5月に売込むこの商品

新柄コロナウイルスの感染症法上の分類を、ゴールデンウィーク明けの5月8日から、2類相当から季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げられる。
とはいえ、おそらくゴールデンウィークには、今までの外出控えから、かなり多くの人がアウトドアや行楽に出かけることが想定される。
そのため、特にキャンプ場や行楽地では、この2~3年とは商品の動きが異なることに注意して、売場作りを行なわなければならない。
バーベキュー需要は、8月の盆商戦にも大きく影響する。
バーベキュー商材のインパクトのある商品を売場で展開して、消費者の買い控えていた消費欲求を爆発させ、売上に貢献出来るよう準備を行いたい!

【牛肉】

国産牛トマホーク(骨付きロース)冷凍 398円/100g
国産牛トマホーク(骨付きロース)冷凍 398円/100g

バーベキュー需要が高まるゴールデンウィークから、アウトドアでも迫力が出る「牛骨付きロース」の「トマホーク」を品揃えする。
売場のインパクトは他のどの商品よりも強い。多くの量販店で品揃えがないため、競合との差別化には最も良い商品である。
この「トマホークリブステーキ用」は、メキシコ産牛肉を中心に、各社が国産ばかりでなく、輸入牛肉でも、商品開発が進んでいるので、取り扱いが年々増えているアイテムである。
家庭のフライパンでは、調理する事が難しく、またオーブンレンジにも入らない大きさであるため、やはり食シーンとしてはアウトドアの炭火焼が良い。
強火で焼くと中まで火が通らないので、じっくりと遠赤外線で加熱していく、BBQが適している。
BBQ用精肉アイテムでは、「豚骨付きロース」や「若鶏中抜き」などの、家庭では調理が難しいアイテムが、売場を華やかにする。
しかしながら、実際にBBQを行なう場合は、焼肉商材や定番の精肉アイテムも使用されるため、焼肉商材もしっかりと品揃えして対応したい。
インパクトは強烈である!

【豚肉】

国産豚骨付きロースソテー用 168円/100g
国産豚骨付きロースソテー用 168円/100g

「国産牛トマホーク」とともに、品揃えしたいのが「豚骨付きロース」である。
「豚骨付きロース」は、家庭のフライパンやグリル、オーブンレンジでも加熱できるサイズであるので、バーベキュー商材でも提案出来るが、インドア派のグリル好きや、休みの日のディナーメニューとしても活用出来る。
「牛トマホーク」と違い、通常のシステムトレーにも入るサイズであるため、週末や祝祭日での定番販売で、ハレの日の売上アップにもつながるアイテムである。
骨一本につき1枚のロースとなるため、肉厚が3cm程度の厚切りカットとなる。
調理時に中心までしっかりと加熱してもらうように、コトPOPで注意喚起もしておくと良い。
加熱方法は、低温からじっくり焼く方法やヘルシオなど、スチームオーブンなどで、水蒸気調理が出来ると、しっとりと美味しく焼き上げることが出来る。
近年、注目の低温調理器具での調理の場合も、中心までしっかりと加熱をしてもらうようしなければならない。

【タレ漬け商品】

豪州産モモ肉カットステーキ用ガーリックソース 598円/200g
豪州産モモ肉カットステーキ用ガーリックソース 598円/200g

豪州産トップサイドを使用したサイコロステーキをタレ漬け商品で提案する。
輸入牛肉の相場が高くなっているため、タレ漬け商品に苦慮している企業も多い。
価格を下げようと思うと、輸入牛モモ肉を使用するのが良いが、硬いという意識から精肉ではステーキへの商品化は懸念されがちである。しかし、タレが進化しており、酵素が入ったタレや、パサつきを抑えるために、タレの粘度を上げて、しっとりとさせる工夫がされたタレが多く出回るようになった。
 また、コロナ禍でマスクをするようになって、今人気となっている味が「ニンニク」である。
外食でもニンニクをたくさん使ったメニューを女性が好んで食べるという現象があり、あえてニンニクを多め、また1粒まるごと焼肉と食べる提案をしている外食店もある。マスクをしているため、以前に比べるとニンニク臭いのも気にしなくなったということである。
 サイコロステーキは、味のバリエーションを変化させることで、集合陳列した場合に、選ぶ楽しさが生まれる。プレーンやスパイス、山賊焼、オイルソースなど店舗で仕入れのある業務用タレを旨く活用して提案すると良い。

