10月に売込むこの商品
2023年は気候変動により外気温が例年よりも高いと言われているが、徐々に冬に向けて気温が下がり始めてきている。
例年、9月から「ホットメニュー提案」も充実した売場作りを目指しているが、外気温が高いと「焼きメニュー」での売りが強く、無理にホットメニュー展開するよりも、焼きメニューでの売上を作る方が容易であったことと思う。
10月に入り、徐々に下がる気温を見越して、秋冬で売上を確保していくすき焼きや鍋の提案を挟んでいくことで、今後の売上確保につながる売場作りを行なうことが出来るようになる。
秋冬メニューの展開と共に、定番の夕食メニューやミート惣菜提案を充実させることで、基板となる売上を作っていきたい。
【牛肉】
すき焼き用スライスは、高価な印象があるため、切り落しタイプの商品化ですき焼き提案を行なっていく。部位を混合にすることで、割安感を出すことも一つの工夫となる。
「ブリスケット、中バラ、ウデ、モモ」を上手く組み合わせて安価な切り落しを製造する。赤身と脂肪の多い部分を組み合わせることで、味のバランスも良くなり、歩留まりも揚げることが出来る。
脂肪のトリミングは5mm-8mm程度にすることで、消費者の購入の許容内に留まる。
価格設定は、和牛でも398円/100gラインで販売したい。そのため、セットでの仕入れや安価な単品仕入れで値入調整を行なう必要がある。
高すぎる売価は、購買の促進にはつながりにくいため、売価設定やパック単価には十分注意をして販売する。
外気温が高いタイミングでは、すき焼きではなく薄切り焼肉提案を行なう。
この時期の薄切り焼肉は、焼きしゃぶやすき焼きのように生卵で食べる提案を行なうことで、秋冬メニュー提案となる。
乱切りの商品化で作業オペレーションの改善が行なわれてきている。
スライサーでのカット+最終調整の手切りカットを行ない、大型トレーに盛り付けるだけで簡単に商品化が出来る。
商品化になれると、乱切りしている商品も綺麗に並んでいるようにみえるので、乱切りぽさを残した商品化でも良い。
部位は都度店舗にある商品を使用すると良いが、比較的余剰となりがちな肩ロースと希少部位で希少感の出せるモモ系を上手く組み合わせて商品化すると良い。
肩ロースの特に下側部分(芯側)がネックに近づくにつれて硬くなる。そのため、商品化ではスライサーを用いて3-4mm程度の厚みで、やや薄めの焼肉スライスにすると良い。
トレーは大型の蓋付きトレーを使用し、高さを出すことで、ボリューム感が出る。
販促シールなども企業でそろえることで、アイキャッチとなる商品を作りたい。
【ミート惣菜】
合鴨スモークをそのまま販売している店舗もあるが、皮面をバーナーで炙る一手間を加えるだけで全く風味が変わる。
合鴨とネギは切っても切れない美味しい組み合わせ。
刻みネギをトッピングする商品化も良いが、牛タン用にネギ塩を調達している店舗が増えているため、このネギ塩だれを添付して販売する。合鴨の風味とネギ塩だれが絶妙に旨さを引き出してくれる商品となる。
冷凍を急速解凍するとドリップが販売中に大量に出てしまうため、緩慢解凍をして温度管理をしっかりと行なってもらいたい。
商品化は、合鴨をカットしていない状態で皮側に軽く焦げ目が付く程度にバーナーで炙る方が、スチコンなどを使用するよりも作業性が良い。5mm厚程度にカットして脂肪を上側にして商品化する。
値付けラベルや裏張りシールでネギ塩だれの原材料表示をしなくてはならないため、注意が必要となる。
売り込みのタイミングとしては、10月31日ハロウィーンなど洋風メニューが食卓に登場する食シーンで活用しやすい。
ネギチャーシューを展開している店舗は多いが、そこにメンマを入れるとさらに美味しさが増す。
ネギチャーシューメンマは、インターネットレシピサイトのおつまみメニューでも人気メニューとしてよく作られている。
家庭で作られるネギチャーシューは薄切りの焼豚などを代用して作るため、お肉屋さんが作る厚切りカットのチャーシューを用いたネギチャーシューは、家庭でもまねすることが難しい。
ネギは千切り又は薄い斜め切りと刻みネギを散らすことで、ネギチャーシューのネギをしっかりと味わうことが出来る。味付きメンマをごま油と和えてその上にチャーシューをのせる簡単レシピ。
ラー油があれば辛めが好きな人にも楽しんでもらえるため、別添でラー油を添付しても良い。
普段の夕食の一品として定番で販売していくと良い。
焼いてご飯に混ぜるシリーズで売場作り
ガーリックビーフライスの素やキーマカレーの素など、フライパンで焼いてご飯を混ぜると出来るシリーズを紹介してきた。
進化形味付け肉のカテゴリで、本格的なメニューが出来るシリーズが人気となっている。
今までは、お肉に味付けして、それがおかずとなる生姜焼きや味噌漬けなどをメインに販売してきたが、焼いたお肉にご飯やパスタを混ぜるだけで、主食カテゴリへの進出を果たすことが可能となる。
