今月の販売のポイント

【要約コメント】

消費者ニーズと環境変化を取り込んだ商品提案で、確実に売れる商品を展開する。

【今月の販売ポイント】

6月のイベントは父の日で、それ以外は大きなイベントがないため、売場で販促を仕掛ける必要がある。

また、新しい生活様式に見合った商品化や売場作りを想定して、量目やパッケージにも注目して展開する。業務用の大容量パックは一般的に売られるようになり、ゴミ削減の意識からもトレーを見直す時期に来ている。外気温が高くても、雨の日の肌寒い日にはホットメニューを食べる女性も少なくない。雨が続く肌寒い日には、ウェザープロモーションをかけていく必要があるため、天気予報にもアンテナを張って売場作りを行なう。

原料事情としては、アメリカでの荷物の量が港の処理能力を超える状態が続いていることに加え、コンテナ船の停滞によるコンテナ不足、コロナでの運賃上昇などで、米国産の焼商材に課題がある。

夏の焼肉商戦を前に、すでに代替えアイテムの訴求がポイントとなる。特に、近年人気上昇中の牛タンは輸入が出来ず欠品が続いており、今しばらく改善の目処が立っていない。

部門共通テーマ

22週 『買い置き食材・漬物特集』
和牛も切落しで買い置き商材へ

産地商品名用途①内容量②単価ユニット③販売売価販売単価
g円/100g①×②/100円/パック③/①*100
国産黒毛和牛モモ肩切落し500 01980396
国産牛小間切れ 400 0980245
国産豚肩ロースブロック100198198 0
国産豚ヒレブロック100248248 0
国産若鶏もも2kgパック2000 0198099
国産若鶏ムネ2kgパック2000 0128064
国産若鶏手羽元2kgパック2000 0118059
国産若鶏ささみ2kgパック2000 0198099
国産牛豚合挽ミンチ 1000 01280128

【商品化例と販促テーマの解説】

国産黒毛和牛切り落とし

コロナの影響で、精肉での大容量パックの売り込みは抵抗なく行なわれるようになった。特に鶏肉の2kgパックや豚の深絞りブロックパックなどは、量販店でも多く販売されるようになり、買い置き食材として認知度が上がってきている。

ただ、切り落としやスライス商品に関しては、スキンパックでの商品化を行なうと、スライスが別のスライスと引っ付いてしまい、調理するときに苦労するため、大容量でもトレーパックでの販売が主流となっている。

(そのまま売場に陳列可能な買い置き商品)

鶏もも肉、ムネ肉など2kgパックは、今や業務用パックとして販売する量販店も多く、定着している。一部メーカーでは、深絞りのもも肉1枚パックなどの品揃えもあるため、これを機に定番化させることも今後の人材不足解消に役だつ。ただし、現時点では製造キャパに限りがあるため、早めに取り組みをメーカーと行なう必要がある。

豚肉では、豚ヒレをはじめ、肩ロースなど深絞りブロックパックが流通している。こちらも鶏肉同様に、製造キャパの課題があり、できるだけ早めに取り組みを始めるコトがポイント。

スライス済み商品や味付け済み商品では、味噌漬け豚ロースなどを始め、真空パックでの販売を強化する。

(切り落とし、スライス大容量買い置きパック)

汎用性の高い切り落とし、スライス、小間切れ商品は、スキンパックにすると、調理時に固まってしまい使いづらいという懸念があり、現時点では、トレーパックが最も消費者も使い勝手が良い。

余剰となってきている黒毛和牛では、安価な肩、モモや肩バラを切り落としで展開する。持続可能な生産体制を維持するために、全国の量販店で実施したい。国産豚肉モモ肩に関しても、大容量パックで切り落としを展開し、買い置き商材として展開する。

(売場での訴求)

買い置き販促のポイントの一つが、保存方法。特に生肉は、家庭用冷凍庫で保管をするときに、小分けにしてできるだけ空気を抜いて袋に入れて保管をおすすめする。

23週 『長雨に食べるあったかメニュー特集』

メニュー二刀流展開

産地商品名用途内容量②単価ユニット
g円/100g×②/100
国産豚とろ焼しゃぶ用100128128
国産豚肩ロース焼しゃぶ用100198198
国産豚バラ蒸ししゃぶ用100178178
メキシコ産豚とろ焼しゃぶ用100108108
米国産豚肩ロース焼しゃぶ用100108108
米国産豚バラ蒸ししゃぶ用100108108
国産牛小間切れビーフシチュー用100248248
国産豚とろ、バラ焼しゃぶセット100198198
米国産豚とろ、バラ焼しゃぶセット100108108

