11月から12月に売込むこの商品

【祝日とイベントからみる精肉販促】

2024年11月12月の祝日は、11月3日(日)文化の日、4日(月)振替休日、11月23日(土)勤労感謝の日のため、11月2日(土)~4日(月)の3連休のみとなる。
12月下旬から学校は冬休みとなり、社会人も年末年始休暇のタイミングに入る。
今年は曜日周りから12月28日が土曜日のため、27日金曜日が多くの企業で仕事納めになる事が予想される。
年末年始休暇で最も多いと思われるパターンが、12月28日(土)~2025年1月5日(日)の9連休である。
1月6日が仕事始めとなり、月曜日のため、年始から1週間みっちりと働かなくてはならないというのが、一般的な企業の休みの取り方であると予測される。
連休が9連休程度ということや為替の影響もあり、年末年始は比較的海外旅行よりも国内旅行や実家に帰るなどという、国内需要に目が向きそうである。
そのため、親族が集まるような昔ながらの商品化を増やしても良い。
特に、家族が集まる機会が減っていた地方都市は特に、孫を喜ばせたいおじいちゃんやおばあちゃんが張り切って、昔ながらのメニュー(良くも悪くも「すき焼き=おもてなし」が浸透している世代)がすき焼きやしゃぶしゃぶをしっかりと購入してくれる事が鍵となる。
そのため、おもてなしメニューの事前予約などをあらかじめ受け付け、確実に売上を確保していくのも良い。
外気温(東京)は、11月上旬平均最高気温が18.6℃最低気温10.6℃、が12月に入るとさらに下がり、年末頃平均最高気温が11.0℃、最低気温2.5℃となる。
当然、エリアによって気温は大きく変わるため地域の特徴をしっかりとつかんでもらわなければならないが、特に冬場は気温の変化や雪など急な天候の移り変わりなどにも注意して、ウェザープロモーションを適宜行なっていくことが大切となる。
大きな商戦でクリスマス商戦、年末年始商戦が12月に絡んでくる。
天候に左右される食生活も、クリスマスや年末年始は、メニューに大きな変化はない。
近年、クリスマス商戦も少しずつ変化が起きてきており、タイパ商品として、ローストビーフを使用したおしゃれなオードブル、加熱済みのチキンレッグ、ターキーレッグなども一般的。ターキーは食べてみたいけども調理がわからない方が多いため、温めるだけで食べることが出来る商品には需要がある。

【11月に使える焼きメニュー提案】

秋冬メニュー商材の構成比が格段に上がり、年末年始商戦への対応が鍵となる11月。
最低気温が10月に比べると大きく下がるため、夕食メニューが本格的にホットメニューにシフトする。一度、土鍋などが食卓に上ると、鍋メニューの頻度が大幅に上がるため、できるだけ早めに鍋を夕食で食べるシーンを作る事が売上に左右する。
しゃぶしゃぶや鍋、すき焼きは王道の味付けをベースに、近年ではびっくりするようなトレンド鍋は生産されなくなってきているため、王道のホットメニューに何かオリジナリティのあるものをプラスするだけで、それが特長となったりする。
この20年、しゃぶしゃぶと言えば、「豚しゃぶ」が主流であったが、それより以前は牛肉のしゃぶしゃぶしか販売していなかった。
しかし、今となっては「牛肉しゃぶしゃぶ」が一周回って新しいという環境になっている。
特に焼肉で認知度が高くなった希少部位というのが、薄切りでも活用出来るので、上手く利用してもらいたい。

