4月に売込むこの商品

4月は新生活が始まり、またアウトドアなど、屋外での活動も活発になるタイミングである。
外部環境に合わせて、商品をうまく切り替えて売り上げにつなげていくタイミングとなる。

【新生活応援簡便食】
4月から始まる新生活。3月後半から異動や進学に伴い、新たな気持ちで朝食や弁当、夕食を始める新生活応援メニューを展開する。
精肉コーナーでは、簡便メニューを中心に、よりどりセールや均一セールを行うことで、買い上げ点数アップによる売り上げを期待できる。
加工品でも、弁当特集を組むことで、より新生活や弁当需要を喚起することが出来る。
特に、ミニサイズのソーセージやミニハンバーグは弁当需要、ハムやベーコンは朝食需要、本格ハンバーグ、中華名菜などのような夕食需要を喚起させる提案も、4月に行うと、食生活を豊かに、食事のバリエーションも広くすることが出来る。

国産牛切り落とし味付け焼肉用 498円/150g
国産牛切り落とし味付け焼肉用 498円/150g

朝食やお弁当、夕食の一品として国産牛の味付け肉を展開する。
切り落としを味付けすることで、朝の時間のない時にも簡単に調理できる。
消費を購入するターゲットは、主婦と会社にお弁当を作って持っていく20代~30代となる。
野菜も一緒に食べる客層がターゲットとなるため、白髪ねぎなど野菜を多めにトッピングすることで、購入意欲をそそぐように工夫するとよい。
味のバリエーションとしては、焼肉の揉みダレだけでなく、塩だれ、ニンニク、バジルオイルなど、多くのバリエーションの品ぞろえが、購入の頻度にもつながる。

米国産牛豚ハンバーグ豚バラまき 138円/100g
米国産牛豚ハンバーグ豚バラまき 138円/100g

夕食でも登場頻度の高いハンバーグを展開する。
ハンバーグを成型する手間を省き、豚バラスライスにハンバーグの種(ハンバーグミックスで味付けしたひき肉)を乗せ、バラスライスで巻いてステーキのようにカットする。
手作りハンバーグは、こねて成型する時間がもったいなく、オペレーション上断念している店舗もあるが、このパターンだと簡単に仕上げることが出来る。
まさに、ハンバーグステーキである。産地が多くなると、原材料表示を多く記載しなければならないため、国産や米国産など、産地を統一することがおすすめである。
業務用のハンバーグミックスであれば、一括表示はシール対応可能であると想定されるため、簡単に商品化することができる。

【スプリングバーベキュー】
いよいよアウトドア・バーベキューのシーズンがやってきた。
新型コロナを機会にアウトドアグッズ、ギアが売れたことで、バーベキュー人口が一気に増幅した。キャンプ施設は軒並み予約困難な状況となったが、一時の過剰な反応はなくなった。
しかし、新型コロナ前に比べると、キャンパーが増加しており日本全国にいることは間違いない。実はアウトドアでキャンプが快適に楽しめるのは春と秋といわれている。
真夏は気温が高く、冬はあまりの寒さに防寒のキャンプグッズを持ち込む必要があるため、3月から梅雨が始まるまでの3カ月程度が、キャンプ需要が高まる期間と捉えるとよい。
そこにあわせて、アウトドアメニューの展開をしっかりと品ぞろえしていく。

米国産牛ザブトン(肩ロース)厚切りステーキ用 498円/100g
米国産牛ザブトン(肩ロース)厚切りステーキ用 498円/100g

厚切りカットの米国産チャックテールフラップを2㎝厚のステーキカットで商品化し、アウトドアの豪快バーベキュー、家庭での夕食需要として展開する。
どちらのシーン提案でも、平日よりも週末や祝日が売りやすい。
アウトドアでは粗目のハーブ入り岩塩、インドアの夕食提案では今人気のニンニクがきいたステーキソースを関連販売する。
商品化の注意すべき点は、トリミングは比較的簡単な部位であるが、骨肌と太い筋が残っていれば、リピートにつながらないので、除去することを忘れないようにすることである。
トレーは、アウトドア主体の売り場作りをする場合は、銀色トレーに盛り付けると雰囲気が出るが、実際はノントレーのほうが実用的である。
夕食需要が主体の店舗では、黒赤トレーなど夕食でも少し贅沢感が出るようなトレーを選択するとよい。