【商品化例と販促テーマの解説】

メキシコ産豚とろ薄切り

外気温は徐々に上昇するが、長雨により肌寒く感じる事も多い。

焼メニューと温メニューのどちらにも対応できる商品を展開することで、ウェザープロモーションを攻略する。

暑い日も肌寒い日も同じ商品で、商品化オペレーションを変更することなく、メニュー提案を充実させて対応する。

(豚とろ薄切りスライス 焼肉 & しゃぶしゃぶ)

さっと焼く焼肉や焼しゃぶ用として暑い日のメニュー提案が出来る。肌寒い日は、しゃぶしゃぶ用としても展開出来、ごまだれやぽん酢をクロス販売すると良い。商品化は丸皿にお肉を切り落として盛り付けることで、多く入っているように見せることが出来る。

(豚バラ3mmスライス サムギョプサル & 蒸ししゃぶ)

暑い日の焼メニューとしてはサムギョプサルで訴求出来るが、肌寒い日は、もやしやキャベツの上に並べて蒸せば、蒸ししゃぶで食べる提案となる。豚バラのようにやや脂肪が多い部位は、蒸すことで余分な脂肪を落とすことが出来、野菜にうまみを絡ませて食べるとおいしい。

(牛小間切れ 肉野菜炒め、焼きそば & ビーフシチュー)

年間通してABC分析の上位にある小間切れであるが、肉野菜炒めや焼きそば、カレーライスなど様々なメニューに展開される。

また、肌寒い日にはビーフシチューやハヤシライスなどにも展開出来る万能な商品。

小間切れは何もしなくても売れるので、価格勝負をする店舗も多いが、きちんとメニュー訴求を行なうことで、より異常値を作り出すことが可能となる。

24週 『「父の日」フェア』

食シーンを想定した商品化

産地商品名用途内容量②ユニットパック売価
g円/100g×②/100
国産黒毛和牛ランプ(ランボソ)ステーキ用100698698
国産肉専用牛リブロースステーキ用100680680
国産肉専用牛シンシン(モモ)ステーキ用100598598
国産肉専用牛カメノコ(モモ)ステーキ用100498498
国産交雑牛サーロインステーキ用100780780
国産交雑牛肩(ミスジ)ステーキ用100598598
国産交雑牛肩(クリ)ステーキ用100398398
豪州産ラム骨付きロースステーキ用100480480
米国産プライム牛サーロインステーキ用90598538
豪州産アンガス牛サーロインステーキ用100498498

【商品化例と販促テーマの解説】

国産交雑牛肩ステーキ用(クリ)

父の日に感謝の意味を込めて、ディナーはステーキとワインを訴求する。

コロナの影響で、家庭で食べる生活スタイルに変わった2020年は、例年よりも父の日の夕食を豪華にする傾向にあったようである。

2021年は新しい生活様式が定着し、昨年同様に家庭で食べるイベント型の夕食を推進していく。

(ステーキディナーの食シーン)

夕食に赤ワインとステーキを食べる食卓を提案する。経済的に二極化傾向にあるため、例年強化していた和牛だけでなく、輸入牛、国産牛にも力を入れて展開する。

ステーキの定番であった輸入牛の定額ばら売りは出来ないため、トレーでの展開となる。米国産牛肉の入荷と価格が安定しないため、輸入牛はウルグアイ産なども活用していく。

国産牛では、見せ筋で和牛を展開するが、主力は国産牛、交雑牛の比較的安価な商品を打ち出す。また、ロイン系だけでなく、肩ステーキやランプを使用したモモステーキの展開で、割安感を出していく。

肩ステーキは、希少部位としてメジャーになった、ミスジステーキ、カタサンカク(クリ)を使用した肩ステーキを展開する。ランプステーキは、ランボソ(ラムシン)、ランステーキで分けてラベルを付けると希少性が増す。トレーは、柄付きトレーを使用することで、高級感が増す。

(調理方法の提案)

コト販促、メニューPOPでの展開は必須となる。最近では、YouTubeでも数多くのステーキの焼き方が配信されている。

ミシュランシェフの本格的な焼き方から、レシピサイト、ユーチューバー、料理研究家が配信するフライパンで焼く簡単ステーキの焼き方動画まで数多く存在する。

店頭でもモニターを活用した動画を流すことで、食シーンをイメージさせると、購入の動機付けになる。

25週 『辛い物フェア』

時流にのったガツンと辛旨

産地商品名用途①内容量②単価ユニット
g円/100g×②/100
国産鶏肩肉(ムネ)辛旨味1009898
国産鶏ハラミ辛旨味1009898
国産鶏もも切り身辛旨味100128128
国産豚肩ロース豚キムチ味100198198
国産豚バラ豚キムチ味100178178
国産豚ハラミ豚キムチ味100128128
国産豚とろコチュジャン100128128
米国産豚とろコチュジャン100108108

