10月に売込むこの商品

 今年の夏は40度を上回るほど、各地で猛暑となり夏が終わっても暑い日が今しばらく続くと予想されている。
そのため、例年よりも秋冬商材の売れ方が鈍い可能性がある。
その部分を十分注意して、天候などの外部環境の変化には例年よりも敏感にウェザープロモーションを気にして売り場作りを行ってほしい。
また、今年は様々な相場高から、国内外の各畜種の値上げ要請があり、納品単価が高い。
相場が高い中でのポイントは、輸入肉や内臓であっても丁寧に扱うこと。
商品が汚く雑な商品化をすれば、商品に対する価値が価格と合わなくなるだけでなく、薄利になっている現状で、廃棄が出てしまえばさらに粗利を下げる行為となる。
国産や輸入という縛り方では無く、商品に対する価値を訴求すると意識が変わる。

【精肉】

米国産牛肩ロース薄切りすき焼き用 278円/100g
米国産牛肩ロース薄切りすき焼き用 278円/100g

輸入牛肉を国産牛のように綺麗にスライス取りして商品化を行う。
トレーはシステムトレーでもよいが、高蓋付きのトレーを使用することで、立体的に見えボリューム感が出る。
写真のボリューム感で約450g入っているため、1250円前後のパック単価となる。
平台で週末に大陳すると売り場に迫力が出る。
もうワンサイズ小さい880円前後と、ワンサイズ上の1980円前後の3SKUで展開すると、3SKU中央のこの商品の売れ方が良くなる。
外気温によっては、すき焼き提案ではなく、薄切り焼肉提案など臨機応変に対応するとよい。
外気温が高い低いという気温によって、関連販売のたれを、すき焼きから焼肉に変更するなど、売り場の全体感にも注意して商品を展開する。

国産黒豚ソトモモ切り落し 238円/100g
国産黒豚ソトモモ切り落し 238円/100g

黒豚モモを小割して外モモ部分をスライス取り、もしくは立体的な切り落としに商品化する。
小割することに対して拒絶反応があるかもしれないが、商品化する時間が無いということではなく、黒豚は白豚や銘柄豚とは、異なる松竹梅戦略の松に位置づけられる商品ということを忘れてはならない。
その価値を商品に付ける必要があるため、商品化にもこだわりを持ってほしい。
黒豚切り落としを縦長トレーに盛り付けるだけで、システムトレーに盛り付けられている商品よりも格段にアイキャッチとなる。
黒豚は、バークシャー種という品種自体が異なることは知っての通りである。
白豚よりも比較的融点が低い傾向にあり、ロース芯だけでなく、モモにもサシが入りやすい。
食べると白豚とは異なる、甘みがあるのも特徴。そのため、味を楽しんでもらうような食べ方提案が必要となる。しゃぶしゃぶであれば、ごまだれよりもポン酢や塩、しゃぶしゃぶ用の白ネギ薄切りと一緒に食べると、豚本来の味も堪能できる。
黒豚の売れ行きが芳しくないという店舗も少なくない。
商品の見せ方や盛り付けは、白豚や銘柄豚と同様ではないだろうか。
販売している商品一つ一つにこだわりを持って販売してみると、売り上げが変わってくるので挑戦してほしい。

米国産豚とろ(肩)塩だれ味付け焼肉用(解凍) 598円/300g
米国産豚とろ(肩)塩だれ味付け焼肉用(解凍) 598円/300g

米国産「豚とろ」を、角切りにしてタレ漬け商品で販売する。
スライスして焼肉タイプにも商品化することが一般的であるが、角切りにして味付けすることで、売場の見た目に変化が出る。
王道の塩だれには白髪ネギに刻みネギをトッピング、またはかいわれ大根をトッピングすると色あいも良く健康的な印象を与えることが出来る。
商品化時のポイントとしては、脂肪が10mm以上付いている部分はトリミングして、5mmアンダーにすること。丁寧な商品化で購買意欲を上げる。
「豚とろ」は片面が脂肪で覆われているため、特に身の薄い部分に関して注意をして商品化する。
味付けは、塩だれのほかにも、チリソースや山賊のタレも今年の人気の味付けであるため、バリエーションで展開すると良い。
トレーは「豚とろ」の色が白系色のため、色が濃いトレーを使用すると商品が新鮮に見える効果がある。蓋付きの場合は、蓋にタレが付かない程度の高蓋を使用するか、逆にラップでタレをギュッと締め付けてへばりついた状態にするかで、商品の見え方が変わる。トレーにも配慮が必要である。

進撃の精肉冷凍売場

精肉冷凍コーナーの進撃は今や巨人を駆逐するかのように進化を遂げている。
冷凍技術の進歩とともに、味やバリエーション、ジップロック対応なども消費者に認知され始めており、ただの冷凍商品から、食の選択肢の一つに変わっている。
冷凍商材は、最近ではどのメーカーも品揃えが豊富になっており、形状が似た商品が数多く存在する。そのため、競合との差別化を行なう品揃えにも注意して、商品を選別すると良い。

国産豚のロールステーキ(チーズと大葉) 398円/P
国産豚のロールステーキ(チーズと大葉) 398円/P

国産豚を使用したチーズと大葉を巻いたロールステーキは、老若男女、子どもからお年寄りまで幅広く味わえる商品となっている。
チーズのうまみとさっぱりした大葉を巻き込んでいる。味付けは自由に楽しめるように、味付けをしていない商品となっている。
食感をよくするため、1.5mmスライスの豚肉を巻いているので、お年寄りでも柔らかく食べることが出来る。
調理方法も簡単で、凍ったままフライパンで焼くだけの簡単オペレーション。お弁当の一品としても冷凍庫に在庫しておきたい商品。
いつでも使えるようにチャック付き包装となっているので、消費者の要望にも意識したコンシューマ商品である。
冷凍コーナーのバリエーションとして、日配食品の冷凍コーナーにない、冷凍生肉の半加工食品の位置づけ商品である。
加工食品の味ではない、自分味付けで調理できることがポイントとなる。
冷凍食品棚付近にも、関連販売のタレを売込むチャンスがあるということ他ならない。
商品を販売する=調理に必要な調味料、付属品を購入してもらうチャンスが無限にあるということであるので、クロス販売を常に頭に入れて売場作りをしたい。

