6月に売込むこの商品

【精肉】

5等級国産黒毛和牛ランプステーキ用(モモ)698円/100g

「父の日」(6月19日・日曜)に「和牛ステーキ」を販売する。
イベントを盛り上げる黒毛和牛は、輸入牛の相場高により相対的に価格メリットが出てきている。
特に5等級は出現率も高く「モモ肉部位」は「肩ロース・ロイン・カルビ焼肉部位」に比較して価格が安く、価格競争力もあるため、「ランプステーキ」を提案。
外食においても「イチボステーキ」の認知度が高くなっているので、「イチボ」と「ランプ」を使用した、「モモステーキセット」で訴求する。
イチボの身の分厚い部分はソトモモにつながる側で、比較的硬めの部分となるため、繊維の向きを断ち切る方向に変えることや、厚みを調整するなど工夫を行なうと良い。
「母の日」に比べ、実施率が低いと言われている「父の日」には、食事でお祝いする父の日提案で、お父さんへの感謝の気持ちを伝える。

カナダ産豚ロース冷しゃぶ用138円/100g

全体的に相場が高い中、売上と利益を追求して行くには、やはり「豚しゃぶ」を売込まなくてはならない。
国産豚肉は、豚肉のブランド化が進んだおかげで、産地や生産者・指定農場などの条件がある。
今年は、海外の飼料穀物の価格高・円安で、生産コストが上がり、6月からの相場高が予想される。
入荷状況によっては、単品量販がかけられない場合が予想される。
そこで、輸入チルドポークでの販促比率を上げていく。
「カナダポーク」は大麦、「アメリカンポーク」はコーンを穀物飼料として与えられる割合が高く、カナダの方が比較的白上がりの傾向にある。与える穀物によって、肉屋脂肪の色が影響を受けるからだ。
「輸入ポーク」の商品化は、売価が安いが故に、国産でブランド化した豚肉との対比で、「小間切れ」のような、手間暇かけない商品化になってしまうことが多い。
特に、「冷しゃぶ」のような薄切りの商品は、1枚1枚調理するときにお肉が広げやすいようにふんわりと商品化をすることがポイントとなる。
トレーは、夏を思わせるように青系や新緑の緑を取り入れた柄が、見た目のインパクトが出る。
ただし、周りのトレーが同系色となるのであれば、別の色を用いる。
近年、様々なトレーが出ているため、トレーでアイキャッチとなる売場を作っている企業は少ない。
売場を客観的に見て、どの売場がもっとも季節感が出て、一番購入してほしいのかわかりやすい売場作りをすることが重要である。

国産若鶏焼肉セット(砂肝、せせり、手羽元、モモ、ヤゲン軟骨、手羽中)880円/500g

夏本番を前に、焼肉需要の強化とともに、家庭で食べる「焼鳥、おつまみ」需要の開拓を行なう。 焼肉需要は「モモ肉」を販売することも多いが、「骨付き」や「副産物」も上手に活用することで、値入率アップを狙う。
商品化は、そのまま焼いて食べることが出来るように、食べやすい大きさにカットする。
「砂肝」は皮を除去し3mm程度のスライス、「手羽元」は骨周りにスリットを入れ手羽元開きにする。
今回は「砂肝、せせり、手羽元、モモ、ヤゲン軟骨、手羽中」の組み合わせであるが、「ハツ、レバー、鶏ハラミ、鶏肩肉(ムネ肉の一部)」などに差し替えても良い。

【半製品】

新型コロナによって、外食が制限されたことによる食生活が変化している。
「ミート惣菜」は家飲み需要、「半製品・ミールキット」はファミレス需要からの販売量アップとなっている。
しばらくは、新型コロナ患者がゼロになるわけではないため、コロナ前の100%の外食需要に回帰されないと想定されるため、引き続き注力して販売強化となるカテゴリとなる。

ベーコン巻きチーズインハンバーグ(解凍)398円/2個

現在、「ハンバーグ」はブームが来ており、「牛肉100%ハンバーグ」や「粗挽き肉入りハンバーグ」、「黒毛和牛x黒豚ハンバーグ」など数多くのオリジナルハンバーグも販売されている。
その中でも「チーズ」を中に入れたハンバーグは、ハンバーグを家庭で作っても、「チーズ」を入れると、焼いた際にチーズが漏れることが多くあまり作られない。
そのため、「チーズイン」や「ベーコン巻き」など、一工夫を加えたハンバーグの需要が半製品の中でも高くなっている。
「チーズ」に関しても、「モッツァレラチーズ」など、種類を打ち出した商品も増えておりポイントとなっている。
また、人気YouTuberによるファミレスとの「コラボハンバーグ」による効果もあり、「チーズと黒カレーソース」のようなメニュー提案も面白い。

