ヤオコーの地域密着ドミナント戦略

戦略的地域密着型ドミナント売場

新店「検見川浜店」のヤオコー精肉は、「川越的場店」のミニバージョンと言ったイメージの売場作りで、アッパーのヤオコーらしい売場作りを行っている。
どちらかというと、安価な商材の品揃えは少ない。
一方、ドミナント展開している近隣のヤオコー2店舗は、完全に立地的に住宅街の真ん中に位置し、特に「稲毛海岸店」の周りにはマンションも多い。そのため、「検見川浜店」よりも安価なアイテムの品揃えが多く、一見同じような売場に見えるがターゲット層を変えた売場作りになっている。「ミノリア稲毛海岸店」は「稲毛海岸店」に比べると、一次商圏人口がやや少ないと思われるためコンパクトに売場がまとまった感じになっている。
しかし、商品化は綺麗に盛り付けられており、トレーにもこだわり、見場良く商品化しているのはやはり「ヤオコー」である。
競合のイオンに最も近いのは、線路を挟んだ場所にある「ミノリア稲毛海岸店」であるが、GMSの商圏としては3店舗どこも商圏に入る。
イオンの品揃えは、中間層を捉えた品揃えで、ヤオコーとは正反対にアウトパックのシステムトレーで形成されている。見た目の面白味には欠ける売場であるが、調査日はイオンが最も賑わっていた。

ヤオコー検見川浜店店内解剖

売場は野菜からはじまり、水産コーナーの次に精肉は位置する。第一コーナーを使った精肉は、ステーキコーナーからしゃぶしゃぶコーナーまでは低多段で作られており、黒豚から挽肉コーナーまでは多段ケースとなっている。

ヤオコー検見川浜店精肉レイアウト


ステーキコーナー
「ステーキコーナー」は豪州産のプライムランドビーフを使ったサーロインステーキを定番で品ぞろえし、国産牛、黒毛和牛のアッパーのアイテムだけでなく、タレ漬けサイコロステーキなどお手頃価格なアイテムも品揃えしている。

焼肉コーナー
「焼き肉コーナー」は、豪州産上カルビや牛タン、和牛の焼肉まで色々なアイテムが品揃えされている。
調査日は牛タンの品揃えが多く、色々なカットの方法で提案しており、消費者を楽しませる売場となっていた。

イベリコ豚コーナー
定番で「イベリコ豚」の売場が大きく確保されているのはヤオコーくらいではないだろうか。
「ステーキ、焼肉、しゃぶしゃぶ」など用途も多く品ぞろえし、黒毛和牛の横でコーナーをとって販売しているのは、確実に売上の柱にする意志が売場から感じることが出来る。
商品化も定番化で定着しており、他店のイベリコ豚コーナーのように、付加価値商品の見せ筋ではなく、自然に売場に溶け込んでいる。

しゃぶしゃぶコーナー
「シャブシャブコーナー」は、主力は「千葉産豚肉」と「桜島優泉豚」の豚の「しゃぶしゃぶ」で構成されているが、「和牛肩ロース、米国産牛肩ロースしゃぶしゃぶ」や「イベリコ豚、米国産豚肉」でも展開している。
限られたスペースの中でもアッパーのものから米国産の安価な豚肉まで品揃えしているのは、売場作りとして参考にすべき部分である。
品揃えと、量販できっちりとアイテムを使い分けている部分は、ヤオコーの凄味である。

生食コーナー
「生食、御つまみコーナー」 「牛レバー」や「牛たたき」などが簡単に販売できなくなり、「生食コーナー」を減らした企業が多い中、ヤオコーは「生食・おつまみ」アイテムを拡大してきている。
特に「ローストビーフ、鮮馬刺し、合鴨スモーク、焼鳥関連」の売場の占める割合が多いため、以前よりもむしろ積極的になっている。
家飲みの家庭が増えており、ワインなどの洋酒の需要が高まっていることは、ヤオコーのワインコーナーを見ても明らかである。
需要に合わせて「おつまみ・生食」の需要も高まるため、このコーナーが増えるのは自然の流れである。
「ローストビーフ」でもスライスの「ローストビーフ」だけでなく、「ステーキタイプ」の「牛リブアイ」を使ったローストビーフなどは夕食のメインとしても食べたくなる商品である。

