売場面積100坪という超小型店に挑戦したサミット神田スクエア店は、売場スペースに限りがありながらも、生鮮から惣菜、グロサリーまで販売しており、最低限の日常の食卓ニーズに応える売場作りを行っている。
1km商圏内には、オリンピックが唯一300坪を越える規模の店舗があるが、それ以外はマルエツプチ、成城石井、まいばすけっと などのミニスーパー主体のエリアとなっている。
サミットストア新店の売場構成
コーナー | 尺数 |
牛肉 | 4尺 |
豚肉 | 8尺 |
鶏肉 | 4尺 |
味付け肉、挽肉 | 4尺 |
レンジで簡単調理セット、ミート冷惣菜 | 4尺 |
加工品 | 4尺 |
【グリルキッチン】
残念ながら、超小型店のためグリルキッチンは設置されていない。日中のビジネスマンの昼食ニーズは惣菜が取り込んでいる。
その中に、サミット他店舗で扱ってきているグリルキッチンアイテムの扱いがある。
ライブキッチンなどは行っていないが、店内調理をしていることをアピールするため、壁面の一部がガラス窓となっており、調理しているのが見える。
畜種別構成と商品化
精肉商品の9割はアウトパックで対応しており、品揃えはおおよそ180SKU、売上高構成比は10%という設定である。アイテムとしては、以下、畜種ごとに記載しているが、売り切れ商品などあるため含め100%網羅しているわけではない。
アイテムの絞り込みはしているものの、和牛の「いわて和牛」、交雑の「北のうまみ牛」、輸入牛は「アンガス黒牛」としっかりと銘柄を打ち出している。
いわて和牛は4等級という記載もあり、単に和牛ではなく、こだわっているという品名の付け方をしている。
輸入牛は、アンガス黒牛というアンガス種に縛った展開を行っているが、アメリカ産とオーストラリア産の2パターンある。アメリカ産はチョイスの記載もあり、売場ではチョイスの説明コトPOPも掲示されていた。
4尺という限られた売場の中でも、松竹梅の展開をすることで、メリハリと価格差を打ち出し、いろいろな消費者に対応する姿勢がうかがえた。
加工者をみると、ヨコオ厚木工場のものがほとんどで、インストアでは「和牛サーロインステーキ」と「アンガス黒牛ももブロック」のみとなっていた。ラップ破れなどによる、インストアでのリパックの可能性もあるが、どちらにしてもほぼアウトパックで対応している。
産地 | ブランド | 商品名 | 100g単価 | 量目 | 加工者 |
岩手 | いわて和牛 | ももステーキ用4等級 | 698 | 176 | ヨコオ厚木工場 |
岩手 | いわて和牛 | もも霜降り焼肉用(イチボ) | 798 | 199 | ヨコオ厚木工場 |
岩手 | いわて和牛 | もも焼き肉用4等級 | 698 | 109 | ヨコオ厚木工場 |
岩手 | いわて和牛 | ももしゃぶしゃぶ用4等級 | 698 | 108 | ヨコオ厚木工場 |
岩手 | いわて和牛 | かたロースうす切り4等級 | 798 | 103 | ヨコオ厚木工場 |
岩手 | いわて和牛 | こま切れ4等級 | 599 | 124 | ヨコオ厚木工場 |
岩手 | いわて和牛 | カレー・シチュー用4等級 | 348 | 243 | ヨコオ厚木工場 |
国産 | 黒毛和牛 | サーロインステーキ用4等級 | 998 | 124 | サミット神田スクエア店 |
北海道 | 北のうまみ牛 | サーロインステーキ用 | 980 | 212 | ヨコオ厚木工場 |
北海道 | 北のうまみ牛 | ばらカルビ焼用 | 680 | 97 | ヨコオ厚木工場 |
北海道 | 北のうまみ牛 | こま切れ | 388 | 118 | ヨコオ厚木工場 |
北海道 | 北のうまみ牛 | 切り落とし | 398 | 247 | ヨコオ厚木工場 |
アメリカ | アンガス黒牛 | かたロースしゃぶしゃぶ用(チョイス) | 298 | 181 | ヨコオ厚木工場 |
