桜新町は、東京23区の世田谷、高級住宅街の成城などがある区である。都心のベッドタウンでもあるこの地域で、ライフ、オーケー、いなげや、どの店舗の駐車場にも、比較的高級外車が多い印象であった。
ライフ桜新町店は東急田園都市線桜新町駅から500m程度住宅街に入った場所に位置し、2019年2月6日にオープン。『子どもから大人まで“おいしい”“ワクワク”“ハッピー”を体感できる』ライフらしさの真骨頂を具現化した旗艦店と位置づける店舗としている。
徒歩数分圏内にいなげや桜新町店(2013年12月12日オープン)『地域のお客様にいなげやができてよかったと思われるお店』というストアコンセプトのもと6年目の店舗となる。
ライフから1km強離れた場所に、オーケー新用賀店(最寄り駅は。桜新町の隣の用賀駅)が位置し、現在一部改装をしている。オーケーは2006年2月26日オープンでこの3店舗でもっとも古い店舗となっている。
ライフ桜新町店
レイアウトは従来型の並びであるが、カテゴリ化がされていて買い回りしやすい印象がある。精肉はグリルミート、ラム肉、ナチュラルアンガスビーフ、からスタートする。お店のコンセプトを精肉でも表現する並びとなっている。
「こだわりの品」提供する旗艦店ということで、青果売場横「オイシックス」コーナーに、野菜とお肉や加工肉がセットになった、レシピ付きミールキットを販売。商圏内で構成比の高い、単身世帯・2人世帯の少人数世帯向けの商品を品揃えしている。
オイシックスは有機野菜など安全・安心でおいしい食材を扱う企業として認知度が高いため、特に、東京都内で、素材にも意識を向ける層が多い地域では、支持されやすいと思われる。
ナチュラルスーパー「ビオラル」コーナーを首都圏発の取り組みであるが、精肉関連の品揃えはなかった。
しかし、店舗としての取り組みは、「オーガニック」「ローカル」「ヘルシー」をキーワードに、健康で豊かなナチュラルライフスタイルを掲げており、商品の品揃えは意識的に行なっている。
ヘルシーなイメージの強いラム肉は「We Love Lamb!」コーナーで3尺近い売場をとり展開している。
「ナチュラル アンガスビーフ」では、抗生物質や成長ホルモンを使用せず配合飼料も与えていない自然派の牛肉として販売。精肉でもしっかりと「ライフのこだわり」を表現している。
精肉コーナーで目をひくのが、ライフ最大級の焼肉コーナー「焼肉市場」。
平台中心に和牛の焼肉から赤身の焼肉、セット商品、ホルモン、タレ漬け商品まで、幅広い扱いがある。
ブランドでは、「長崎和牛」の地域銘柄和牛の品揃えに加え、交雑牛の「あまに牛」、豚肉や鶏肉コーナーでも「あまに豚」「あまに鶏」を品揃えしている。
こだわりのブランド肉の品揃えは、「高所得者」と「シニア」をターゲットにした展開を明確に行なっている。
厚切り提案では「あまに牛」(交雑牛)の、サーロインやヒレを使用することで、価格も程よいパック単価、脂肪交雑も強すぎないため、幅広い層に受け入れられる商品となっていた。
この店舗だけで扱う商品では「かごしま黒豚」があり、等級は極上のもののみを品揃えしている。
精肉のグリルミートコーナー(ミート惣菜)では、「あまに豚」を使った豚カツや「あまに鶏」の唐揚げ、チキンナゲットなど販売している。
惣菜コーナーにおいても、精肉のブランドと同じブランド肉を使用し「生鮮と食品の連動」を強化している。
16時~19時に行う「ディナービュッフェ」では、精肉の「あまに鶏」と食品の「ライフプレミアム 贅沢なあご入りおだし」でつくる筑前煮を発売。
「あまに豚」との組み合わせた肉じゃがなど、ブランドへのこだわりを強化している。
ミートオードブルコーナー(冷惣菜)では、ローストビーフはステーキカットやミスジローストビーフなど、こだわりの商品を展開している。