【ミート惣菜】

豪州産ローストビーフポテトサラダ 358円/P
豪州産ローストビーフポテトサラダ 358円/P

ミート惣菜で売上の核となっている「ローストビーフ」を、おつまみの一品からサラダの一品へ進化が始まっている。
ベビーリーフやカット野菜のトッピングだけでは無く、ポテトサラダにローストビーフをのせたローストビーフサラダは、おつまみカテゴリではなく、ファミリーや女性にも購入してもらえるサラダカテゴリ、冷惣菜の位置づけである。
商品化は、業務用のポテトサラダを中心に高く立体的に盛り付け、その周りを被せるようにローストビーフを乗せる。高蓋トレーや青果のトマト用トレーなど高さの出るトレーを使用することがポイントとなる。
立体的に盛り付けることで、トレーの面積は小さくても、割高感が出にくくなる。
視覚的な演出も商品化には必要であるため、オペレーション重視で、トレーを検討せずシステムトレーで商品化ばかりしていては、売上も伸びないので注意が必要である。

第4の畜種 羊肉の攻略

豪州産ラムランプ(モモ)グリル用 スパイス付き 358円/100g
豪州産ラムランプ(モモ)グリル用 スパイス付き 358円/100g

量販店でもラム肉売場は定着してきており、「ラムショルダー(肩肉)」や「ラムラック(骨付きロース)」だけでは無く、「ランプ」や「スペアリブ」の品揃えも羊肉コーナーで無くてはならない存在になってきている。
「ランプ」は、焼肉やグリル用だけでなく、ステーキ用や煮込み用など多様なメニューに使用することができ、価格も比較的安めに手に入るため、品揃えしておきたい部位である。
 「ランプ」の商品化はトリミングする部分もほとんど無く、ドリップや汚れ等をトリミングして商品化に取りかかることが出来る。
形が三角形をしているため、無理にすべてをステーキや焼肉に取ろうとせず、盤面が大きくない部分はサイコロステーキ用などに商品化すると良い。
最近の焼肉トレンドで、焼肉用を丸皿に盛り付け、中央にタレやスパイスをカップに入れて販売する方法がある。
羊肉の場合は、クミンパウダーが入ったスパイスを入れることで、グリル用として提案することが出来る。
羊肉は、年間通して定番で販売することが多くなっているが、需要が高まるのは、4月29日羊肉の日から夏場にかけてで、焼肉商材やBBQ商材が動きやすい。焼肉用でも、8mm程度のやや厚めにカットして商品化するとボリューム感も出る。

羊肉は、30年前まではマトンが主流であったが、2005年を境にラムとマトンが逆転し、現在はラム肉が主流となっている。ラム肉は1歳未満の仔羊のため、マトンよりもラム臭さが和らぐため、比較的多くの人が食べることに抵抗がなくなってきている。
豪州からの輸入量は95年に異常値があるものの、安定して15,000トン前後輸入されている。
2022年は相場が高かったが、やや落ち着きを取り戻している。しかしながら、牛肉同様に今後価格が大きく下がる見込みはないため、商品化にも一工夫した展開が必要である。