アメリカ | アンガス黒牛 | かたロースうす切り(チョイス) | 298 | 231 | ヨコオ厚木工場 |
アメリカ | アンガス黒牛 | ばら切り落とし(チョイス) | 188 | 210 | ヨコオ厚木工場 |
アメリカ | アンガス黒牛 | ばらカルビ焼用(チョイス) | 198 | 212 | ヨコオ厚木工場 |
オーストラリア | アンガス黒牛 | サーロインステーキ | 398 | 176 | ヨコオ厚木工場 |
オーストラリア | アンガス黒牛 | すねカレー用 | 208 | 124 | ヨコオ厚木工場 |
オーストラリア | アンガス黒牛 | ももブロック(ローストビーフ用) | 228 | 399 | サミット神田スクエア店 |
アウトパックだと商品化が雑で、焼肉は薄いという固定概念があるバイヤーも多いが、実際に購入して内容を確認していると、7-8mm厚でカットされた焼肉が盛り付けられている。
価格からすると焼肉1枚400円弱で高めと感じるが、満足感は高い一品となっている。
【豚肉】
豚肉コーナーは、バックヤードの通路を挟んで4尺+4尺という分断された売場となっている。
以下の商品リストは、グレードごとに並び替えをしているが、売場としては、切り身としゃぶしゃぶで4尺、スライスと切り落としで4尺という作りになっている。
銘柄はアッパーブランドで、鹿児島県産の六白黒豚、スペイン産イベリコ豚、アメリカ産3S四元豚は記載をしている。
商品リストを見ても、白豚のアイテム構成が主となっていることがわかる。
加工者は、六白黒豚はヨコオ厚木工場、白豚と輸入豚はサミット川崎塩浜プロセスセンターが主で、一部インストア商品がある。
産地 | ブランド | 商品名 | 100g単価 | 量目 | 加工者 |
鹿児島 | 六白黒豚 | ロース切りみ | 380 | 238 | ヨコオ厚木工場 |
鹿児島 | 六白黒豚 | ロースしゃぶしゃぶ用 | 380 | 184 | ヨコオ厚木工場 |
鹿児島 | 六白黒豚 | しゃぶしゃぶ用(ばら) | 308 | 209 | ヨコオ厚木工場 |
鹿児島 | 六白黒豚 | かたロース切り落とし | 348 | 204 | ヨコオ厚木工場 |
鹿児島 | 六白黒豚 | ロースうす切り(少量) | 380 | 84 | ヨコオ厚木工場 |
鹿児島 | 六白黒豚 | 切り落とし | 248 | 172 | ヨコオ厚木工場 |
国産 | 豚ばらなんこつ煮込み用(パイカ) | 108 | 259 | サミット川崎塩浜プロセスセンター | |
国産 | 豚スペアリブ(骨つきばら) | 158 | 322 | サミット川崎塩浜プロセスセンター | |
国産 | 豚ヒレ | 298 | 248 | サミット神田スクエア店 | |
国産 | 豚かたロース煮豚用 | 238 | 467 | サミット神田スクエア店 | |
国産 | 豚ばらブロック | 238 | 321 | サミット川崎塩浜プロセスセンター | |
国産 | 豚ロース切りみ | 258 | 292 | サミット川崎塩浜プロセスセンター | |
国産 | 豚ロースしゃぶしゃぶ用 | 248 | 200 | サミット川崎塩浜プロセスセンター | |
国産 | 豚かたロースしゃぶしゃぶ用 | 248 | 219 | サミット川崎塩浜プロセスセンター | |
国産 | 豚しゃぶしゃぶ盛り合わせ(ロース・ばら) | 698 | 300 | サミット川崎塩浜プロセスセンター | |
国産 | 豚ばら生姜焼用 | 238 | 229 | サミット川崎塩浜プロセスセンター | |
国産 | 豚ももうす切り | 148 | 188 | サミット川崎塩浜プロセスセンター | |
国産 | 豚ロース生姜焼用 | 238 | 214 | サミット川崎塩浜プロセスセンター | |
国産 | 豚ロースうす切り | 238 | 205 | サミット川崎塩浜プロセスセンター | |
