「売り」が強くなった精肉売り場
最近のサミットの売り場の特徴は、「品揃え・料理用途に合わせたきめ細かい商品化・鮮度管理」といった従来のサミットの持つ強みを多段ケースで提案し、平ケースで、アイテムを絞り、量販し「売り」を作り、この「売り」に強くなってきているのが分かる。
ただ、この、「本天沼店」は、300坪と売り場が狭いという事と、地型が三角形という制約があるので、通常とは違う売り場になっている。
売り場レイアウトは、
- 多段ケース棚板5枚6段 精肉(ミート)16尺+8尺 計24尺
- セミ多段ケース 精肉(ミート)棚板3枚4段(一部2枚3段) 28尺
加工肉28尺 棚板4枚5段(一部3枚4段) 28尺
- 平ケース 4尺
- グリルドキッチンコーナー(精肉店内加工温総菜コーナー) 4尺
計84尺での、売り場展開になっている。
最近のサミットの店舗に比べて「平ケース」の売り場が極端に狭くなっているが、「本店沼店」は、多段ケース・セミ多段ケースの最下段のアイテムを絞り込み、売り込みアイテムのフェイスを多くとることで、平ケースと同じように下段を活用し、売り込みに徹していることが分かる。
ひとむかし前の食品スーパーは、「品揃え」さえすれば、お客様が来てくれ、その売り場が広ければ広いほど、さらに売り上げを作ることが出来た。
しかし、多店舗化した食品スーパーや、GMS・ホームセンター・ドラッグ・CVSなどとの競合で、「売り」が強くないスーパーは、ことごとく売り上げを落とし始めている。
その解決策の多くのヒントが、サミットにはある。
また、最近のサミットは、積極的に「アウトパック(ケースレディーミート)」の商品を導入している。
店内加工での精肉商品化をかたくなに守り続けたサミットも11月には自社のパックセンターが稼働する。
人員不足や、ロスの軽減、生産性の向上、即食や、内臓肉に対する衛生管理上の問題。
など、現在のSMが抱える問題の解決策に取り組んだ結果である。
- スターゼン販売 関東プロセスセンター ローストビーフなど「即食」を中心に。
- ヨコオ厚木工場 牛肉・豚肉・鶏肉の定番アイテム中心
- 協立食品 つくば加工場 内臓肉中心
などから、本天沼店ではアウトパックを導入している。
店内加工は、広告の品・鶏モモ肉など、単品での数量が多いアイテム。
「六白」黒豚などのフルセットで購入するもの。
味付け加工など、2次加工をするもの、などに限られている。
これらの問題を総括的に解決するためにサミットは自社センターを稼働させ、生産性を上げ、値入を見直し、ロスを減少させ、さらに売りに強い売り場つくりを目指していると言える。
店内加工の「グリルドキッチンコーナー」
「グリルドキッチンコーナー」は、販売している精肉素材を原料としたものを店内調理して加工し、惣菜の温総菜と隣り合わせで陳列し、「即食」ゾーンを形成している。
サミットの新しい取り組みである。
POPや仕切りのディバイザーで、「精肉売り場で販売している素材を使って、店内で調理しています」ということを、パネルも使って強調している。
基本、サミットで生肉を買ったお客様は、そのお肉を家庭で調理して食べるわけですから、そのお肉をサミットで調理して提供するのですから、家庭で食べるより美味しくなければならないし、新しいメニューを提案していかなければならない。
「惣菜」というだけでは、なかなか売れるものではないし、販売している精肉素材がよりおいしく、惣菜ではない「ミートデリ」になっていなくてはならない。
また、家庭で調理しにくい、内臓肉や、家庭の冷蔵庫では鮮度が劣化しやすいもの、食べなれているが新しい食べ方が見つからないとか、デリとして提案していくことも重要である。
素材から惣菜加工のデリへのラインドライブがどうなるか、今後の期待が大きい。
サミットの鶏肉のメイン商材「みゆせ鶏」のレバー煮 100g198円は、1パックが100g前後で、個食として買い求めやすい。また、レバーの臭みもなく上品な仕上がりになっており、レバー嫌いでも、抵抗なく食べられるように調理している。
また、「国産若鶏むね肉の麻婆チキン」は100g238円で、1パック200円前後で販売されており、もう一品、都いう時に買い求めやすい。
食べても、「麻婆」という味付で、ササミよりジューシーで新しい味と言える。
「焼くだけ」・「そのまま お皿に移せば立派な一品」コーナー
セミ多段では、「スグ旨! 焼くだけ!簡単おかず」の5尺の「焼だけアイテム」のコーナーと、「スグ旨!そのまま お皿に移せば立派な一品 おつまみ・オードブルコーナー」のサラダチキンを含めた8尺のコーナーがある。
