今月の販売のポイント

涼味メニューの展開と夏場に向けた焼肉売場の最大化で売上アップを狙う

【今月の販売ポイント】

7月上旬は気温が上昇しつつも湿度が高く、涼味メニューを求める傾向にある。冷惣菜を中心としたミート惣菜の展開、調理時間を短縮した電子レンジ調理品やミールキットを充実させ売場作りを行なう。後半は夏休みも始まり夏本番で、焼肉商材を最大化させる。

ただし、コロナの影響でインドアバーベキューやこだわりお肉で焼肉を楽しむ傾向も引き続くため、少量多品種の品揃えがポイントとなる。

輸入牛肉は輸入量減少のため、国産牛肉、豚肉を使用する。内臓系の焼肉輸入は手に入りにくく相場が上がるため、国産の内臓を上手く利用して商品化する。

以前よりも外食比率は低くなっているが、外食が展開するテイクアウトの焼肉セットやECを利用したフレッシュ肉の販売も多くなって来ているため、スーパーマーケットやドラッグストアという実店舗の競合以外の商品にも目を向けていく必要がある。

既存商品で、売上が鈍い商品も売場にはまだまだ埋もれている。POSデータからABC分析を行ない、Cランクの商品の改廃だけでなく、Cランクをいかに上手く売れる商品に育てていくかも検討していく。

部門共通テーマ

27週 『冷たいメニュー特集』

【今週のテーマ】

ミート惣菜のアレンジメニュー

【チラシ商品】

産地商品名①内容量販売売価
円/パック
国産銘柄鶏ムネチャーシュー150380
国産銘柄鶏ムネハム150380
国産銘柄鶏蒸し鶏サラダ160380
国産銘柄豚肩ロースローストポーク100398
国産銘柄豚ヒレローストポーク80398
国産銘柄牛モモローストビーフ80598
豪州産牛ローストビーフのっけもり80398
米国産牛ローストビーフステーキ100598
タイ産合鴨ムネスモーク200480
タイ産合鴨ムネスモークパストラミ200480
銘柄鶏ムネチャーシュー

気温が上昇し、梅雨前後のややジメジメした7月上旬は、涼味メニューが売りやすくなる。食欲も今ひとつ湧かないという時期には、さっぱりとしたものを訴求して、いつもとは異なった「食」の提案を行なうと良い。

(冷惣菜のアレンジメニュー提案)

軽く食べることが出来る冷惣菜コーナーでは、涼味メニューとしてイメージしやすい商品が多い。精肉で使用している銘柄肉を使用した、「銘柄鶏ムネチャーシュー」は、精肉ではお酒のおつまみ程度にしか販売していない。

しかし、ソーメンや冷やし中華、ざるうどん、そばのトッピングとしては最高の一品である。こだわりの銘柄肉を使用したミート惣菜の、メニュー提案を行なうことで、商品の汎用性の広がりを出すことが出来る。

(ミート惣菜の価値を高める)

近年、ミート惣菜コーナーが増え、いろいろな商品を消費者も目にするようになっている。消費者の疑問の一つに、精肉売場隣接の惣菜と惣菜売場の惣菜の違いは何か?というものがある。惣菜と同じような価格訴求のノンブランドの商品を販売していては精肉では全く意味がない。

ミート惣菜は、惣菜売場と異なり、お肉にこだわった商品、精肉の銘柄肉でミート惣菜商品を販売することで、消費者にも納得の価値を提供することが出来る。

(衛生管理の徹底)

湿度がやや高く、気温が高いため、食中毒が発生しやすい。ミート惣菜のような即食アイテムは、加熱する生肉よりも衛生管理には十分注意する必要がある。

28週 『涼しく手軽に。時短・簡便メニュー特集』

【今週のテーマ】

レンジ調理品を上手に活用

【チラシ商品】

産地商品名用途①内容量③販売売価販売単価
g円/パック③/①*100
 チーズタッカルビ風電子レンジ調理品 398
 豚肉野菜炒め風電子レンジ調理品 398
 ガパオライスキットミールキット 480
 カオマンガイキットミールキット 480
米国産牛ミスジガーリックステーキ味160480300
米国産牛トモサンカクオイルステーキ味160480300
国産牛モモ切落し彩タレ漬け140480343
国産豚肩切落し生姜ダレ300480160
国産豚とろ塩ダレ焼肉250480192
国産若鶏モモ切身バジルオイル焼300480160
簡単レンジ調理!チーズタッカルビ