【商品化例と販促テーマの解説】

国産鶏肩肉(ムネ)辛旨味

コロナ禍の味付けで売れ筋となっているのが辛い味。

外食においてもヤンニョム味が定番化され、コチュジャン、キムチ味のバリエーションが増加。辛い味のバリエーションが増え、辛さの加減を調整しながら料理を楽しむ人もおり、辛い味に注目が集まっている。

特に辛い味は、女性に人気。そのため、使用する部位は脂肪が少なめの部位を選ぶことで、女性の購買につなげる。

(国産鶏肩肉(ムネ)辛旨味)

国産鶏肩肉(小肉)はムネ肉の一部で、ムネ肉の中でも比較的パサつきにくい部分である。肩肉を辛旨味など辛いタレで揉み込み味付けコーナーで展開する。100g100円未満で販売出来るため、パック単価に注意し量販する。

(国産豚肩ロースキムチ味)

豚キムチ味の原料でよく使用されるのが豚バラ。豚バラキムチでも展開可能であるが、女性をターゲットにすることを想定すると、豚バラの脂肪が気になるため、購入につながっていない可能性が高い。そのため、部位を脂肪がほどよく入った肩ロースへ変更する。

豚肩ロースは、食べやすい大きさにするために、焼肉用の4分の1(断面を十時にカット)にしたサイズで商品化する。

(アレンジトッピング)

アレンジで必ずと言っていいほど、辛いモノにはチーズが登場している。チーズタッカルビ、豚キムチチーズ焼など、チーズをトッピングすることも抵抗がない状態となっている。

関連販売では、唐辛子やコチュジャンだけではなく、とろけるチーズやピザ用のとけるチーズも一緒に展開していく。

26週 『ビールがうまい!おつまみ特集』

ビールがうまくなる焼鳥

産地商品名内容量販売売価
g円/パック
国産鶏モモジャンボ生串1本198
国産鶏ムネジャンボ生串1本198
国産鶏モモ生串バラ1本100
国産鶏ネギま生串バラ1本100
国産牛バラ串バラ1本100
メキシコ産豚バラ串バラ1本100
中国産秘伝炭焼 焼鳥串セット18本598
中国産若鶏砂肝塩焼き串なし焼鳥130298
中国産若鶏もも燻製(辛みそダレ入り)串なし焼鳥140298
国産若鳥焼鳥焼肉セット500880

【商品化例と販促テーマの解説】

国産若鶏焼鳥焼肉セット

外食が2019年よりも減っている分、酒類の購入金額が2020年は増加している。

酒類を飲むことを想定したアイテムは、ビール、ワイン、日本酒など飲む酒類によって肴は変わる。今回は、ビールと合わせるおつまみ用商材を想定しアイテムを品揃えする。

精肉では焼いてすぐに食べることが出来る生焼鳥、そのままでも食べることが出来る加工品での展開を想定する。

(生肉で楽しむビールのおつまみ商材)

焼鳥の品揃えは、春夏から強化されていく。

特に、生の焼鳥串や、串なし焼鳥の品揃えは、近年どの量販店も増加傾向にあり、フライパンや魚焼きグリルで焼いてもおいしく焼き上げることが出来ることから人気が出ている。

生から焼くことでビールが旨く感じる。味付けも塩コショウで簡単に仕上げることができるのが魅力の一つ。

今までの課題としては、居酒屋では定番で注文する砂肝やせせり、ヤゲン軟骨などの品揃えが定番でなかったり、定番で品揃えしていても、1パック買うほどの量は求められていなかったりする。

この課題を改善するのが、焼肉焼鳥セット。砂肝、せせり、手羽元、モモ、ヤゲン軟骨を1パックにして展開することで、少量ずついろいろな食べたい部位を購入するコトが出来る。

量目違いを展開することで、買いやすい売場作りを行なう。

(そのままでも!レンジでチンでも!簡単加工品おつまみ)

ビールに合わせるおつまみの定番では、鶏から揚げ、ひざ軟骨のから揚げ、ビーフジャーキー、サラミなど加工品のおつまみ商材は、定番で充実している。

しかし、売場作りが消費者にわかりにくいため、場所がわかっていないと購入に結びつかない。

今回は、平台でビールのおつまみ特集として、ビールに合う商材を集合陳列させる。一度商品を販売すると、商品が定番で販売しているという認識がされるため、定番での買い回りがしやすくなる。

ミート惣菜でもおつまみ商材は販売されるため、こちらも合わせて展開すると良い。

重点商品の商品化の手順とポイント

『国産豚タン焼肉用』 148円/100g

【ポイント】 品薄の牛タンをカバーする重要アイテム

夏の焼肉強化アイテムに国産豚タンを焼肉用で展開する。

(背景)新型コロナウイルスの影響で海外の工場や物流が100%機能していないことや、コンテナ不足が慢性的に起こっているため、3月4月の段階ですでに牛タンの在庫状況は逼迫しはじめ、6月に関しても先物の物量が確保出来ないことが予想される。