ガーリックビーフライスは特に人気となり、多くの店舗で展開されるようになった。
今年の夏は、海外旅行に行った旅行者も多く、台湾などもその旅行先の一つ。
家庭で簡単に食べることができる、思い出のルーローハンを作ってみる提案で売場作りを行なってみると良い。
ルーローハン(魯肉飯)は、甘辛いタレで煮込んだ豚バラ肉をご飯に盛りつけた、台湾料理の人気の屋台丼飯である。
八角のスパイスが香る東南アジアならではの味が特徴である。
煮込み料理となると簡便性が低くなるため、豚バラ挽肉をフライパンで焼いてご飯と一緒に食べる提案としている。
お好みでゆで卵をトッピングして食べるとさらに本格的なルーローハン(魯肉飯)を再現できる。
焼いてご飯やパスタと一緒に食べる簡便商品は、メニューの幅を大きく広げることができる。
ご飯やパスタは、キット商品として同梱しなくても、ほとんどの家庭に常備している炭水化物である。そのため、その具材を提案するだけで、私たちが思っているよりも手軽に調理をしてもらえる一品となる。
今後は中華や丼メニューの具材提案で、さらに幅を広げた簡便メニュー提案が期待できるカテゴリであると考えられるため、メニューの開発もオリジナルで進めると面白い。
【POINT】
ご飯と混ぜて調理するタイプの簡便商品がわかるようコト販促する!
和牛輸出の現実
日本から和牛が海外に輸出されていることはニュースでも知られているが、実際にどれくらいの規模で輸出されているかというと、2022年7545トン輸出されている。
過去最大となったのは実はコロナ期間の2021年7879トン輸出された実績がある。2023年は現時点の集約が1月~6月の半年間で3759トン(258億円)輸出されており、過去最大の輸出量に向けて後半戦を望んでいるというところである。
輸出国では、アメリカを筆頭に今年は台湾からの引き合いが強くなっている。21年まではカンボジアへの輸出なども多く見受けられたが減少している。
この資料では、見ることが出来ないが、やはりロイン系(ロース、サーロイン、ヒレ)等の輸出量が多く、高級レストランやホテルで利用されることが多い。
台湾や香港向けでは、それ以外に高級焼き肉店向けの商材として、三角バラなどの焼き商材も輸出されているのが特徴である。
出典:日本畜産物輸出促進協議会「2023年6月牛肉輸出実績」より
http://jlec-pr.jp/wp-content/uploads/2023/06/2306-Beef-Export-Data.pdf
現在、日本では黒毛和牛の食べる頻度が下がってきており、特に出現率の高いA5等級などは量販店で消化出来ていないのは、ご存じの通りである。
そのため、海外への高級部位の輸出は、国内の販売にも大きく影響していると言える。
黒毛和牛は5等級などハイグレードの等級が6割から7割程度出やすくなっているため、日本の量販店では、安価なモモ、肩などの部位を使用せざるを得なくなってきている。
それでも価格帯があわず苦慮している場合が多い。そのモモ肩系を、日本の量販店でも定着させるため、モモ部位の希少部位提案、肩部位のみすじ提案は有用である。
みすじ以外の肩部位の切り落し提案なども上手く利用して利益を確保しながら売り込みを続けてほしい。
海外へ輸出されている多くは黒毛和牛であるが、海外産WAGYUの多くは肉専用種(WAGYUとアンガス種などの掛け合わせ)であることもあり、日本の交雑種も同様輸出量が増えている。
交雑種に関しても、黒毛和牛同様高い等級が出やすいよう生産者の努力が行なわれており、綺麗なサシが入ることから海外でも上手くブランディングされている。
ブランドのストーリーや打ち出しは工夫次第で、指名買いにつながるため、丁寧にブランドを育てることが重要である。
#アルモンデ 節楽志向
アルモンデ というハッシュタグをつけた料理レシピがSNS上でトレンドになるなど、「家にある、ありものでなんとかする」という行動を楽しむ傾向に近年意識が変わってきている。
生活者の意識は「節約」から「節楽」志向に変化してきていると言われている。
節楽は単純に節約した我慢をするということではなく、無理せず最大限に楽しさを追うことで、より多くのアイデアやメニューが広く家庭からも生まれてくるという裏返しである。
新型コロナによる制限が今年解放され、海外旅行や国内観光も比較的容易に行なわれるようになった一方で、所得の格差が広まったこともこの数年で顕著に表れてきている。
アルモンデという言葉に表れているとおり、新たなものを購入する意識から、家にある食材を上手く活用して、美味しい食事をつくろうとしている。そのため、今、私たちが求められる提案も、常備食材を上手く活用した提案へ舵を切ることも必要であると考えられる。家にある常備食材や常備野菜を活用し、今の生活者にあった提案を行なっていくようにしたい。