国産 | 豚ももうす切り | 148 | 208 | サミット川崎塩浜プロセスセンター | |
国産 | 豚ばらうす切り | 238 | 96 | サミット川崎塩浜プロセスセンター | |
国産 | 豚こま切れ | 138 | 129 | サミット神田スクエア店 | |
国産 | 豚かたロース切り落とし | 238 | 214 | サミット川崎塩浜プロセスセンター | |
国産 | 豚もも切りおとし | 148 | 219 | サミット神田スクエア店 | |
スペイン | イベリコ豚 | かたロースしゃぶしゃぶ用(解凍) | 298 | 199 | サミット川崎塩浜プロセスセンター |
アメリカ | 3S四元豚 | ロース切りみ | 138 | 206 | サミット川崎塩浜プロセスセンター |
アメリカ | 3S四元豚 | ロースしゃぶしゃぶ用 | 148 | 200 | サミット川崎塩浜プロセスセンター |
アメリカ | 3S四元豚 | ロース生姜焼用 | 138 | 236 | サミット川崎塩浜プロセスセンター |
アメリカ | 3S四元豚 | かた切りおとし | 118 | 210 | サミット川崎塩浜プロセスセンター |
アメリカ | 3S四元豚 | ばら切り落とし | 178 | 194 | サミット川崎塩浜プロセスセンター |
鶏肉は九州産みつせ鶏と岩手県産若どりの展開。
4尺の中で、商品展開を工夫していることがわかる。みつせ鶏は銘柄鶏の位置づけながらも、正肉だけでなく、親子丼用のこま切れや少量パックのすじとりささみなどの品揃えも行っている。
副産物は販売していなかったが、鶏肉料理で販売していないと困るアイテムはすべて網羅されている。
加工者は、みつせ鶏はサミット川崎塩浜プロセスセンター、若どりは全欧チキンフーズ戸田CPCとなっている。
一部、インストアのものも含まれていたが、アウトパックのものとの併売だったため、不足分をインストア加工したか、リパックをしたかのという程度の量であった。
産地 | ブランド | 商品名 | 100g単価 | 量目 | 加工者 |
九州 | みつせ鶏 | こま切れ(むね)(親子丼・煮物用) | 218 | 213 | サミット川崎塩浜プロセスセンター |
九州 | みつせ鶏 | ももカレー・から揚用 | 268 | 211 | サミット川崎塩浜プロセスセンター |
九州 | みつせ鶏 | 手羽もと | 158 | 279 | サミット川崎塩浜プロセスセンター |
九州 | みつせ鶏 | やわらかむね肉 | 199 | 273 | サミット川崎塩浜プロセスセンター |
九州 | みつせ鶏 | すじとりささみ(少量) | 238 | 89 | サミット川崎塩浜プロセスセンター |
九州 | みつせ鶏 | もも肉 | 248 | 359 | サミット川崎塩浜プロセスセンター |
岩手 | 若どり手羽もと | 98 | 349 | 全農チキンフーズ 戸田CPC | |
岩手 | 若どり手羽さき | 98 | 342 | 全農チキンフーズ 戸田CPC | |
岩手 | 若どりミニスティック(手羽なか) | 148 | 227 | 全農チキンフーズ 戸田CPC | |
岩手 | 若どりももから揚用 | 158 | 280 | 全農チキンフーズ 戸田CPC | |
岩手 | 若どりむね肉 | 75 | 347 | サミット神田スクエア店 | |
岩手 | 若どりもも肉 | 113 | 246 | サミット神田スクエア店 |
【羊肉】
豚肉コーナーの最上段にラム肉も品揃えがある。こちらは、コーナー化まではされておらず2アイテムのみであるが、限られた売場で販売するこだわりは感じられる。
こちらも、サミット川崎塩浜プロセスセンターでの加工商品。
産地 | ブランド | 商品名 | 100g単価 | 量目 | 加工者 |