「時短」と「即食」に対応したコーナーで、
若とりむね肉のタッカルビ用(味付) | 100g118円 |
若とりむね肉のクリスピーチキン用(味付) | 100g118円 |
若どりもも肉のタンドリーチキン用(味付) | 100g168円 |
みつせ鶏むね肉の西京味噌漬け(味付) | 100g188円 |
アメリカ産豚トントロ焼肉(豚ネック)味付 | 100g188円 |
こてちゃん(牛もつ味付焼肉用) | 150g284円 |
3S四元豚かたロースソティー用(味噌味) | 100g188円 |
3S四元豚ばらテジカルビ焼用(味付) | 100g188円 |
アンガス黒牛かたロースプルコギ(味付) | 100g318円 |
アンガス黒牛かたロース牛丼用(味付) | 100g258円 |
3S四元豚かたロースひとくちステーキ用(味付) | 100g128円(特売) |
3S四元豚かたロースひとくちステーキ用(ガーリックペッパ味付) | 100g128円(特売) |
3S四元豚かたロースひとくちステーキ用(レモンペッパ味付) | 100g128円(特売) |
アイテム自体は、パン粉を付けたものや、味付タレのバリエーション、みそのバリエーションなど。味付する原料肉も、みつせ鶏であったり、国産どち、であったり定番という形にはなっていない。その都度、材料とで計画しているようだ。
便利性を提供し、その分、利益を取っている。
ただ、便利性というだけでなく、美味しく食べられるという事が重要で、ガーリックであったり、レモン味であったり、飽きられずに継続して購入して頂けるという工夫がポイントである。
牛丼用に切り落とし肉をパックするというのはあるが、玉ねぎとタレを混ぜたものは今まで出てこなかった。このアイテムは、焼肉味付ばかりでなく多くの調理メニューの開発のヒントになるアイテムである。
「スグ旨!おつまみ」のコーナーは、サラダチキン各種と、インストアーパックと、「やみつきローストビーフ ハニマスタード」などの個食パックをアウトパックで導入している。
多品種少量で、味のバリエーションを多くし、少量にすることで、単身・シニアが多いこの地域向けの少量商品を多く品揃えしている。
馬刺し(ブロック)解凍 | 100g799円 |
あい鴨スモークパストラミ | 100g298円 |
やげん軟骨塩 | 100g298円 |
やきとん東松山風 | 100g188円 |
ミミガー(味付・解凍) | 100g150円 |
タン塩レモン | 100g218円 |
タン塩ごま味噌だれ | 100g218円 |
つるし豚バラ焼き豚切り落とし | 100g198円 |
砂肝(七味風味) | 100g218円 |
おつまみ5種盛 | 280g698円 |
おつまみ3種盛 | 180g368円 |
3S四元豚ひれ肉のローストポーク | 100g298円 |
3S四元豚かたロース肉のローストポーク | 100g298円 |
とも三角使用のやわらかローストビーフ | 100g498円 |
多段ケースで品揃えと下段で特売
売り場が狭いので、多段ケースを多く使い、必要なアイテムの売り場を確保し、下段で広告の品を中心にフェイスを多くとって特売のコーナーにしている。
「いわて和牛肩ロース 100g1084円の4割引き」の特売。を下段3尺6フェイスで展開していた。
いわて和牛を中心に、「北のうまみ牛」交雑種と、米国産アンガス黒牛を定番に品揃えしている。
鹿児島さん「六白」黒豚のコーナー(インストアー加工)。
「しゃぶしゃぶコーナー」で、イベリコ豚の肩ロースのしゃぶしゃぶ・みつせ鶏むね肉のしゃぶしゃぶ(インストアー加工)の品揃えをし、下段では国産豚ロースのしゃぶしゃぶの皿盛を100g198円で広告の品として展開していた。
サミットは、輸入牛肉は「米国産アンガス牛」と、「米国産チョイス」グレードの牛肉。豪州産は「アンガス黒牛」として、「黒牛・アンガス牛」という品質のこだわりを入れた展開をしている。
また、ミンチのコーナーでは、ミンチの原料肉を「生肉」だけにして、さらに食味を向上させる新しい取り組みをしている。
ミンチの原料に冷凍を使わないことで、ハンバーグなどで手ごねすると肉の粘りが高くなり、さらに美味しくなるからである。
原料肉を、深く検討し極め、新しい商品カテゴリーの商品化をし、さらにそのアイテムの完成品としての惣菜を提供する,という一連の流れのMD-ingと、今後自社センターを活用した生産性の高いMD-ingに期待したい。
- 投稿タグ
- サミット