今まで豚タンスモークなども展開しているが、健康に意識した商品という部分から、「豚タンポテトサラダ」など、ターゲットとなる、「シニア」や「女性」などに受け入れられやすい商品の展開が多くなっていた。
加工肉コーナーでは、メーカーのコンシューマパックの品揃えはもちろん、PBの品揃えも充実しており、LIFE PREMIUMのシリーズでは、ロースハムやベーコン、ソーセージなど、日常使いする加工肉を、九州産豚肉使用するなど、こだわりを持った商品化で展開。商品一つ一つに力を入れた展開となっている。
産地 | 商品名 | 単位 | 売価 |
kit Oisix | ロコモコプレート | 1袋2人前 | 980 |
kit Oisix | 長ねぎが主役!香ばし鶏の照り炒め | 1袋2人前 | 1480 |
あまに豚 | 煮込みハンバーグ | 1個 | 398 |
あまに鶏 | ももから揚げ | 100g | 197 |
あまに鶏 | チキンナゲット | 100g | 128 |
岩手県産純和赤鶏 | 手羽中焼き | 100g | 158 |
豪州産サフォーククロスラム | モモステーキ(ランプ) | 100g | 298 |
豪州産アンガスビーフ | ロースステーキ | 100g | 358 |
豪州産牛 | サーロインステーキ | 100g | 298 |
豪州産牛 | モモまたはカタ切落とし | 100g | 158 |
広島県産あまに牛 | サーロインステーキ(交雑種) | 100g | 678 |
長崎和牛 | ザブトン(肩ロース)焼きすき | 100g | 1080 |
かごしま黒豚 | ロース薄切り | 100g | 348 |
北海道産あまに豚 | ロース薄切り | 100g | 288 |
千葉県産豚 | ロース薄切り | 100g | 158 |
岩手県産純和赤鶏 | モモ肉 | 100g | 168 |
岩手県産純和赤鶏 | ムネ肉 | 100g | 148 |
国内産あまに鶏 | モモ肉切身 | 100g | 168 |
国内産あまに鶏 | ムネ肉 | 100g | 88 |
九州産若どり | もも肉 | 100g | 98 |
九州産若どり | ムネ肉 | 100g | 48 |
惣菜コーナーでは、宮崎牛、山形牛を使用した牛めしも展開。和牛のブランド牛を惣菜メニューに展開していることで、惣菜コーナーも安心感のある素材を打ち出すことが出来、こだわりの食を展開している。
いなげや桜新町店
近隣の徒歩圏内に、ライフ桜新町店という競合ができた、いなげや桜新町店は客数の面でも大きな打撃を受けている。
そのため、各部門が複数アイテム特売を実施しており、店内放送も多く入れて対応していた。
商品展開は、銘柄肉を多く品揃えしているが、銘柄が多すぎてどれを購入してよいかわからない印象。
また、ブランドシールとラベルシールの銘柄が異なっている商品もあり、事実上管理できていないように感じる。
調査日は、POPに仙台黒毛和牛半額セールを実施。しかし、仙台牛やあじわい健康牛なども半額商品があり、ブランド販促を見失った状態である。
豚肉コーナーでは、「こだわりの東北産美味豚」を展開。
鶏肉コーナーでは青森県産の「青森桜姫鶏」を展開。
レジにて表示価格より3割引セールの特売を実施していた。
産地 | 商品名 | 単位 | 売価 |
兵庫県産神戸ビーフ | カルビ焼肉用(バラ) | 100g | 1780 |
宮城県産仙台牛 | ステーキ用(リブロース) | 100g | 1480 |
宮城県産仙台黒毛和牛 | ステーキ用(肩ロース) | 100g | 980 |
北海道産ふらの牛 | ステーキ用(サーロイン) | 100g | 598 |
国産あじわい健康牛 | ステーキ用(肩ロース) | 100g | 980 |
こだわりの東北産美味豚 | 薄切り(ロース) | 100g | 290 |
