも精肉すべてがオーガニックという店舗はほぼないことから、ひとつのトレンドカテゴリとして必須となると売場という位置づけである。
各国にオーガニックの定義は国が定めているが、日本ではまだ設定されていない。たとえば、オーストラリアでは、100%農薬不使用の牧草肥育であることや抗生物質不使用、ホルモン剤投与なしなどの厳しい基準がある。
2018年12月にウルグアイ産牛肉の解禁が報道された。
ウルグアイに関しても、抗生物質不使用、ホルモン剤投与しない国としても知られており、南米の牧草肥育で有名な国のひとつである。2019年はこういった、自然派素材が精肉売場では多く見られるようになる。
牛肉のほかにも、鶏肉でもオーガニックチキンは流通している。
しかし、抗生剤不使用の鶏肉は事故率(死亡率)も高く、価格的に高くなってしまっている。オーガニックは、価格ではない「価値」を販売しているため、地域住民が比較的所得が高い地域のほうが受け入れられやすい。
超レンジアップコーナー
以前からレンジアップ商材や簡便商品はカテゴリ化されてコーナー取りしてきたが、品揃えに幅がなく購入頻度の低い売場となっていた。
しかし、レンジ対応トレーの改良と普及によって肉入り加工食品のレンジアップで、品揃えのバリエーションが可能となった。
商品としては、三元豚入り焼きそばや銘柄鶏入り鶏ちゃん焼き、国産豚ホルモンの味噌煮から、冬場では白菜と豚バラのミルフィーユ鍋、豚キムチ鍋、きりたんぽ鍋など鍋シリーズもレンジアップで食べることが出来る。
レンジアップ商品でトレンドとなるには、ポイントとなる部分がある。
1つ目に、「味が美味しい」こと。レンジアップ商品はレンジ調理となるため、仕上がりが水っぽくなってしまうことが今までの欠点であった。この部分の改善は必須である。
2つ目に、お肉が「精肉で使用している銘柄肉である」こと。精肉と惣菜で同じ銘柄肉を使用した唐揚げを販売するなど、銘柄を活用した販売を行ってきたが、半製品に関しても銘柄肉を使用することで、消費者が安心して食べることが出来る商品へと変化する。
3つ目に、「品揃えの多さ」がある。2~3品で売場作りをしても、カテゴリキラーとはならない。少なくても、多段ケースだと2尺縦陳列、平台だと1本まるまる簡便商品で品揃えするくらいの、売場作りが必要である。
2019年トレンド
今回、「健康食コーナー」「オーガニックコーナー」「超レンジアップコーナー」の3カテゴリを提案したが、いづれの商品も単品で売上を狙っていくことは困難である。
赤身志向やオーガニックは、海外でも認知度が高く、売場作りをしている店舗も多い。しかし、レンジアップ商品は日本ならではの独自の文化を形成してきている。
海外視察を多く積み重ねても、そのまま海外商品やアイデアの輸入は難しい。
日本ならではの、消費者目線と家庭の調理器具を活用した提案を売場で行うことで、新たなニーズを掘り起こすことが可能となる。