国産黒毛和牛ももしゃぶしゃぶ・すき焼き用 598円/100g
国産黒毛和牛ももしゃぶしゃぶ・すき焼き用 598円/100g

年末商戦に向け、11月には必ず牛肉薄切りでしゃぶしゃぶ・すき焼き用商品の品揃えを強化する。
為替の影響が強いため、輸入牛と国産牛の価格差が縮まり、和牛の割安感はハレの日により顕著に出る。ハレの日に向けてしっかりと和牛を顔出しすることが重要である。特に、サシが入りすぎていない、モモ系、肩系ですき焼き用やしゃぶしゃぶ用を提案して行くと良い。
商品化は、以前はすき焼き2.5mm、しゃぶしゃぶ1.5mmなど厚みを変えていたが、すき焼き人口が圧倒的に減っていること、和牛の単価が高いため、厚みを厚くすると重たくなってしまい、見た目以上にパック単価が上がってしまうため、1.5mmでしゃぶしゃぶとすき焼きどちらも提案すると良い。
部位としては、モモや肩など部位表示をすれば良いが、希少部位で提案出来る部分は、単価を上げて、「黒毛和牛もも(イチボ)しゃぶしゃぶ・すき焼き用」などで訴求する。

国産あい鴨もも肉鍋セット(あい鴨だんご)1280円/200g
国産あい鴨もも肉鍋セット(あい鴨だんご)1280円/200g

国産あい鴨肉を使用した鍋セットをだんごやつみれもセットにして販売する。
様々な原料が値上がりして、豚肉や鶏肉料理が中心となっており、特に単価の安い若鶏は鍋用商材としても需要高いが、慣れた鍋メニューを使用した鴨肉を訴求する事で、食のバリエーションを日常化させる。
鴨モモ肉やムネ肉だけだと、単価が国産牛肉並みであるため、見た目にも高く感じてしまうため、均一価格でキット販売する。
可能であれば小袋の濃縮タイプの鴨鍋スープなども同梱できると買いやすい商品となる。
商品化は、国産鴨肉のモモやムネはチルドで納品されることがほとんどのため、一度ドリップをしっかりと除去し、皮を外側にしてロール状に巻き、ラップに包んで冷凍庫で半凍結させてからカットすると、料亭で出てきそうなイメージの、丸い形の鴨肉にカットすることが出来る。
価格を上げすぎないようにするには、モモ肉とムネ肉(鴨ロース)を抱き合わせてロール状にすると、モモかムネの片方だけを高く売る必要がなくなる。

【12月に使える炊きメニュー提案】

月末にはクリスマス、年末商戦を控えているが、上旬中旬と売上が作りにくい日が続く。
そのため、ウィークデーには日常使いするアイテムを1パック380円よりどり3パック980円均一など、よりどりセールを行なうことで、売上と買い上げ点数を上げる施策をおこなっていく。週末には子どもたちのクリスマス会も実施される。
子どもでも食べやすいお肉のオードブル「ミードブル」提案、大人もワインにあう商材として拡販していくと良い。
クリスマス年末商戦で売り逃しをしないように、イベントの時だけ商品を品揃えするのでは無く、事前に顔見せをしながら大きな売上を作るように段取りを行なわなければならない。

お肉屋さんのミードブル5点盛り780円/P
お肉屋さんのミードブル5点盛り780円/P

国産牛ローストビーフ、ローストポーク、合鴨パストラミ、豪州産牛ローストビーフ、豚タンネギ塩を盛り合わせたミートオードブル「ミードブル」をクリスマス年末商戦に向け展開する。定番で扱っているおつまみメニューは、店内で盛り付けている場合は、セット用のトレーに盛り合わせて展開する。
新たな仕入れをできるだけせずに、アイテムを増やしていくセット販売は、このようなイベント時には最適の方法となる。
アウトパックで仕入れしている場合は、PCや仕入れ先との交渉となるが、新しい商品化を行なうことにネガティブなことが多い。
そのため、こちらも商品化が通常業務の延長で出来るメニューを考えていくことで、無理なく新しい商品を展開するよう配慮していきたい。