ニュージーランド | ラムかたジンギスカン用 | 188 | 249 | サミット川崎塩浜プロセスセンター | |
ニュージーランド | ラムロースステーキ用(骨付) | 338 | 230 | サミット川崎塩浜プロセスセンター |
簡便商材を下段と2段目、3段目4段目は挽肉を展開している。
この売場作りから、味付け商材の位置づけは挽肉よりも上ということである。下段はプルコギ用の焼肉のタレ揉み込み商品を2SKU6フェイス(4尺分)で、思い切った尺取りをしていることからも、他店での売上の分析から構成を決めていることと思う。
2段目も、売れ筋のガーリックペッパー(148円/100g)と若どりかたカツレツのカレーパン粉焼(98円/100g)のみで、味付け商材は絞り込まれている。
下から4段目、3段目がおつまみ冷惣菜の展開、下段2段目がレンジ対応商品で4尺縦陳列となっている。最上段(5段目)は、フードリエのローストビーフ切り落とし398円、紅茶鴨スモーク298円、紅茶鴨パストラミ298円など、そのまま並べることができるコンシューマパックを販売している。
おつまみ冷惣菜では100g程度の超小型パックの展開を行っている。
「こんがり焼バラ焼豚切り落とし100g198円」「豚酢もつ100g178円」など100円台のパックで買いやすい品揃えとなっている。
それ以外にも、ローストビーフや3S四元豚ローストポークサラダなど、冷惣菜の品揃えもある。
レンジ対応商品では、「レンジでチーズタッカルビ328円/P」「レンジでたっぷり野菜のタンドリーチキン風298円/P」「レンジで蒸し豚肉野菜セット(ねぎ塩)298円/P」など購入しやすい価格帯でのレンジ対応商品を品揃えしている。
モランボンの焼肉の生ダレ ジャンとコラボレーションした商品で、こちらもレンジアップ商品となっている。
ジャンのタレが消費者にも浸透し、相乗効果が期待できる商品である。野菜のボリューム感もトレーからわかるため、お肉を食べる罪悪感のある女性にも受け入れられやすい商品となっている。
【ミート惣菜商品】
グリルキッチンに力を入れてきたサミットストアであるが、神田スクエア店は売場の広さが限られており、ライブ感のある売場は実現できなかったようだ。
しかし、冷惣菜は精肉コーナー、それ以外は惣菜コーナーで展開されている。展開の方法も、ほぼすべてが極小パックの品揃えである。
売場は精肉の冷惣菜売場。内容量は82gでパック単価162円。
ユニット販売のため前後するが、おおよそ160円前後のパック単価となっている。チャーシューのたれが同梱してあるだけのシンプルな商品。
製造者:サミット神田スクエア店
売場は惣菜コーナー。内容量45gでパック単価62円。
こちらも100円を切る商品。少しだけ試してみたいニーズや、小のおかずで食べたい消費者ニーズを捉えたアイテムである。
極小売場にすべてを凝縮
今までのミニスーパーの精肉は、アイテムも絞り込みコアアイテムしか販売しないスタイルであったが、サミット神田スクエア店は、どちらかというと、スーパーマーケットを小さく凝縮したイメージに近い。
ミニスーパーと呼ばれてきた業態とスーパーマーケットの中間くらいの広さがあるためでもあるが、4尺を基準とした、各畜種の中で、松竹梅のほとんどが揃っている面白い売場作りである。
今までにない展開をスタートさせるには、多くの苦労と思い切りが必要であったと思うが、三密を避ける買いたいものを、スムーズに買わせることができる、新しい売場のスタートと感じた。
調査した日にも、同業者と思われる多くの視察者が来ていたが、この売場を見て、我が社も100坪店舗に取り組もうと、安易に考えるのはやめた方が良いと思う。
その理由は、まずこの売場になった立地や環境、PCの取り組みがあって初めて取り組めるからである。
新型コロナウイルスの影響で、環境が著しく変化している。
量目や価格帯などマーケティングの4Pを、まずは既存店で今一度見直す時期ではないかと思う。