国産豚スペアリブ味付け焼肉用 198円/100g
国産豚スペアリブ味付け焼肉用 198円/100g

バーベキュー需要商品でポイントとなる骨付き肉を定番で品ぞろえしていく。
味なしの商品に加えて、塩だれ、スパイス、照り焼きなど品ぞろえをしていくと、食欲をそそられる商品へと変化する。
家庭でも出現頻度が高くなってきている骨付き肉を強化するとよい。
商品化のポイントとしては、スペアリブの原木の形状が三角形で、長い骨から短い骨までを使いこなすということである。
原木販売でカットしない場合は、格別問題がいが、骨を1本1本カットする場合は、同じ長さの骨を、1パックに入れていく部分にある。
鉈(なた)が店舗にない場合は、骨を半分にカットすることが難しいため、長い骨のスペアリブと短い骨のスペアリブが出来る。
それぞれ、長いものは長いもの(短いものは短いもの)で集めて商品化することで、商品がきれいに見えるだけでなく、調理する際も加熱時間が異ならなくなるので、混在させないことがポイントとなる。
スペアリブやバックリブは店舗によって品ぞろえ具合が全く異なるが、競合調査するとわかる通り、品ぞろえしている店舗は3フェイスしっかりと売り場を確保しているが、強化していない店舗は、品ぞろえしていないか、品ぞろえしていても数パック1フェイスで品ぞろえしている商品である。
しっかりと売り場で展開すると売れる商品なのであるが、売れるかわからないから(今まで売ったことがない、売った実績がないからなど)、少量で展開してみるというスタンスの店が、ロスを怖がっているがあまりチャンスロスしているパターンである。
思い切って売り場作りを変えてみると新しい売れ筋が見えてくるので、トライしてもらいたい。

羊肉の日を活用する

4月29日 羊肉の日は、今年は月曜日・昭和の日で祝日となる。
一般的には土日を絡めた三連休となるが、ゴールデンウィークで大型連休となる企業もあり、アウトドアや旅行が活発になるタイミングである。

豪州産ラム肩ジンギスカン用(たれ付き) 680円/250g
豪州産ラム肩ジンギスカン用(たれ付き) 680円/250g

チルドの豪州さんラムショルダーを使用し、3mm厚でスライスしてジンギスカン用に展開する。
ジンギスカンの揉みダレや付けダレが添付できる場合は添付し、できない場合は、ジンギスカンのたれを関連販売する。
ジンギスカンのたれは家庭には常備していないことが多いので、タレが商品が売れるかどうかのカギを握ることになる。
商品化は、スライサーに入れる前に脂肪をきれいにトリミングして、形を整えてからスライスするときれいなスライスが出来る。
肩肉には、肩甲骨周りの骨肌が残っているため、トリミングをすることでザラザラした砂のような触感を除去することが出来る。
トレーは、ジンギスカンを思い出させる丸トレーが良い。丸い銀トレーはまさにジンギスカン屋さんに行ったような気分にさせる。
ジンギスカンが売れにくい原因の一つが、焼いたときの羊肉独特の香りがある。
家庭で調理すると、部屋に匂いがつくので懸念する方も少なくない。
外食のジンギスカン屋さんでもあまり匂いが強くない店舗がある。その工夫としては、お肉に油をコーティングしているからである。
サラダ油など油をお肉の表面に付けて焼くと比較的香りが出にくく、肉ハックとして注目を集めている。

【食シーン】
アウトドア・バーベキュー:香りも気にせず豪快に食べることが出来ることから、キャンプ需要としての展開が最も食シーンとしては有効。
北海道では川辺や庭で穴の開いたバケツに火をおこし、ジンギスカン鍋で食する。焦げ付きを防止するため、牛脂を商品と一緒に付けてあげるとよい。
インドア:香りが気になる消費者も少なくなく、食卓で豪快にジンギスカンを行う家庭は少ない。
実は家庭での羊肉の活用はジンギスカンではなく、羊肉を使用したラムカレーや煮込み、しゃぶしゃぶなど多岐にわたる。3㎜厚ではしゃぶしゃぶは難しいが、カレーやラム煮込みなどはおいしく食べることが出来きる。
【中国人マーケットを取り込む】
地域によっては、中国系の方が多く住まわれている場合がある。
中国人は日常的に羊肉を食べる。
羊肉串や羊肉しゃぶしゃぶは日本では食べる文化がないため、中国食材店にわざわざ購入しに行くため、量販店でも冷凍カールのしゃぶしゃぶ、羊串なども展開できればさらなるプラス需要となる。
以前、レストランチェーンで「アロスティチーニ」が展開されてよく売れていたが、地域性があるため、よく自店のエリアを観察して売り上げにつなげてもらいたい。
ただし、POPに「ラム肉」と書くと、羊肉と認識されにくいこともあるので、羊肉や仔羊肉など、漢字での表記をお勧めする。