ローストビーフ ポテトサラダツリー 880円/P
ローストビーフ ポテトサラダツリー 880円/P

見た目をクリスマスツリー型に整えたローストビーフサラダを展開する。
ポテトサラダを山状に盛り付け、その周りにローストビーフを巻き付けていく。彩りにかいわれやマヨネーズピンクペッパーをすこしのせるだけで、クリスマスらしく展開することが出来る。
ローストビーフは、スライスやのっけもり、サラダのトッピングで展開されることが多いが、SNS映えを意識して、高蓋トレーでこのように商品化するのも一つの手段となる。
SNSが見るターゲットは、必然的に20代など若年層になるため、大学生が日常使いする大学近隣店舗や駅直結店舗などは取り組んでもらいたい。
価格帯は手間が掛かる分、少し高め設定にするが、イベント時に少し高いものを購入したりすることに抵抗が少ないのも、以外と若い世代であることを意識して販売したい。
特に、12月に入ると初旬から子どものためのプチクリスマス会が行なわれることが増えている。かつては、子供会などで地域のイベントで、数百円のクリスマスプレゼント交換会など懐かしいイベントが行なわれていたが、今はほとんど行なわれていない。
その代わりに、美味しい食材を持ち寄ったクリスマスパーティなど個別に行なわれているのである。

人手不足をブロックメニューで解消

人手不足は量販店の中でも喫緊の課題の一つである。
特に、お肉を加工できる人が格段に減ってきているため、商品化をアウトパックせざるを得ない状況となっている。
しかしながら、以前から売上や粗利の予算は上乗せされた状態で、現場だけが悩まなければならないという量販店も出てきている。
特に利益に関しては、根本的な解決が必要なため、バイヤーや商品部がしっかりと対策を練る必要がある。
店舗で出来る対策としては、やはり原料を仕入れて店内加工することが最も利益を最大化できる方法の一つであると言える。
お肉を加工できる人が減っているのに、どうやって商品化をするのか。スライサーを使用した商品に関しては難しいかもしれないが、ブロックにカットして提供することは、作業的にも難しくはない。
そのため、冬場にメニュー提案できる煮込み用の豚、ローストビーフ用の牛、参鶏湯用の鶏、変わり種で羊肉の骨付き肉、鶏中抜き、ターキーレッグはクリスマス用に提案出来る。

ニュージーランド産羊肉前すね骨付きブロック 298円/100g
ニュージーランド産羊肉前すね骨付きブロック 298円/100g

クリスマス料理や煮込み料理、中国料理、エスニック料理にも欠かせない羊肉骨付き肉。
中華系だけでなく、ヨーロッパでも骨付きすね肉は一般的に夕食のメインとしても使用されるが、日本ではあまりなじみが無いため、販売されることが少ない。
そのため、骨付きすね肉が品揃えされている専門店、冷凍でも業務用スーパーなどで購入し、そのついでに他の食材も1回数万円分の購入を行なう消費者も少なくない。
特にターゲットとしては、ヨーロッパ系の外国人、中華系、アジア系の方が多く住む地域では、品揃えしてみてもらいたい。羊肉骨付き肉だけでなく、豚骨付きすね肉なども実は潜在的な需要が隠されているため、一度この店舗にこの商品があると認識すると、確実に商品を狙った消費者のリピートがなされる。
ブロック肉では、クリスマス後、年末商戦前の26日~29日で豚ブロック祭りなども実施すると良い。
年末前で売上が一度落ち込むタイミングのため、簡単に商品化出来、年末年始用の煮豚、焼豚用の仕込みのタイミングでも人気が高い商品となる。
若い人では、豚バラを家で煮込んで、ラーメン用のチャーシューを年末年始に作る方もおり、若い人から、親族をもてなす田舎の実家のおじいちゃんおばあちゃんまで購入される商品となる。

店内写真撮影OK!SNS集客時代

2008年7月11日、日本でAppleのiPhone 3Gを発売した。それまでは、今でいうガラケーという携帯電話が主流だった。メインカメラは200万画素、容量は8GBや16GBで、今となっては容量も少なくカメラの画質も悪い印象を持たれるかもしれないが、このスマホが世界を一気に進化させてしまった。
電話やメッセージを送るだけが機能だった携帯が、写真やアプリでゲームができ、インターネットにもつながり、調べ物も出来るしTVや動画も見れる。
2000年以降に産まれた20代前後の方からすると、それが当たり前の世界であるが、この15年20年で変わったものが、ほぼ全員が手にしている「スマートフォン」である。