売場展開「地場産農産物のススメ」

地域産農産物は、「地産地消商品・ローカルフード・地域産食・産直市場商品」など、様々な名前で呼ばれている。
その店舗の周辺地域で作られた農産物などであるが、最近では、環境問題、食糧問題の解決につながると言うことから、地球全体のエコにつながる「SDGs」の観点からも注目を集めている。
以前は環境に与える負荷を数値化した「フードマイレージ」「カーボンフットプリント」など、より具体的に数値化して、地産地消を推奨していたが、実際問題、そのときのトレンドや一過性のブームとなっていた。
しかし、例えば、東京であれば東京都産業労働局(東京都が行なっている)が地場産農産物消費拡大支援事業など、官公庁が事業化して、経費の一部を支援する動きなどもあり、再度地域産農産物への意識が見直されている。
精肉売場では、メーカーが全国的に展開している「ナショナルブランド(National Brand)」や量販店の希少ブランドである「プライベートブランド(Private Brand)」から、最近は地域で製造された商品をエリア限定で販売する「ローカルブランド(Local Brand)」に注目が集まっている。
店舗と同じ都道府県内で生産された「ローカルブランド」は、その地域の生活者にとっては身近な存在であり、生活者と同じ地域の地場商品であれば食べてみたいと、心情的に思ってしまう。「地産地消」という消費も定着している。
この動きは、特に牛肉や豚肉で見られる。
鶏肉の場合は、産地が、北海道や東北、九州に集中しているため、産地以外では、かりまれである。
しかし、「ローカルブランド」のデメリットも存在する。価格の面では、大手が行なう一貫生産ではなく、家族経営などの小規模運営をしているため、ややコスト的には割高になる。
少し高くても、地域の商品を扱うことに、近年は注目が集まっていると言うことがあるが、あまりにも高い価格設定では量販につながらない。
「SDGs」の観点からも、持続可能な社会の実現を生産から販売まで行なうため、販売者だけが、粗利をキープするという考えからは一歩脱却する必要がある。
生産者がいなくなれば、販売する商品もなくなってしまうことにも、広く考えを拡張して、取り組んでもらいたい。

ヤオコー和光丸山台店では、地産地消の一環として、埼玉県産黒毛和牛の「尾熊牛」のコーナーを展開

※「ヤオコー和光丸山台店がオープン、ヤングファミリー特化の旗艦店」リテールガイド より写真をお借りしております

https://retailguide.tokubai.co.jp/data/10306/

押さえておきたい最新動向「相場高騰による輸入牛対応」

新型コロナによる、海外の工場の労働者問題、港湾や船の人員不足、人員不足によってコンテナが船上や港に滞留してしまっての、流通の悪循環が世界中で起こっている。
さらに追い打ちをかけて、ウクライナとロシアの戦争により、小麦生産国不足による穀物の供給バランスが世界中で起こっている。
これによって、2022年も続く輸入肉の相場高。今年も引き続き価格は高めとなることを見越し、商品化と売場作りを行なう必要がある。
いつまで続くのか先の見えない輸入牛肉の相場高であるが、すでに対応が完了している企業も少なくない。
しかし、納品原価のみに頼って、何の工夫もしていない企業は、徐々に利益が圧迫されてきている。
夏直前、「輸入牛タン、ハラミ、ショートプレート」と高い相場が続く中、焼肉売場をどう攻めるか。
まずは、定番アイテムの品揃えに加えて、新たな商品化の投入が必要となる。
価格改定も必要な策ではあるが、新たな商品を新価格で投入することで、価格値上げの不信感を少しでも軽減させる。
物量が安定しない輸入牛であるため、丁寧な商品化で訴求する。

豪州産牛サガリステーキ用 298円/100g

輸入内臓の中でも比較的価格メリットの出しやすい「ハンギングテンダー」は、焼肉だけでなく、ステーキでも提案していく。
今年は昨年よりもバーベキュー需要も増えるため、厚切りステーキやブロックもしっかりと販売していくことがポイントとなる。
商品化では、スジを引かずにそのまま輪切りにして商品化することも一つの方法であるが、きっちりとスジをトリミングして、さらに格子状にスリットを入れて販売することで、食感や焼き上がりの見た目に花を咲かせることができる。
 「牛タン」に関しては、量販店で販売するには厳しいほど原価が上がっている。
例えば、「チルドムキタン」などは、価格高騰のうえ、輸入量が減り、仕入れることも難しいこともあった。
現在は、現地の生産も回復し、量的には少し落ち着いてきているが、依然価格は高い状態である。
タン中部分は今まで通りスライスして販売するが、やはり「タン元」は「厚切りスターキ」や「マンゴーカット」などで提案していく。
また、週末や夏休みなど、バーベキューが行なわれるタイミングでは、真空のブロックで販売することも一つの方法である。

まとめ「相場が高い2022年」

様々な要因が重なり、今年の食肉の相場は極めて高い状態が続くことが予想される。
牛肉や豚肉が高ければ、鶏肉が販売出来るということでもなく、輸入の鶏肉も在庫が品薄となり、全体的に問題が大きくなっている。
世界的な食肉の相場高、穀物飼料・円安による生産コストアップ、豚熱・鳥インフルエンザの疾病の国内発生、など、生産・価格形成に影響を与える現象が多く出現してきている。
2022年は未だかつてないほどの、不利な環境であるが、それは自社だけでなく、社会全体が同じ環境で苦慮している。
相場が高い状態でも、店舗が運営できるように、付加価値提案を行なうことが第一歩である。買ってもらうために工夫は必要であるが、納品業者へ無理な価格の協力依頼、金銭的協賛、キャンペーンありきの提案などでの、売上確保でなく、部門内できちんと利益確保出来る施策を打って取り組んでもらいたいと思う。