待ったなし!「2024年問題」の精肉問題

以前にも話題として取り上げた「2024年問題」。
「働き方改革関連法」により2024年4月1日から物流業界に生じる様々な問題である。
私たちは、労働基準法改正により、一般的に時間外労働は、原則的に月45時間、年間360時間と規定されている。
かつては、サービス残業など問題も多いと言われブラックとも呼ばれてきた量販店であるが、今ではほとんどすべての企業で残業問題も解消されてきている。
これが、当たり前と思っているかもしれないが、物流・運送業界は事業の特性上、年間960時間の上限制限が適用される。
量販店の倍以上も長い時間外労働を余儀なくされているということが前提であるということをまず、この流通業で働いている全員が正しく理解する必要がある。そのうえで、2024年問題から発生する精肉問題にも全員で取り組んでいく必要がある。

●物流の停滞問題

ECサイトが拡大し、物流量は急速に増加しており、業界全体で人手不足となっている。
厚生労働省による、「自動車運転者の労働時間等に係る実態調査結果(概要)」をもとに、この問題においてのドライバー一人あたりの拘束時間は1カ月274時間に収める必要があることもわかってきている。令和3年度トラック全体では66.3%がその274時間内に入っているが、残りの3割はこの拘束時間を超過している。このうち1割のドライバーは293時間以上(320時間を超える層も数%いる)のため、ドライバーの10人に1人は1カ月20時間以上の労働時間短縮をしなくてはならないという計算になる。
つまり、このまま4月に突入すると、物流の3割が輸送できなくなる可能性が現段階もあるという状況は変わっていないことになる。店内加工で自由度の高い精肉では、物流で仕入れが出来なくなる可能性があるため、一回の発注量を増やし、チャンスロスを減らす工夫が必要となる。
ただし、在庫回転数はやや上昇するため、会社としても容認する必要がある。今までと同じ古い考えの経営、仕入れ体制は、結果として自社に商品が届かないという自分の首を絞めることになるため、すぐに改善しなければならない。
精肉で発注業務をしていない私は関係ないと思っているスタッフも、冷蔵庫在庫が増えることを想定して、整理整頓、日付管理を徹底してもらいたい。

●物流コストによる原料単価の上昇問題

ドライバーの労働時間が短くなることで運搬量が減少する。また、割増賃金が適用されることから、物流コストが3月までとは異なるため、納品する商品の単価が上がることが想定されるため、今まで以上に歩留まりの良い商品化やロスが出ないように、気を付ける必要がある。

今まで、物流便について考えることは、ほぼなかったと言っても過言ではないと思う。しかし、流通業よりも過酷な業務をしていることを理解していただけたと思う。私たちの発注によって、商品が届かなくなる事態にもなりかねないということを認識して、今後の発注を見直してもらいたい。

初心にかえり新人育成

4月は新入社員や新しいアルバイトが入ってくるタイミングである。毎日ルーチンで行っている仕事が、目的を失った作業になっていないか今一度確認を行ってもらいたい。基本の徹底を行うことはもちろんであるが、時代とともに時間管理や衛生基準も厳しくなっている。その部分は、さらによりよい環境づくりを行いながら仕事に従事してもらいたい。
2024年4月は、先述したように2024年物流問題や、新型コロナ禍でアルバイトや人間関係をうまく大学時代に形成されてこなかった新卒が入社するなど、今までとは違った外部環境が一度に押し寄せる。日本の人口が減っていく中、この職場でずっと働きたいと思える環境、この精肉の商品をずっと買いたいと思える商品化、持続可能な精肉を目指し、新たな気持ちで4月を迎えてもらいたい。