以前と比べ、品揃えが充実してきている商品が、電子レンジ調理商品、ミールキット、簡便商品といった、時短・簡便メニューのカテゴリの商品である。

(電子レンジ調理商品)

手軽に調理が出来る商品の一つに電子レンジ調理食品がある。人気商品として定着してきたメニューの一つが「チーズタッカルビ」である。カット野菜にタッカルビソースに揉み込んだ鶏ムネ肉、上からとろけるチーズをたっぷりかけた簡便商品である。辛いものが好きな女性をターゲットにした商品となる。

(ミールキット商品)

すべての商品がカット済みで、あとは加熱するだけで完成するミールキット。外気温が暑い時には、調理時間を短縮したいため重宝する商品である。この季節におすすめなのが「アジアンメニュー」。鶏ムネ肉を使用したカオマンガイやバターチキンカレー、鶏挽肉を使用したガパオライスなどの品揃えがあると、東南アジアに旅行した気分になるため、取り組みたい。

(アウトパックの注意事項)

アウトパックで商品として仕入れることが出来るようになってきたため、比較的容易に取り組みやすい。

ただし、外部仕入れに切り替えると言うことは、人件費や製造ロスを外部にお願いすると言うことであるため、値入率は下がる。

仕入れ原価を下げるために、アウトパック商品の値下げ交渉を強く行なうのであれば、製造側の経営が圧迫され事業が成り立たないため、自社PCで製造すると良い。

29週 『夏休みのバーベキュー・鉄板焼き大会』

【今週のテーマ】

豚鶏を活用して焼肉需要を乗り切る

【チラシ商品】

産地商品名用途①内容量③販売売価販売単価
g円/パック③/①*100
国産、スペイン産黒毛和牛ロース、イベリコ豚肩ロース焼肉セット1601280800
国産黒毛和牛バラ、モモ焼肉セット2001280640
国産牛モモ(トモサンカク、シンシン)焼肉セット200980490
国産銘柄豚ハラミ、タン焼肉セット200380190
国産豚バラ、鶏モモ焼肉セット240380158
国産豚肩ロース焼肉用200380190
国産豚バラ焼肉用220380173
国産豚ハラミ焼肉用220380173
国産豚とろ焼肉用200380190
牛豚鶏焼肉セット

夏本番でアウトドアBBQ商材や焼肉商材が売れる。昨年はコロナでのアウトドア自粛で完全にインドア焼肉にシフトした。

そこで、量販店ではない外食産業のテイクアウトによる焼肉セットの販売が、量販店の焼肉の売上に影響をもたらし始めている。昨年、内食傾向によりよく売れたと思って安心しているうちに、競合となるチャネルが増えてしまい、さらに海外からの焼商材の輸入量が減っているため、焼商材を見直す必要がある。

米国ではSGやコンテナ船の停滞、豪州では干ばつが影響し、輸入牛肉は引き続き厳しい状況が続く。豚肉や鶏肉を盛り込んだ内容にすることで、原価率を下げ、ボリューム感を出す展開に切り替えると良い。

(焼肉セット内容)

特に輸入牛肉を使用することが難しいため、国産牛や和牛、国産豚鶏や輸入の冷凍商材を旨く活用する。

・価格戦略商品:豚鶏を積極的に使用する。豚バラ、肩ロースに加えて、スペアリブが売れ筋となってきている。また、内臓関係では輸入内臓の仕入れが難しいため、国産豚のタン、ハラミの活用も積極的に行なう。