 スマホになったことで、ハードの問題だけで無く、アプリをはじめSNSによる情報の拡散や伝達の速度が格段に上がった。
これは、今なお進化を続けているが、スマホについて行けていない世代が会社にいることを理解しなくてはならない。

 なぜ、そのように感じるかというと、タイトルにもある”店内写真OK!”という事に対して、拒絶反応を示す人(多くは会社の中間以上の年齢を重ねた方)が、まだまだ多くいるということである。
以前は、確かに競合店の情報を得るのに足を運ぶ必要があり、その情報に相当な価値があった。しかしながら、このスマホが世の中のほとんどの人が持ったことによって、至る所で写真撮影が可能となり、SNSによる拡散も行なわれるようになってしまった。
一般消費者がどんどん美味しそうな商品を勝手に撮影し(写真撮影禁止とは知らずに)、普通にSNSに投稿しているのが現実である。
おそらく、上記の拒絶反応を示している方たちは、SNSに自社の売場写真や商品写真がアップロードされていることすら知らない(気づいていない)ことと思う。
つまり、もはや”店内写真撮影禁止!”には、何の効力も無く、現在の環境にも適した内容ではないのである。

 では、どうすれば良いか。『店内写真をどんどん拡散してもらおう!』である。
ご存じの方もおられるかと思うが、イタリアのスーパーマーケットのEATALYでは、店内写真撮影も許可されている。
日本でも、それを見習って、X(旧twitter)やInstagram、Facebookをはじめ、自社のアカウントを構えて発信をしている企業も増えてきた。
SNSは、上手く活用すれば、広告よりも低金額で集客が出来る、ある意味最強のツールである。しかも、消費者が勝手に拡散してくれるとなると、広告宣伝費用すらかける必要がなくなるのである。

 精肉でも、SNSを活用した販促を行なっている企業や精肉店もあり、特売情報だけで無く、ギフト商戦、手土産の事前注文の受付も実施している。
近年、ギフト商戦の精肉需要が減っているため、需要が無くなってきていると思われがちなのである。今までギフト戦略をしていなかった、有名外食店などが、精肉ギフトを販売しはじめたりしており、大きな売上を作っている。
今まで想定していなかった業態が競合となっているため、特にお歳暮商戦も上手くSNSを活用することで、再起を図ってもらいたいと思う。

継承と進化

 精肉部門は、良くも悪くも昔から同じものを販売している。
 しかし、大きな波があり、一種のブームのようなものが10数年ごとにやってくる。数年前ラムやジンギスカンが流行ったように、最近では味付け肉、レンジ調理商品が多く見受けられるようになってきた。
 ただ、昔と全く同じ商品が売れていると言うことでは無く、味付け商品も味にバリエーションが増えていたり、オイル焼きのように進化を遂げた味付けも存在する。
 最近入社した20代社員にとっては、これらの商品は逆に目新しく新鮮なイメージを持たれるかもしれない。
 さらに、一時下火になっていたが、切り落しベーコンやチョップドハムなど、ハムソーセージコーナーではなく、精肉の半製品やおつまみコーナー、量り売りコーナーで販売がされ、かなりの売上をのばしている。
 いずれの商品も、目新しいわけではないが、過去に売れていた商品がまた売れ始めている現象である。
 これは、自社PBのハムやベーコンの端材がどうしても出てしまうために、以前はメーカーから買い叩いて安く仕入れていた商品が、自社で出てしまうために、拡販しなくてはならないという現象でもあるが、これが売れているのも事実である。
今年の年末商戦、歳暮商戦の競合は、SMやDSだけが競合店ということではなく、SNSをしっかり活用している、外食やDgS、ECも競合と捉えて、商売をしてもらいたい。