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月城流通研究所 月城聡之

リテールトレンド

5月に売込むこの商品

ゴールデンウィークには、焼肉やBBQアイテムの強化を図る。

コロナ禍で、安価な商材が売れる反面、高級商材を売った企業は堅調に売上を伸ばしている。

高級商材を売込むことも、一工夫が必要となってきている。

輸入肉をはじめ、相場が高騰し、かなり利益を圧迫し始めている企業も少なくない。

そのため、グレードの高い商品は、その価値に見合った商品化を行なうことが必然的に要求される。

国産黒毛和牛「超厚切り」ランボソステーキ用(ランプ) 598円/100g

「和牛ランイチ(ランプ)」は、「ランボソ(ランプ芯)」や「ラン」などに小割でき、希少部位としても人気の部位となっている。

部位表示としては、「ランプ」とする必要があるが、ランボソの表記があれば、希少部位のイメージが高くなり、食べてみたくなる。

日本のスーパーのステーキは、パック単価を上げないために、1cm以下に商品化することも一般的となってしまったが、やはりステーキは厚切りで食べたいのが心情である。

ランボソを4~5cmの厚さでカットして、厚切りのステーキで提案する。

パック単価は、ランボソの判の大きさで1000円以内に収まる。

高蓋付きのトレーで売込むことで、横からの厚みが視認出来る。

販売時期は、ゴールデンウィークで、焼肉やバーベキュー、お家焼肉でもSNS映えする一品となる。

5月に入ると焼商材の展開が主力となるため、切り落し、薄切り商品の売り込みで売上の底上げを行なう。

特に、GWや母の日が終わった中旬以降はイベントもなく売上が作りにくいため、スライス商材の売り込みも重要となる。

国産黒毛和牛の不揃いの切り落し 498円/100g

希少部位の焼肉やステーキの商品化を行なった際に、厚切りで展開しにくい小割部位が残ってしまうことがある。

カレー用など安価に販売することも多いが、判がしっかりととれる場所は、不揃い切り落し展開で単価を落とすことなく販売していく。

丸形トレーでふんわりと盛り付けてドーム型の高蓋でボリューム感が売場でも表現できる。システムトレーに入った小間切れや切り落しよりも、見栄えが良く売上に貢献出来る。

パック単価800円以内に商品化することが、ボリュームと価格の価値が一致するラインである。

同様に、不揃い焼肉や不揃いステーキなど厚切り関係に関しては、ゴールデンウィークに展開すると良い。

国産銘柄豚2色盛り(バラ、肩ロース)1480円/700g

しゃぶしゃぶから冷しゃぶ、温しゃぶ、蒸ししゃぶへの切り替えが行なわれるため、薄切りを拡販する。

連休や週末を中心に大型の丸皿商品の展開を行ない、平日は小型丸皿でパック単価を抑えて商品化を行なう。

丸皿での商品化は、ボリューム感が出にくいと思われがちであるが、ラップでの商品化ではなく、蓋にすることで、立体的に商品化を行なうことが出来る。

丸く「ふわっと」した商品化で、たくさん入っているように見えるだけでなく、実際に調理するときにも1枚ずつ取りやすい。

安価な商材は、業務用やホールセールのような大量販売を行なっている企業で売上を確保している。

見様見真似で安価な商品を販売しても、パック単価を下げて販売してしまっては、単純に買い上げ点数が上がらなければ売上は下がってしまう。

これが売上を下げた企業の実態と考えられる。

輸入肉に関しても、今までのように、安い商材だからと、何でも切り落しに商品化することや、ブロックでどんどん売りさばくという手法も、結果的には工夫を凝らした競合企業に、お客様を奪われるということになってしまうため注意が必要である。

【ミート惣菜】

「Withコロナ時代」だからこそ、売上を伸ばしてきている商品が多数存在する。

展開のポイントは「家飲み」。

家飲み需要は、新型コロナ発生以前からあったが、会社帰りに飲み歩いていた会社員が飲みに行くことが出来なくなったため、外食で食べていたメニューが売れる。

特に、「焼鳥串」や「やきとん」、「ホルモン焼」などは、家で焼くと煙が出てしまうので、ミート惣菜での展開がポイントとなる。

国産豚肉やきとん5種盛り合わせ 598円/5本

国産豚肉タン、ハラミ、かしら、ハツ、レバーの5種類のやきとんの盛り合せパック。

小袋のやきとんのたれ(みそ)を添付して商品化する。

トレーは銀系のトレーで買いやすい商品を演出。会社帰りのちょい飲みをイメージさせたコトPOPなども良い。

おつまみメニューでは焼き鳥やひざ軟骨唐揚げなどの販売と、可能であれば関連販売で缶ビールを陳列したい。

プラントベースミート売場

 

https://www.excite.co.jp/news/article/Ssnp_20210525150214/

大手量販店では、すでに「代替肉」や「プラントベースミート、ソイミート」の売場作りが進んでいる。

グロサリーでマルコメの「大豆のお肉」を販売している企業は増えているものの、精肉コーナーではまだ浸透していない企業も多い。

最近になり、ネクストミーツが販売する「NEXT焼肉」シリーズなども精肉へ進出し、焼肉用代替肉「NEXTカルビ1.1」「NEXTハラミ1.1」など、大手量販店を中心に展開があることはニュースでも取り上げられている。