・見せ筋商品:価格が高騰している和牛はワンポイント使用し、イベリコ豚など冷凍豚肉も使用。和牛と比較するとイベリコ豚は安いため、ミックスさせると、結果和牛を安く見せることが出来る。豚肉で価格を抑えることが出来るため、和牛はロースやサーロインなどの高級部位を使用して、メリハリをつける。

・売れ筋商品:牛豚鶏焼肉セットを3SKUで展開。1980円、1280円、980円ラインでバランス良く販売。セットの中に、輸入鶏もも肉(冷凍)を入れると、価格を抑えることが出来る。

30週 『土用の牛の日・夏バテ防止作戦』

【今週のテーマ】

平賀源内に挑戦!土用の牛の日

【チラシ商品(7~10品程度)】

産地商品名用途内容量②単価ユニット③販売売価販売単価
g円/100g①×②/100円/パック③/①*100
国産黒毛和牛肩ステーキ用100780780 0
国産黒毛和牛イチボ(モモ)ステーキ用100780780 0
国産黒毛和牛トモサンカク(モモ)ステーキ用100780780 0
国産黒毛和牛ランボソ(モモ)希少部位焼肉用100780780 0
国産黒毛和牛シンシン(モモ)希少部位焼肉用100680680 0
国産黒毛和牛中落ちカルビ1本焼肉用100480480 0
国産豚バラサムギョプサル、蒲焼き用200 0380190
国産豚バラ蒲焼き用たれ漬け200 0380190
国産黒豚豚バラ蒲焼き用たれ漬け180 0580322
スペイン産イベリコ豚バラ蒲焼き用たれ漬け180 0580322
国産黒毛和牛トモサンカク(モモ)ステーキ用

土用の丑の日は、TI値から生活者の7~8割は鰻を食べていると思われる。

しかし、一定数いる鰻嫌いや食品ロスの観点からも、精肉売場に活路が見いだせる環境が出始めてきている。そこで、精肉では「土用の牛の日」として、250年程前の平賀源内の販促に挑戦する! ※諸説あります。

(黒毛和牛の活用)

相場高として黒毛和牛を懸念ているバイヤーも少なくないが、鰻の価格を見ると、中国産でも1尾1000円を超える商品ばかり。100g単価にすると和牛よりも遙かに高額な商品に負けているということである。

裏を返せば、黒毛和牛を適正価格で販売しても、パック単価は和牛の方が安くなるはずである。売上という欲望に負けて、ムリにパック単価を上げてしまうから売れない。

パック単価を、鰻よりも下げて販売すれば、生活者は鰻と比較して、和牛の割安感を演出する。

(商品化のポイント)

小さいトレーにギュウギュウ詰めされた商品が2500円で販売されていたら、購入する消費者はいない。今一度商品化の価格と見た目のバランスを冷静に見てもらいたい。

写真の黒毛和牛トモサンカクステーキは、100g980円、124gでパック単価1215円である。鰻の横に置けば、同サイズの鰻は1980円ラインで販売している。

明らかに和牛の方が、優位性がある。

(部位を選んで商品化)

板トレーに綺麗に盛り付けられる部位の場所を選別する。

トモサンカクの中心の判が大きくとれる部分、イチボを横からカットして判を大きくとる、ウデをミスジを含めて断面でスライスするなど、高級部位でなくても商品化は可能である。

重点商品の商品化の手順とポイント

『国産豚ヒレステーキ用』298円/100g

【ポイント】 大きく見せるヒレステーキ

ヒレ肉を半分にして、ブロック売場で品揃えして売れないというチーフがいる。消費者が購入してヒレカツにして食べているという想定であると思う。

おそらく、消費者もヒレカツをしなければ購入しない。ヒレ肉の用途は、ヒレカツ以外にも、ソテーや焼肉も含めて多岐に渡る。脂肪が少ないためボイル調理は、あまり向いていない。

(メニュー提案)

豚ヒレ肉を使用した、「ヒレステーキ」を訴求する。輪切りのヒレカツの商品化で、ステーキ提案の水平展開もひとつの方法である。しかし、ステーキと言うには少し判が小さいため、肉質が比較的柔らかめのヒレ肉ならではの商品化を行なう。横に包丁を入れて開いた、判の大きなヒレステーキを提案する。隠し包丁を入れることで、繊維を少し断ち切っておく。