【冷凍】スペイン産イベリコ豚ローストレバーブロック 198円/100g
【冷凍】スペイン産イベリコ豚ローストレバーブロック 198円/100g

イベリコ豚レバーをローストしたフォアレバーを冷凍コーナーで展開。
生肉の冷凍やスライスだけでは無く、加熱済み調理食品としての販売となる。
豚レバーをブロックのまま調理真空し、ブロックでの販売となる。
「フォアグラ」は一度は食べてみたいという食材の一つであるが、イベリコ豚のレバーという、一風変わったレバーも食べてみたくなる、インパクトの強い商材である。
豚レバーは、レバニラ用か焼肉用でしか商品化をせず、オントレー商品に頼ってきていた。
しかし、メーカーが以前よりも増え、加工品を中心に展開出来る企業が出てきたことによって、商品化のバリエーションに幅をもたらすことが容易となってきている。

冷凍コーナーの充実は、精肉売場に一石を投じている。生肉だけでなく、加熱済み商材が出始め、さらにトレー販売ではないパッケージにも変化が出てきている。
調理方法なども記載できる紙パッケージの商品は、精肉の売場を格段に次のステップへ引き上げている。トレー販売では出来なかった、調理方法の記載は、POPやこと販促を行なわなくても良い最新の展開となることは間違いない。

押さえておきたい最新動向「味付け商品」

味付けコーナーでは、豚肉を使用した味付けが現在のトレンドとなっている。
特に冷凍商材を使ったアイテムは、オペレーションに手間がかからず商品化が早い。冷凍鶏肉よりもドリップが出にくいコトもメリットの一つである。

スペイン産豚バラカルビ味付け焼肉用ガーリックペッパー味(冷凍) 128円/100g
スペイン産豚バラカルビ味付け焼肉用ガーリックペッパー味(冷凍) 128円/100g

 韓国のメニューが巷でブームになっており、「サムギョプサル用」の商品化が定番になっている。
生肉でサムギョプサル用をスライサーで商品化すると、細長いバラスライスの分厚い商品が出来上がるのが定番である。
しかし、「冷凍豚バラ、輸入豚肉ベリー」を使用し、半解凍のパーシャルフリージング(-5~-2℃の範囲で、半凍結・微凍結状態)でスライスすると、本場韓国と同じ形状の板状の「サムギョプサル」となる。
「サムギョプサル」をプレーンの味なしで商品化するのと同時に、味付け商材を数アイテム商品かすることで、味付けコーナーが充実する。
チリソース、ガーリックペッパー、山賊焼のたれが今年のブームとなっており、濃い味付けのタレが売れ筋である。
 パーシャルフリージングは、冷凍庫から冷蔵庫へ移して、箱から出した状態で、丸一日0度で解凍すると中心温度が-5~-2℃の範囲に上昇する。
冷蔵庫の大きさや風の当たり方、冷蔵庫の物量や開け閉めによる温度変化など、環境によって前日だと凍った状態であることもあるため、それぞれの冷蔵庫で検証して商品化すると良い。

「相場高で商品の価値を見直す」

精肉原料の相場高は国内外問わず、今しばらく続く。
そのため、相場高でもその原料を使用して、上手く売上と利益を確保していく手段を考える必要がある。特に、輸入の商品に関しては、製造だけで無く物流面でも苦慮していることは、ニュースでも度々取り上げられるほどで、一般消費者でも知っている現状となってきている。
値上げ要請が秋冬でも発生している中、どのように上手く精肉を切り盛りしていくか手腕が問われることになる。
穀物原料が高いため、家畜の餌が高く、必然的に生産コストが上昇しているため、しばらく相場が下がることはない。
少なからず、牛肉は1頭育つのに2年以上かかることを想像すると、しばらく値段が下がらないと容易に想像できるのではないかと思う。

商品を仕入れて商品化して売るという作業を毎日しているだけであれば、何の発送も生まれないと思う。しかし、コロナによって環境が大きく変化して、外食が食べられなくなった時に、外食メニューが惣菜でも取り入れられ、それが売れ筋になり、一工夫することが売上に直結している。
現在は、原料が高い。
最も簡単な方法は、安い原料を探すことである。
しかし、これは競合他社も同じ行動を起こすので、同じ商品を同じように販売すれば、結果的にレッドオーシャンに飛び込むことになる。
ポイントは、商品の価値を、その価値以上にして販売することである。
輸入牛肉は、今まで安価であったため切り落しや小間切れ程度に商品化していたが、価格が高いのであれば、きちんとスライス取りして、並べると価格に見合った価値が出る。
購入する動機付けがそこに出来る。黒豚やイベリコ豚に関しても、その価格の価値をトレーの上で表現できているかが鍵となっている。
一方、冷凍コーナーは進撃が止まらない。
ただの安いトレーにのった冷凍商品から、焼き上げ、加工、パッケージまで進化を遂げている。
昨今の冷凍技術の進撃は今後も続き、おそらく近い将来惣菜コーナーの売上にも影響を及ぼす進化を遂げることと推測する。
最も、精肉でないがしろにされてきた冷凍コーナーであるが、今大きく成長しようとしている。
売上を大きく握るのは「冷凍コーナー」ということを意識して売場作りしてみると面白い。