外食の「焼肉ライク」にもメニューとして、定番化されている。

日本では、昔から大豆タンパクを一般的に豆腐など摂取しているため、欧米のように、あえて肉と紐付けてまで代替肉を販売する必要はないかもしれないが、ミートフリーマンデーの浸透や色の多様化から、固定概念を変えていく必要も出てきている。

代替肉には、様々な植物から肉に似せて作られる「プラントベースミート」や、大豆を主原料として作られる「ソイミート」、えんどう豆を主原料とした「えんどう豆ミート」など、原料によって様々な商品がある。

今までは、ビーガンやベジタリアンなどの動物愛護や健康意識から肉を食べないという選択肢を選ぶ人々がいたが、最近は家畜の排泄物の処理問題や牛のゲップによる温室効果ガス問題など、環境問題への意識の高まりから、このような商品を選択する人も増えている。

また、イスラム教徒やユダヤ教など、海外から来る外国人(旅行者ではなく留学や在住外国人)の宗教による食の禁忌でも、必要になってきている。

今のところ、植物性の代替肉が、精肉よりも味、価格の面でも劣る部分が大きいため、精肉の次の柱となる畜種とは言えないが、徐々に売場作りをはじめていく必要がある。

現在、「代替肉コーナー」、「オーガニック(ナチュラル・BIO)コーナー」などが、新たなカテゴリーとして、精肉でも徐々に浸透し始めている。

食の選択肢として新たに取り組む良い機会となるため、売場作りを進めてもらいたい。

押さえておきたい最新動向「精肉冷凍商材」

新型コロナウイルスによって量販店の売れ筋も大きく変化していることに、気が付いている企業と、気が付かず昨年同様の売場作り、商品作りをしている企業で2022年に入ってきてから少しずつ差が出始めている。

精肉の冷凍コーナーを見れば一目瞭然である。

2022年に入ってからも売上を堅調に伸ばしてきている企業では、数年前から売場を拡大してきているミールキットや簡便商材が、今や冷凍コーナーの構成比を高めた売場作りとなっている。自社開発の商品の品揃えだけでなく、地方メーカーの作るキット商品が売場を席巻している。

フライパン一つで作れる簡便商品や、レンジで1食作れる冷凍食品は、徐々に消費者にも浸透し始めており、取り組んだけれども、1ヶ月で結果が出ないからと、売場から撤去してしまった企業は、浸透する前の敗北者となってしまった。

鶏モモ肉のシュクメルリ398円

解凍してフライパンで焼くだけの簡単な商品。商品展開は、若い層やファミリーが暮らす住宅街で売れる。冷凍商品に対する抵抗は薄れているだけでなく、新型コロナに対する冷凍備蓄アイテムとしての役割も果たしている。

1種類や2種類品揃えしても、消費者の認知度は低く失敗するが、平台や冷凍ケースにきちんとコーナー化して、シリーズ商品として青椒肉絲やペンネパスタなども品数多く品揃えすることがポイントなる。

新型コロナウイルスによって、生活環境が著しく変わり、冷蔵庫も冷凍室が大きめが売れ、一部では冷凍庫だけを購入する家庭もいる。

買い物の頻度を押さえ、食料品は冷凍保存することで、感染リスクを抑えた生活の知恵である。そのため、精肉の冷凍コーナーだけでなく、店の冷食売場も野菜の素材の需要が増え、1食食べきりのアイテムが増えている。

精肉の冷凍コーナーが売れないと3年4年前までは嘆いていたが、今は冷凍コーナーでの展開が売上を大きく変わらせる場所となっている。

ミールキット以外にも、冷凍焼鳥や冷凍内臓、冷凍バラ凍結の精肉アイテム(豚バラ切り落しやミンチなど)も、定着してきていることは言うまでもない。

「シュクメルリ」は、外食で紹介された、新しいアイテムである。

新型コロナウイルスによる新たな精肉へ

この2年で大きく環境が変化した。

その環境変化によって、食生活も変化し提案方法や品揃え、商品化も一変するタイミングとなっている。冷凍商品は、売場だけではなく、EC(ネット販売)でも活用することができ、最近では店頭にお肉の自動販売機の設置を行なう企業も話題となっている。

今まで、当たり前に売場で商品が販売できていたものが、コロナ感染対策によって、買い回り時間の減少、ネットの活用が盛んになった。

外食は著しく減り、その代わりに家庭での食事に変わったことで、内食需要だけでなく中食にも影響を及ぼしている。

今まで、精肉で懸念されていた冷凍商品は、家庭での備蓄食料として活用されるため、急激な進化を遂げ、精肉の販売スタイルも変化をしている。

ゴールデンウィークの時間の使い方も、遠方の旅行が減り、家庭で楽しむ時間も増えているため、家庭でも楽しませる商品や売場作りが必要となっている。

いかに消費者が「買いたい!」と思う商品を作れるか、その価値に見合った商品化が出来るかが、精肉の鍵となる。

5月は前半のゴールデンウィークと、中旬以降の売れにくいウィークデーでパック単価や商品化も少しアレンジを加えながら販売する必要もあるため、地域の生活者の行動パターンに見合った商品化と売場作りを行ないたい。

リテールトレンドにて掲載

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