(商品の汎用性)

ステーキ提案を行なうが、カツレツ用や生姜焼き用、大きさを小さくすれば焼肉用にも展開出来る。加熱をしすぎると、いずれもパサパサになってしまうため、調理に注意が必要であると考えられる。コトPOPでの訴求は、「加熱しすぎるとパサつきます」という言葉も必要であるが、豚肉の加熱不足による食中毒予防のため、「豚肉のため、中心まで十分に加熱してお召し上がりください。中心部を75℃1分間加熱することで食中毒防止につながります」という文言が必要である。

(注意)輪切りにして、中央部分を、「シャトーブリアン(ヒレ)」として販売している企業もある。シャトーブリアンは、日本では部位表示としては認められていないため、ヒレの表示が必要となる。また、「シャ豚ブリアン(シャトンブリアン)」は商標取得されているため、使用できない。

【ターゲット】 60代以上、高齢者世帯

【販売場所】 ステーキコーナー

【使用トレー】 エフピコ FLB-A20-30 和歌オレンジ

【手順】

  1. 表面のスジ、脂肪を除去する。表面のスジは、端の部分まで丁寧に除去する。
  2. ヒレを3等分にして、太い側は水平に包丁を入れて2等分する。※厚みが均一になるように包丁を入れることがポイントとなる。
  3. 繊維を断ちきるように、5mm感覚に中央までスリットを入れる。※両面に互い違いに入れることで、調理時にタレが絡んだり火の通りが良くなる。また、本来の商品化の繊維の方向とは異なる方向なため、隠し包丁を入れることで食感が良くなる。

『国産豚肩ロース野菜巻き』298円/P

【ポイント】 野菜が巻いてあることがわかるように商品化

人材不足や店舗でのオペレーションの簡素化から、徐々に豚肉野菜巻きはアウトパックに頼るようになってきているが、お店独自の銘柄肉を使用した野菜巻きは、消費者の安心感から購入に至ることが多い。

万能ネギやインゲン、ヤングコーン、えのき、にんじん、アスパラガスは定番であり、お弁当の一品としても利用されることが多い。野菜が多めに入っていると、女性からの支持が高くなる。

(商品化)

豚ロースよりも、肩ロースやバラを使用した方が、焼き上がりもジューシーにおいしく仕上がる。スライスの厚みが分厚すぎると、火の通りが悪くなるため、しゃぶしゃぶ用の1.5mm程度までで商品化すると良い。

スライス時にお肉が破れても、くるくると野菜に巻き付けていくため、新入社員のスライサーのOJTなどの破れたお肉も商品化出来る。

トレーは高蓋の立体的に盛り付けることが出来るトレーか、縦長トレーなどを使用して、売場でアイキャッチとなるように選択する。

(関連販売)

塩コショウは定番での品揃えがあるが、コンシューマー商品のおろしぽん酢、てりやきのタレやステーキソース、焼肉のタレもおすすめ。国産豚肉は、豚独特の臭みを抑えているため、やや味が薄い傾向にあるため、タレの存在を出すことで、おいしく食べることが出来る。

(注意)作業時間が長くなると雑菌が増えてしまうため、作業時間は短く行なう。

お肉の鮮度だけでなく、野菜のしなり具合や色にも注意して売切りを実施する。

【ターゲット】 20代~40代の子育て世帯、ファミリー

【販売場所】 半製品コーナー、豚肉コーナー上段

【使用トレー】 エフピコ 輝ステージ枠盛 はな扇子赤

【手順】

  1. 豚肩ロースを1.5mmにスライスし、4~5枚並べる。
  2. 万能ネギ(細ネギ)を適量端に乗せる。
  3. 野菜を巻き込み形を整える。
  4. 巻きながら肉がばらけないように、しっかりと巻き付けていく。
  5. 適度な大きさにカットしてトレーに盛り付ける。