国産豚肉 | 薄切り(ロース) | 100g | 250 |
徳島県産阿波尾鶏 | もも | 100g | 258 |
徳島県産阿波尾鶏 | むね | 100g | 178 |
青森桜姫鶏 | もも | 100g | 168 |
国産若鶏 | もも | 100g | 98 |
国産若鶏 | むね | 100g | 78 |
オーケー新用賀店
EDLPを打ち出すオーケーストアは、地域住民からの信頼も有り、駐車場は満車で、周辺道路にまで車が列を作って入場を待っている状態である。
生鮮食品だけでなく、グロサリーなどもEDLPで、商品を安く購入できるため、購入者の多くは買い物カゴ2~3ついっぱいに商品を購入している姿は珍しくない。
当然ながら、精肉商品に関しても、大型パックやブロック肉なども、SMで購入する数量よりは買い上げ点数も多い。
オーケーはEDLPでディスカウンターのイメージが強いが、価格だけではなく、商品に対しても強いこだわりがあることが以下の商品を見ると想像できることと思う。
豪州産の100%ナチュラルビーフをうたった牛肉は、STOCKTARDの商品で、ホルモン成長促進剤、生後、一切使用しておらず、遺伝子組換え飼料・抗生物質を肥育時に一切使用していないことを売り文句に販売している。
肥育期間65日以上(通常のブロイラーで約50日)、メス、36日齢以降はすべて抗生物質、抗菌剤無添加の飼料を使用した霧島鶏を使用している。また、鶏肉を中心にノントレー化が進んでいる。
鎌倉ハム村井商会が製造する無塩せきウインナーソーセージや無塩せきロースハムスライスを下段展開。
産地 | 商品名 | 単位 | 売価 |
国産和牛黒毛A5 | リブロース(3~4mm)うすぎり | 100g | 660 |
国産和牛黒毛A5 | 肩ロース薄切り | 100g | 543 |
国産和牛黒毛A5 | バラ極うすぎり | 100g | 388 |
国産和牛黒毛A5 | イチボ厚切りステーキ(モモ) | 100g | 611 |
豪州産ナチュラルビーフ | もも厚切り(内もも) | 100g | 233 |
米国産牛肉(プライム) | 肩ロースステーキカット | 100g | 229 |
豪州産牛肉 | サーロインステーキカット | 100g | 291 |
沖縄県産琉球長寿豚 | ロースうすぎり | 100g | 189 |
国産豚 | ロースうすぎり | 100g | 130 |
国産若鶏 | もも肉 | 100g | 98 |
国産若鶏 | むね肉 | 100g | 49 |
EDLP展開で安さだけを売りに安さだけで訴求せず、ナチュラルや塩せきなど健康にも気を使った商品展開を行っている。銘柄はかなり絞られており、展開もシンプルでわかりやすい。
明確な打ち出しでライフは展開
ライフは『子どもから大人まで“おいしい”“ワクワク”“ハッピー”を体感できる』をコンセプトに、店内の売場が作られている。
そのため、子供向けのお菓子コーナーには、おもちゃが並んでいたり、大人は品揃えの多いワインとマリアージュできる惣菜も多く品揃えしている。
精肉では、こだわりの銘柄を重点的に販売し、ラムやナチュラル、焼肉など、カテゴリ化された売場作りが、消費者目線でわかりやすい。
近隣のいなげやは、銘柄を多く品揃えし、価格訴求するも、価格はオーケー、銘柄の展開はライフに一歩及んでいないため、必死に特売を考えていることが売場から感じ取れた。
オーケーはEDLPのディスカウンターであるが、素材にも注力した商品展開を行なっている。価格訴求がやはり強力なこともあり、消費者はオーケーにも多く流れていた。
日常的に活用することが出来る場としては、ライフがキッズスペースを作っていることや、イートインスペースを広く取っていること、2階部分には日用雑貨や医療品なども品揃えしており、地域のコミュニケーション店舗として活用されることと思われる。