オーストラリア産の羊の輸入量

オーストラリア産の羊の輸入量
オーストラリア産の羊の輸入量

出典:MLA「増えてる?減ってる?オージー・ラム輸出向け数量の推移グラフの見方」

http://aussielamb.jp/lambassador/220202.html

「副産物を高く売ろう!」

徐々にコロナによる影響は薄れてきているが、鶏肉処理工場などの人員不足などによる影響は少なからず今も残っている。
特に、鶏肉の処理工場では、せせりや砂肝を含めた副産物の処理に時間がかかってしまうため、一時的に商品が欠品してしまう状況がある。
そのため、海外から輸入の副産物を仕入れることもメーカーや商社も増やしており、状況は良くなっている。
「砂肝」は、別名「スナズリ」とも呼ばれ、英語名は「ギザード」と呼ぶ。
歯のない鳥類独特の臓器で、食べたものをこの砂肝の中ですりつぶす、胃の一部である。
量販店に届けられる前に、汚れや銀膜など手作業で細かく取り除かれて、お店に届けられる。
そのため、人員不足になると、先に欠品しやすい部位の一つとなる。
同様に、「せせり」も首の骨から「せせり」のお肉を手作業で剥がしていく作業があり、副産物は正肉に比べると安価であるが、手間が掛かっているアイテムであることを知っておく必要がある。

副産物を高く販売する術として、一次加工や加熱加工がある。
一次加工は、焼鳥串や砂肝スライスなど、納品したままの砂肝から一歩手を加えた商品化である。
焼鳥串にするだけでも大幅な単価アップが可能となり、家庭で生の焼鳥串から焼き上げると美味しい。

国産若鶏砂肝ガーリックペッパー焼 188円/100g
国産若鶏砂肝ガーリックペッパー焼 188円/100g

加熱加工では、外部工場にガーリックペッパーで焼き上げてもらうことや、ミート惣菜コーナーがある場合は、スライスした砂肝を鉄板やフライパンで焼き上げることでおつまみ商材として販売出来る。
砂肝はコリコリした食感が特徴であるが、比較的子どもには人気がないため、ターゲットは酒の肴としてつまめる大人となる。
居酒屋メニューとしても人気の砂肝であるが、居酒屋の価格帯を考えても、生の砂肝の価格よりも高く販売出来ることは容易に想像できる。
 
 注意が必要なポイントとしては、副産物は正肉と比べて賞味期限が短い部分である。
処理工場ではもちろんビニル手袋をして処理しているものの、正肉に比べると人が触れている時間が長いことや、内臓は雑菌数も多いため、賞味が短くなる。店内で加熱する場合でもしっかり中心まで火を通してトラブルのないように注意が必要である。

いよいよアフターコロナに

いよいよウィズコロナの状態から、「アフターコロナ」のニューノーマル時代が到来する。
インフルエンザと同じ5類に新型コロナも引き下げられることで、アウトドアやグループでの飲食、行楽も制限なくおこなわれるようになる。
もちろん、引き続きマスクを欠かせない人、マスクをしなければならない場所があるにせよ、この2~3年のスタイルとは大きく変わる。
また新たな感染力の高い株が出てきた場合には、都度対応が行なわれることと思うが、一旦は行動制限が緩くなると見越して、売場作りを考えてもらいたい。
特にこの2~3年で入社した社会人は、コロナ前の状況を知らないため、そこは、上司や先輩とともに、知識を補填し、精肉ニューノーマル時代を迎えてもらいたい。
5類に引き下げられたとしても、完全に過去に戻るわけではないため、精肉も進化を遂げた新しい時代を作っていく必要がある。
新たな行動様式で注意が必要なこととしては、購入する量目である。
コロナのときは、個食やファミリーに限定した食生活を送っていたため、比較的少量目のものが重宝されたが、地域によっては、学生がグループで購入するコトが増えたり、外食が増えて、内食が減る地域も出てくるかもしれない。
そこは、地域に密着した、店舗従業員が売場に出て、しっかりとお客様対応、カスタマコミュニケーションをしていれば、購入するスタイルの変化を見つけることが出来ると思われる。
しっかりと、消費者をみて売場作りや商品作りを行なってもらいたい。