その影響の一つが牛タン。物量が確保出来ないため、市中出回り在庫がチルド、冷凍どちらも品薄となり、価格も上昇傾向となる。焼肉売場の必須商材として、牛タンは欠かせないが、代替えアイテムの強化をすることで、牛タンチャンスロスを、最大限なくすようにする。

(商品化)国産豚タンは、牛タンと比べて大きさがかなり小さい。

そのため、できるだけ面を大きく、牛タンのようにカットすることがポイントとなる。表面のざらざらした灰色の皮は、牛タンのように硬くはないので、皮を剥く必要はない。

タン先側は身が薄いため、包丁を寝かすことで比較的大きく面を見せることが出来る。厚みは5mm程度でカットしても食感は硬くなく、見た目のボリューム感も出る。

トレーは銀色トレーを使用することで、安価な焼肉屋をイメージさせ、手に取りやすく購入につながりやすい。

(味付け)焼肉売場で販売する場合は、そのまま焼肉用として販売すると良い。

タレ漬け焼肉がよく売れる店舗では、塩だれ、塩レモンダレ、ネギ塩などの塩だれ系がおすすめ。ブラックペッパーなどのスパイス系のタレも豚タンは合うので、地域の好みに合わせた味付けを行なうと良い。

(価格帯)コロナ禍では、経済的に以前よりも厳しくなっている世帯も多く、安価な豚肉や鶏肉を1点でも多く購入してもらうようにする必要があるため、パック売価は300円台までに押さえると購入頻度が上がりやすい。

ただし、100g単価まで下げてしまうと、値入率が下がり、結果的に利益高確保が出来なくなってしまうので、適正な売価設定を行なってもらいたい。

【ターゲット】 20代~30代ファミリー

【販売場所】 焼肉売場

【使用トレー】 エフピコ ティアラ角皿17-14 本体 銀
銀色トレーを使用することで、安価な焼肉をイメージ出来る

【手順】

  1. ドリップの除去をし、カットしやすいように伸ばす
  2. 豚タン下、汚れがあれば除去する
  3. 表面の皮は剥がずに、5mm幅で焼肉カットする。
    ※牛タンと異なり高さがないため、特にタン先は包丁を寝かしてカットする
  4. トレーにカット面を広く見せるように盛り付けて完成
『国産銘柄鶏手羽元開き』398円/400g

【ポイント】 手羽元を開いていることで焼肉商材としても販売

鶏肉に一手間を加えて売上と粗利を確保する商品を育てる。

(背景)昨年、新型コロナウイルスの影響で、内食需要が高まり量販店、とりわけ精肉の売上は高く、過去最高益を出した企業も少なくない。そのため、今年の売上や粗利確保はかなり難しいことが予想される。そのため、売上と利益を確保出来る商品を販売していくかがポイントとなる。

(商品化)精肉の中では比較的安価で経済的、購入しやすく、使い慣れている鶏肉は、一手間加えることで粗利を確保しながら売り込みを強化していく。

手羽元を使用した手羽元開きは、味付け商材、から揚げ、焼肉など、消費者は手間をかけずに、手羽元よりも汎用性が高い商品となる。

包丁ではなく、キッチンばさみを使用することで、作業スピードが速くなり、オペレージョンも楽になる。骨の両脇に切れ込みを入れて開くだけで、簡単に骨がむき出しになる。骨がむき出しになることで、火が通ったか不安な消費者心理は解消される。

骨を出す商品化を行なうことが、売れ筋への一歩となる。見た目が綺麗な商品でないと売れ残ってしまうため、骨にお肉が残っていたりしなように丁寧な商品化が必要である。

(味付け)そのままプレーンで焼肉のアイテムの一品に商品化出来る。味付けコーナーでは、照り焼き、ガーリックオイル、塩だれ、山賊焼などの定番の味付けが人気。から揚げ用の衣付きへの商品化もバリエーションの一つとして展開できる。

(価格帯)パック単価は398円~498円ラインでの価格帯で、売上確保が容易になる。100g単価は98円程度に設定することで、手羽元をそのまま販売するよりも、100gあたり30円~40円程度粗利を上乗せすることが出来るようになる。

【ターゲット】 40代~60代夫婦

【販売場所】 鶏肉売場、焼肉売場

【使用トレー】 エフピコ FLB-A22-30 風紋木目ピンク

【手順】

  1. ドリップを除去し、お肉を少しもみほぐす
  2. 皮の切れ目からキッチンばさみを骨に沿って刃を入れる
    ※包丁よりもキッチンばさみを使用した方が、作業が早く終わります
  3. 骨の両脇をキッチンばさみでカットして、お肉を左右に骨から剥がすように開く
  4. お肉を開いた状態でトレーに盛り付けて完成