ミート惣菜コーナー
精肉コーナーからはずれ、「惣菜コーナー」にも実は「ミート惣菜」が品揃えされている。
「ローストビーフサラダ」などは、SKUを多くとることで様々な家族層に対応できるようになっている。
パーティー用の特大パックまで品ぞろえがある。
このミート惣菜コーナーの近くにワインが販売されており、売場としてはクロス販売に近い状態が店内で作られていることにも注目したい。
ヤオコーの売場作りで注目すべき点は、関連アイテムや食シーンで必要なアイテムが、売場の近くに常に存在していることで、これは競合のイオンだけでなく他のスーパーでも少ない。

ヤオコー商品にフォーカス

ヤオコーの商品に注目してみた。
牛肉に関しては豪州産の「プライムランドビーフ」がブランドであるが、黒毛和牛に関しても国産牛に関しては、ブランドを出しているわけではない。
商品化や見た目をきれいに見せることで、ブランド訴求を強く出さなくても、魅力的な商品、リピートにつながっていることがわかる。
一方、豚肉に関しては、「さつま黒豚、桜島優泉豚」、鶏肉では「匠鶏、香味どり」などしっかりとブランド訴求している。
イオンでも、豚肉は「TOPVALU国産豚肉」、鶏肉では「純輝鶏」などブランド化している。
価格帯が近く品質に大きな差がない豚肉や鶏肉に関しては、ブランド化することで顧客の囲い込みを行っていることと思われる。

ヤオコー品揃え(一部)

ブランド 産地 商品名 税込単価 単価円/100g
アメリカ ローストビーフ(リブロース) 734 680 円
草原育ち NZ ラムスペアリブ 214 198 円
ANZCO NZ ラム骨付きロースステーキ用 430 398 円
ANZCO NZ ラム肩焼肉用 192 178 円
千輿ファーム 国産 鮮馬刺し霜降り生食用(解凍) 2304 2133 円
千輿ファーム 国産 鮮馬刺し盛合せ6点盛り生食用(解凍) 1132 1048 円
黒毛和牛 九州 黒毛和牛モモステーキ用 646 598 円
黒毛和牛 九州 黒毛和牛ロース焼肉用 1058 980 円
黒毛和牛 九州 黒毛和牛肩ロース焼肉用 864 800 円
黒毛和牛 九州 黒毛和牛モモ焼肉用 646 598 円
黒毛和牛 九州 黒毛和牛肩ロース薄切り 950 880 円
黒毛和牛 九州 黒毛和牛肩モモバラ切落し 495 458 円
黒毛和牛 九州 黒毛和牛肩ロースしゃぶしゃぶ用 950 880 円
北海道 牛サーロインステーキ用 754 698 円
北海道 牛肩ロース薄切りすき焼き用 646 598 円
北海道 牛肩モモバラ切落し 322 298 円
アメリカ 牛タン焼肉用 430 398 円
プライムランドビーフ オーストラリア 牛サーロインステーキ用 430 398 円
オーストラリア 牛上バラカルビ焼肉用 430 398 円
オーストラリア 牛上バラカルビ焼肉用 430 398 円
オーストラリア 牛肩ロース薄切りすき焼き用 268 248 円
オーストラリア 牛肩切落し 192 178 円
オーストラリア 牛肩ロース切落ししゃぶしゃぶ用 268 248 円
イベリコ豚 スペイン イベリコ豚ローストンテキ用 337 312 円
イベリコ豚 スペイン イベリコ豚肩ロース焼肉用(解凍) 337 312 円
イベリコ豚 スペイン イベリコ豚肩ロースしゃぶしゃぶ用(解凍) 322 298 円
さつま黒豚 鹿児島 黒豚ロース薄切り 307 284 円
さつま黒豚 鹿児島 黒豚バラ薄切り 255 236 円
桜島優泉豚 鹿児島 豚ロースしゃぶしゃぶ用 192 178 円
桜島優泉豚 鹿児島 豚ロース、肩ロース、バラ 192 178 円
桜島優泉豚 鹿児島 豚バラスライス 192 178 円
千葉 豚ロース薄切り 225 208 円
千葉 豚バラスライス 203 188 円
千葉 豚モモ薄切り 160 148 円
千葉 豚ロースとんかつソテー用 268 248 円
千葉 豚スペアリブ 149 138 円
千葉 豚バラ切落ししゃぶしゃぶ用 160 148 円
アメリカ 豚ロースしゃぶしゃぶ用 149 138 円
岩手がも 岩手 岩手がもモモ鴨南蛮用 538 498 円
岩手がも 岩手 岩手がもロース(ムネ)薄切りなべ物用 646 598 円
匠鶏 国産 匠鶏もも肉 138 128 円
匠鶏 国産 匠鶏ムネ肉 132 122 円
匠鶏 国産 匠鶏スペアリブ(手羽中ハーフ) 173 160 円
匠鶏 国産 匠鶏モモ唐揚げ煮物用 193 179 円
香味どり 千葉 香味どりもも肉 121 112 円
香味どり 千葉 香味どりムネ肉 59 55 円
香味どり 千葉 香味どりモモ唐揚げ煮物用 141 131 円
香味どり 千葉 香味どり手羽元 100 93 円
ブラジル 若鶏モモ唐揚げ用(解凍) 102 94 円
日本ハム シャウエッセン2B 512 474 円
日本ハム 森の薫り新あらびきウインナー 307 284 円
フードリエ パリッと朝食ウインナー 307 284 円
伊藤ハム 朝のフレッシュベーコン3連 279 258 円

アメリカ産牛タンステーキ用
牛タンは焼肉用の他にステーキ用でも提案されている。中でもこの商品は牛タンを縦にカットし判を大きくとって商品化していて、見た目にも面白い商品である。新しい商品化にも挑戦する部分では、イオンとは圧倒的に差別化出来る。

九州産黒毛和牛バラ焼肉用(中落ち)
牛タン同様にヤオコーならではのアイテム。中落ち(バラ山)に隠し包丁を入れ、立体的でかつ見た目にもインパクトのある商品化は、インストアで技術を持ったヤオコーの精肉だからこそ出来る技である。

イベリコ豚肩ロースしゃぶしゃぶ用
ヤオコーのイベリコ豚肩ロースしゃぶしゃぶ用は丁寧な商品化がなされている。格別難しい商品化をしているわけではなく、価格も100gあたり298円でパック価格438円(税抜)と比較的購入しやすい価格帯となっている。税込ではパック価格473円。

イベリコ豚かたロースしゃぶしゃぶ用
イオンの「イベリコ豚肩ロースしゃぶしゃぶ用」をヤオコーと比較して購入してみた。
肩ロースは「切落し」タイプであるが、ミートサプライの量産タイプの為かヤオコーの商品と比べるとかなり雑に見える。
価格は150g580円(税込)のみの表示で割高感がある。
イオンは税込表示であることも割高感を出しているが、税抜でもパック価格537円で税抜100g単価358円と単価もヤオコーよりも高い。

ローストビーフサラダ
惣菜付近のミート惣菜コーナーで品ぞろえしている「ローストビーフサラダ」。特大パックでファミリー用も販売する一方で、個食タイプで99円のローストビーフサラダも品揃えしている。このSKUの幅広さが、地域密着型ヤオコーのメリットとなっている。

合鴨のローストスモークフレーバーソース
「合鴨ロースト」を販売している店舗が多い中、さらに「フレーバーソース」を使っているお店はあまり見ない。
単にカットするだけでなく、もう一歩先を見た商品化が魅力的である。洋食メニューやワインと一緒に食べるのであれば、この様な商品化が必要であるし、ヤオコーはそこに着目した商品化を行っている。

消費者が選ぶ店舗

ヤオコーの商品は全国一律のイオンの商品よりも格段に魅力的で、一度買ってみたくなるような商品が並ぶ。
しかし、調査日にお客さんで込み合っていたのはイオンであった。
日常買いする白豚やブロイラーの品揃え、価格帯を見るとその面ではイオンの方が安く、品揃えもよかったことが勝因と言わざるを得ない。
調査日以外ではどのような動きをしているのかはわからないが、地域密着型のドミナント戦略で攻め込むのであれば、店舗によっては価格訴求商品ももう少し品ぞろえする必要があるのかもしれない。
しかしながら、ヤオコーの「イベリコ豚」からもわかるように、高そうに見えて、実はイオンよりも価格が安く販売されているものもある。
この“高そうに見えて”が裏目に出ている部分もあり、“ヤオコーは高いけどいいものを置いている”という消費者意識から、“高そうに見えるけども魅力的な商品も多い”ということも伝えていかなくてはならない。
地域密着型の店舗としてヤオコーは差別化ができているため、消費者の認知度と魅力をより地域の消費者に伝える必要があるように思う。
特にマンションや住宅街が多い地域の為、地域に密着した売場作りや家族と一緒に取り組む食育など、大型GMSでは取り回しが出来ないような、地域密着店の魅力を精肉売場から発信してもらいたいと思う。